2.第1種電気通信事業者について
学校をインターネットに接続使用とした場合、どのような接続方式をとるにし
ても、基本的には、第1種電気通信事業者のサービスを利用することになりま
す。現在、第1種電気通信事業者については、複数の会社がサービスを提供し
ていますが、まず、その概要について説明します。
2.1 第1種電気通信事業者の概説
インターネット接続を考える場合、現在、次の事業者が選択肢となり得ます。
(注:第1種電気通信事業者が、以下のものしかないわけではありません)
- 日本電信電話株式会社(NTT)
- 古くは日本で唯一の第1種電気通信事業者でした。サービス範囲やサービ
ス品目は他の第1種電気通信事業者よりも充実していますが、料金は、他の第
1種電気通信事業者の方が、やや安価な設定となっています。
ただし、サービス範囲が広いと言っても、専用線や OCN のサービスにつ
いては、提供地域が限られている場合もあります。
- 中継系 NCC
- 主に長距離の通信サービスを行っています。
サービス範囲は、全国に跨っていますが、主に
都市部に限られています。以下の事業者があります。
- 日本テレコム株式会社
- 第二電電株式会社
- 日本高速通信株式会社
- 地域系 NCC
- それぞれの地域をサービス範囲としています。それぞれの事業者同士の連
携は密で、全体として日本全国をカバーしています。以下の事業者があり
ます。
- 北海道総合通信網株式会社(HOTnet)
- 東北インテリジェント通信株式会社(TOHKnet)
- 東京通信ネットワーク株式会社(TTNet)
- 中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)
- 北陸通信ネットワーク株式会社(HTNet)
- 大阪メディアポート株式会社(OMP)
- 中国通信ネットワーク株式会社(CTNet)
- 株式会社四国情報通信ネットワーク(STNet)
- 九州通信ネットワーク株式会社(QTNet)
したがって、第1種電気通信事業者を選択する場合の選択肢は、NTT、地域系
NCC のうちの1社、および中継系 NCC 3社の計5社が最大の範囲ということ
になります。
また、ネットワークサービスプロバイダ(NSP) の ネットワークオペレーショ
ンセンター(NOC)と専用線接続を行う場合、受入れ可能な第1種業者が限られ
る場合がありますので、実際の選択に当たっては、NSP の選択と同時に検討す
ることが重要となります。
2.2 サービスの種類
2.2.1 専用線
学校と NSP の NOC を常時接続します。料金は、月額固定ですが、距離と速度
によって、変ってきます。
また、NSP の NOC と専用線で接続した場合、インターネットへの接続費用と
しては、専用線の料金と、NSP の接続料金が別々にかかることになります。
(ディジタルアクセス)
NTT が提供する専用線の一種で、通常の専用線に比べて、料
金が安価なデジタル専用線です。「ディジタルアクセス64/128」という商品名
で提供されています。
これは、
- 回線速度は、64Kbps または 128Kbps のいずれか
- 距離が 30Km まで
- 故障に対する修理復旧が、NTT の営業時間に限られる(24 時間故障修
理・復旧を行うタイプもあり)
という制限がありますが、同社の提供する通常のデジタル専用線の半額以下の
低料金となっています。
インターネットのような利用では、回線の故障などに対して、それほど緊急の
復旧が必要とされませんので、このサービスを利用価値は大きいと言えるでしょ
う。
2.2.2 インターネット接続サービス(常時接続型)
第1種電気通信事業者が NSP の機能を兼ねているものです。NSP の NOC まで
専用線で接続する場合に比べて、一般的に安価にインターネットへ接続するこ
とができます。
なお、このサービスは、OCN(日本電信電話株式会社)、ODN(日本テレコム株式
会社)、DION(第二電電株式会社)、シリウス(日本高速通信株式会社)などの商
品名で提供されるものですが、この商品名は、常時接続方式のものだけではな
く、ダイアルアップ方式のものも含んだ複合的なサービスの名称として用いら
れているようです。
(付加的なサービス)
インターネット接続サービスに関連して、特筆すべきサービスとして、NTT が
提供する 「OCN スクールパック」について、ここで触れておきます。
このサービスは、学校を対象として、NTT が提供する OCN のサービスに、ド
メインの取得、各種設定済のサーバのレンタル、専用のヘルプデスクなどを組
み合わせたサービスです。(1998 年 4 月サービス開始予定)
100校プロジェクトの対象校が、このサービスに乗り換えた場合、管理運用
付加の低減、新しいサーバ機種への変更などのメリットが享受できるものと思
われます。
2.2.3 一般回線
ダイアルアップ方式でインターネットに接続する場合、一般の電話回線を使っ
て、接続することになります。
回線の種別としては、アナログ回線とデジタル回線(ISDN と呼ばれる)に別れ
ます。アナログ回線の場合は、現在の最高速度のモデムを用いると、もっとも
条件の良い時で、56Kbps の通信能力があります。デジタル回線の場合は、
64Kbps (通話料が二倍になってもよいなら 128Kbps)の通信能力があります。
回線の接続先としては、NSP の NOC または、第1種電気通信事業者が提供す
るインターネット接続サービス(ダイアルアップ型)のアクセスポイントのい
ずれかとなります。