平成7年6月,それならばということで「日本とつながる」ことを最優先に 考えたホームページを立ち上げた。日本中の人たちに向けて情報を発信するこ とが,日本語ホームページの持つ意味だと考えたからである。しかし・・・こ の考えも1通のメールから方向転換をしていった。そのメールとは,地域に住 む保護者からのメールで,ホームページ上に公開されていた自分の子どもの作 品に対するコメントであった。
「公立小学校」は地域の中心にあって,何か行事があると町の人たちが集まっ てきて情報交換をする場所というのは,昔も今も,そして未来も変わらないこ とだろう。しかし,本校学区のようにマンションや団地も多くなり,近隣との コミュニケーションも取り難い状況になってくると,情報公開が,こうした時 代の動きに対応する一つの有効な手段になると考え,本町小学校のホームペー ジは「保護者とつながる」「地域とつながる」ことを考えながら公開されてい くようになった。
公立小学校の学区というと子どもたちが歩いて行かれる範囲である。したがっ て,この学区中にあるサイトは,インターネット上で見ることもできるし,実 際に歩いて行くこともできるということになる。
小学生の学習面から考えると,インターネット上のバーチャル体験と自分の 足でかせいだ実体験とをミックスした情報収集活動が可能になる。
横浜市立本町小学校が横浜市中心部にあるという特徴もあるが,このメリッ トを生かさないわけにはなかない。学区内にある横浜市役所をはじめとするサ イトに連絡を取り,リンクをはるとともに,小学生に役立つ情報の掲載をお願 いしている。
これを更に発展させて,今年からホームページ上でも「本町だより」が見ら れるようにした。より多くの地域の方に横浜市立本町小学校のことを知っても らいたいからである。また,インターネットに接続できる保護者は,学校へ直 接メールで意見や感想を送ることもできることになる。新たなコミュニケーショ ンの可能性も見えてくる。
このOBOGページが授業の中で脚光をあびることとなった。3年生が「学 校の昔さがし」をしていたときに,「卒業生に聞いてみたら分かるかもしれな い」ということに気づいたのである。早速,卒業生へ3年生からの電子メール が送られると,その日のうちに4人の方から返事が送られてきた。そして,協 力をいただいた方の中から,「ぜひ,他の方のメールを読んでみたい。」「世 代の違う方とのメーリングリストを作ってくれないだろうか。」というご意見 をいただいた。まだ,たった4人のメーリングリストではあるが,今後の公立 小学校ホームページの方向性を示すものになるかもしれない。いや,そうなる べきであろうと考えている。
まさに,ヒューマンネットワークが形成されつつある。
公立小学校は,地域のヒューマン・ネットワークの拠点なのだから。