注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、 テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、 文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。

「お山の小さな学校のインターネット」

インターネット版【理科の部屋】の活動

福島県村立葛尾中学校
渡部 昌邦(※1)
(※1)「5共同研究者」に紹介。 スタッフ間ML:rikanoheya@ml.katsurao-jhs.katsurao.fukushima.jp

1 はじめに

 従来から、研究熱心な理科教師あるいは研究団体において優れた教育実践が 行われ、蓄積されている。それらの情報の多くは一部の関係者に伝承されてい るものの、切実に必要としている教育現場の理科教師にとって極めて入手が困 難であり、情報の存在すら認知できない状態にある。

 理科教師にとって、いかに実践に関する情報が必要であるかはパソコン通信 【理科の部屋】(※2)の盛況が何よりも雄弁に物語っている。  パソコン通信の文字情報に、画像や音声また動画が付加されれば、より正確 な情報の伝達が可能である。表現も豊かになる。そして、これらのことがイン ターネットで実現できる。「百聞は一見にしかず」というわけである。

  インターネット版【理科の部屋】 の立ち上げの背景には、勤務校が100校 プロジェクトに参加していることも大きな理由であった。現時点で、インター ネットが自由に使えることは、かなり恵まれた環境と言えよう。「100校プ ロジェクトによって公的な支援を受けているからこそ、やるべきではないか」 と考えたのだ。

 現在、本ホームページは19名の【理科の部屋】運営スタッフにより共同運 営されている。ホームページは葛尾中学校サーバを核として、それぞれのメン バー所有のホームページと多重にリンクし合いながら緩やかな【理科の部屋】 文化網を形成している。

(※2)NIFTY-Serve教育実践フォーラム(FKYOIKUS)の【理科の部屋】。理科関係の情報交換が盛ん。

2 インターネット版【理科の部屋】

 インターネット版【理科の部屋】で発信されている情報メニューをいくつか 紹介する。 (97.Feb. 現在)

【お薦め実験】

 テキストベースのパソコン通信では、装置の構造や観察記録など正確な説明 が困難であった。ここでは NIFTY-Serve【理科の部屋】で紹介されたユニーク な実験・観察及びその工夫や自作の実験器具などの実践記録を、画像、音声、 動画をマルチメディア的に組み合わせて紹介している。

【なるほどの森】

 森裕美子氏が家庭の主婦の立場で、理科実験の面白さをつたえている ミニコミ誌「なるほどの森」のインターネット版である。 毎月1回の発行で、すでに25回を越える人気メニューである。

【実践データベース】

 中学校の学習指導要領を基本に、インターネット上の情報資源を分野別、単 元別に整理し、データベースを構築している。

 授業や教材研究での活用を目的とする理科資料集であるとともに、理科の教 育実践を記録し、共有するための実践記録集として位置づけられている。

 現在、Java による授業で活用できるシミュレーション等の教材開発が活発 に行われている。(ドップラー効果:北村俊樹氏)

【入手DB】

 実験材料、資料等の入手のためのデータベース。 ひとつモノの「入手」をめぐって、いろんなかたちで話題が発展し、 人と人のつながりの輪もつくり出せるようなものとして位置づけてゆきたい。

【理科関連URL集】

 当初、本ホームページは「理科の授業」において、教師が調べものをする際 の情報源の提供という観点に立って情報を収集しており、さまざまな研究機関 をリンクするという形をとっている。今後、理科教育の実践を支援するURL 集として、授業で活用できる良質の情報一覧として深化させてゆきたい。

4 まとめ

 インターネット上で理科の資源情報を提供するインターネット版【理科の部 屋】の試みは、月ごとにアクセスされる件数が増えており、その有効性が示さ れている。

 また、HTMLによる情報提供は機種、OSを越えた汎用性があり、著作権 に配慮をすればローカルに記憶して活用することも可能である。

 ネットワークを活用した教育実践データベースは、ますます必要性を増し、 理科教育に携わる人々の共有財産になるであろう。

 96年6月、インターネット版【理科の部屋】は趣旨に賛同する有志の協力 を得て運営スタッフによる共同企画として再始動した。

 各方面で活躍する個々人がネットワークによって共同作業を行うことにより、 一個人の能力では実現が困難であった、壮大な理科教育の実践データベースを 創り上げることが可能となる。

 今後も共同研究者との連携を深めて良質の情報を創造、収集、発信を継続す るとともに、理科教育の情報基地として情報共有のあり方を模索したい。

5 共同研究者

青野裕幸北海道江別市立野幌中学校
阿部英一北海道立有朋高等学校(通信制課程)
池田勝利大阪府関西創価中学校・高等学校
北村俊樹東京都立上野高等学校
楠田純一兵庫県市川町立鶴居中学校
久米宗男大阪府関西創価中学校・高等学校
今琢生 山形県西置賜郡小国町立白沼中学校
佐藤勝彦兵庫県尼崎市立尼崎東高等学校
檀上慎二大阪府四天王寺高等学校・中学校
名越幸生東北学院中高等学校
馬場康人北海道恵庭市立恵み野中学校
本間善夫県立新潟女子短期大学(生活科学科生活科学専攻)
前田泰男鳥取県境港市立第二中学校
松本貞男福島県立中央高等学校
宮崎幸一神奈川県立霧が丘高等学校
森山和道NHK教養番組部
山本央明福島県立二本松工業高等学校
寄木康彦兵庫県神戸市立上野中学校
(あいうえお順)