注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、 テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、 文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。

数学における多解問題について

慶應義塾普通部
荒川 昭

1.はじめに

慶應義塾普通部のコンピュータ教育

 普通部では10年以上前から大学計算機センターを借りてFORTRANによるプロ グラミング教育をおこなってきた。昭和62年度にIBMのJXで普通部内にコンピュー タ教室ができてからはBASIC,PASCAL,FORTRANの各プログラミング言語の実習を 数学科の教員を中心に行ってきた。平成2年度からは富士通のFM-TOWNSが導入 されワープロ、ペイントなども使用されるようになった。そのような取り組み の中で、3年生の選択科目が週に2時間組まれていたが、芸術科目中心の枠を 広げようということで、選択「コンピュータ」が5年前より開設された。そこ での取り組みは初年度はプログラミング中心 BASIC、Cなどワープロなどの活 用であったが、4年前から大学の計算センターを借りてUNIXによる海外とのメー ルの交換などを行ってきた。大学の計算センターの施設も充実し学生にインター ネットのメールの環境を提供してくれているので、UNIX上でエディターは EMACSを使って取り組んだ。

 昨年度から、100校プロジェクトに参加してサーバとクライアント1台ずつ 配置され学校内のインターネットを使える環境となった。それにともないコン ピュータ教室のパソコンのリプレースをおこない現在はNECのPC-9821XA13を導 入し、WIN95の環境にして、インターネットを各端末でで使える環境にするた めにセットアップ中である。

 授業のカリキュラムは中学1年生対象で週1時間の必習で、コンピュータの 授業をワープロ(ワード)、プレゼンテーションとして(POWERPOINT)ヤ、ホー ムページ作成(HTML言語)などを行っている。来年度は中学2年生のコンピュー タの授業を新設し、表計算(EXCEL)やインターネットで WWWやメールなどを 行う予定である。また平成8年度は100校プロジェクトの共同利用企画「数学 における多解問題」の取り組みを企画し、進めている。

2.数学における多解問題

 座学で教科書を使いカリキュラムで決められた内容を教える際は、教師は早 く正確に問題が解けるように解法の指導や説明が中心となりがちである。また 生徒の方もなぜ数学を勉強するのかということなどはあまり考えずに、教師側 の開放を覚えることによって問題の答えの出し方を習得したら勉強は終わりと 思っている生徒が多い。

 そこで、数学における多解問題を考えることにより、一つの問題をいろいろ なアプローチにより考える、本来の数学の自分で考える楽しさや大切さを実感 し、他校の生徒とのやりとりや、社会人のかたから数学との出会いなどを聞く ことによって数学を学ぶ必要性を認識し、学習の動機づけとし大切さを実感す る。自分のことばで低学年の子供にわかるように既習事項を説明する過程にお いて、本当の意味での数学の理解を促し、認識の定着をはかる。このようなこ とをするには、インターラクティブにやりとりができるインターネットが必要 で、授業のカリキュラムだけでは不十分である。

 今回はインターネット上で、ホームページに問題を立ち上げ、解答を送って もらい、またWEB上に公開してやりとりをした。

@ 感想

 正直言って、本当に今満足感でいっぱいです。今回の宿題は、本当は「四角 形の面積を2等分する」のところで終わりにするつもりでしたが、何か物足り なくて数を1から100まで作ってみました。なぜこれを選んだのかは自分でも わかりません。何かこれに憑かれてやったという感じです。途中何度もつまず きながらやっと100まで作ったときはうれしくてうれしくて、またそれと同時 にものすごい脱力感を感じました。何しろお風呂に入っているときも電車に乗っ ているときもこのことが頭から離れませんでした。ただ1つ心残りなのは、86 が1997の順で作れなかったことです。僕は、たまには何日もかけて数学に没頭 するのもいいな。と思いました。

「数学における多解問題について」のページ

www.kf.hc.keio.ac.jp/kadai.html

@ 感想

僕はこういう風に、配られた問題を解き、それをフロッピーに入れて、 提出することが初めての経験でしたので、少し驚きました。
また、この問題をインターネットを通して全国の人に解いてもらおうという 考えは素晴らしいと思いました。僕もインターネットを通して 1問送りましたが全国の人が解くのでとても興味があります。 そして僕も、こういう試みに積極的に参加しようと思いました。

まとめ

 企画の発案から実施までの期間が短く十分には他校との交流ができていない 面もあったが、今回の試みでインターネット環境で教科活用のネットワークが できたことが大きな収穫ではないだろうか。これから先多くの学校でインター ネットが使えるようになり、メールやWWWをみたあと学校でどのように使って いくのか問われた時にこのようなネットワークづくりが一番大切である。

 これからのインターネット活用の課題はインターネット環境がある学校や、 興味のある先生方とのネットワークづくりとイベント情報がどこかでまとめら れる必要があり、気軽に参加できる体制づくりが必要である。

 普通部では今回のインターネットでの共同利用企画の試みをきっかけとして、 さらに多くの先生方、学校との交流を目指しています。この多解問題も継続し て行いたいと思います。


興味のある方は是非ご連絡ください。

 eメール arakawa@kf.hc.keio.ac.jp

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