注）以下は、平成８年度１００校プロジェクト成果発表会の資料より、テキストデータを抽出してＨＴＭＬ化したものです。図表類や文字の大きさなど、文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。

インターネットを使った国際協同学習をどう進めるか

札幌市立幌南小学校

札幌市立幌南小学校
藤村　裕一

１．国際協同学習の事例

＜ドイツ・アメリカ・ミクロネシアなど世界の仲間と力を合わせて行った国際協同環境学習「地球を守り隊」の学習＞

　４年生社会科「ごみとくらし」と特別活動との総合的取り扱いとして，インターネットを使ってごみ処理・リサイクルと地球環境保護について学ぶ学習を設定した。

●「体験－インターネット－体験」のサイクルを前提に

　「所詮，インターネットはバーチャルな世界だから…」という声をよく聞く。しかし，国際協同学習も含め，インターネットを用いた学習が子どもにとってそれ以外の方法では得られないすばらしい効果をもたらすのであれば，積極的に利用して行くべきである。

　そこで，本校では，インターネットの利用を「体験－インターネット－体験」のサイクルの繰り返しの中で，活用していくことにした。

●学校中のごみを教室に広げ分類する体験から問題意識の掘り起こしを

　４年生のごみの学習で，ごみ処理の仕方やごみ問題について，インターネット上のごみ関連ホームページや市役所に電子メールで問い合わせるなどして学習を進めた。しかし，「ごみと環境の問題」は所詮「他人事という意識からなかなか抜け出ることができなかった。

　そこで，学校中のごみを教室に広げ分類するという活動を行った。そのごみの山の中から，新品の色紙やストロー，まだ使える鉛筆，大量の紙などを見つけた子どもたちは，「ひどいよ！」「もったいない！」「紙は木から作られるんだから，このままでは木がどんどんなくなってしまう！」と，本気で怒りだした。

●環境保護先進国・ドイツから先進国における環境保護を学ぶ。

　そして，地球環境を守るには自分たちががんばるだけではだめだと考え，自ら「地球を守り隊」を結成し，世界中の仲間に呼びかけることになった。そんな「地球を守り隊」の呼びかけに真っ先に応えてくれたのが，環境保護先進国ドイツ・フランクフルト市のＩＧＳノートエント校の仲間たちだった。電子メールで，ドイツ製チョコレートの包み紙についていたリサイクルマーク「緑点」に対する質問などをきっかけに，国家規模での取り組みや徹底した環境保護意識，国民性の違いなど，先進国における環境保護のあり方と問題点を学ぶことができた。これ以外にも，先進国としてアメリカ，イギリス，オーストラリア，デンマークからメッセージが送られ意見交換することができた。

●発展途上国ミクロネシアから環境に対する考え方を学ぶ

　「地球を守り隊」の子どもたちは，ミクロネシアの中でも最もかたくなに環境と伝統文化を守り続けている島の子供たちと，衛星を使ってリアルタイムの意見交換を行った。（太陽電池と携帯地上局を使用）この中で，日本では「ごみ」になるようなものも徹底してリサイクルし，島にはごみ箱が一つもないこと，美しい海を守るために島には一滴の石油も入れさせないことなどに驚き，厳格な環境保護の理念を学ぶことができた。

●世界の仲間と交流を続けながら，自らの生活を見直し，活動を広げる。

　「地球を守り隊」の子どもたちは，このような国内外の仲間と共に，地球環境を守るための協同環境学習を通して，環境保護の重要性とその難しさ，手を取り合って努力し続けることの大切さを実感し，現在もリサイクルやごみ減量などの活動を続けている。

２．国内協同学習の事例～初めから「国際」が難しいときのために～

＜「北国情報コーナー」を核とした国内協同学習＞

社会科「様々な土地のくらし」…国内各地のくらしについて
国語科「方言」…国内各地の方言について
家庭科「楽しい会食」…国内各地の伝統的おやつについて

３．協同学習を進めるコツ・留意点

協同学習の相手を見つけるコツ…①ホームページを持つ学校から，国際協同学習支援組織（ワールドスクールジャパンなど）の協力で，メーリングリストの活用
相手に求めたい情報をまず自分から発信する
国際協同学習の留意点（異文化理解を前提に相手を尊重。時差や学期の違い，担当教師間の事前の打ち合わせなど）

４．協同学習を支援する体制づくりと課題

国際協同学習支援組織・国内協同学習窓口づくりの必要性
翻訳ボランティアの必要性（学校ごとに…父母や地域から，支援組織で）
（翻訳ボランティアを含む国際協同学習支援組織を） Ex.ワールドスクールジャパン
学校種別教科学習リンク集・サーチエンジン整備の必要性（幌南小は，リンク数約８００の教科領域別小学生用リンク集「こうなんワンダーランド」公開中）