注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、
テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、
文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。
教育活動におけるメーリングリストの活用
〜新潟県中郷小学校の実践より〜
新潟県中頚城郡中郷村立中郷小学校
木嶋 達平
○はじめに
 中郷小学校は新潟県の南部に位置し、夏は蒸し暑く冬は寒い日本海側特有の
気候をみせ、四季の変化が非常にはっきりしている。特に冬季間は、2m以上
も雪が積もる豪雪地帯である。学校の周りにも緑が多い。校庭に続く夕日が丘
と呼ばれる村所有の小高い丘には、雑木林が茂り、子供たちが自然観察を行う
のに格好の場所である。
 平成7年度文部省機器利用研究指定校となっていた。特にコンピュータ利用
による情報教育の推進を図っており、コンピュータは約40台設置されている。
児童は、入学当初からコンピュータ(アップル社のマッキントッシュ)を授業
や休み時間に自由に利用しており、コンピュータリテラシーが相当に高い。本
校ではインターネットの教育利用を研究の柱に据え、全学年でインターネット
を利用した授業実践を行ってきた。その中でも特に電子メールの活用を本年度
は積極的に行った。
1 児童が電子メールを自由に利用するための環境整備
 まず最初に児童一人一人が個として自由にメールのやりとりができるように、
3年生以上全てにE-Mailアドレスを割り振った。
 イーサーネットでサーバーと結ばれた各階のクライアント機(マッキントッ
シュ)を、ローカルトークで多数のマッキントッシュと結び構内LANを構築し
た。それにより各階全てのマッキントッシュから、インターネットに接続する
ことを可能にした。このことにより、自分がメールを出したいときにいつでも
どこでも気軽にメールが出せるようになった。
2メーリングリストの稼働
 3年生以上全てが参加のメーリングリストkodomo、各学年用メーリングリス
ト、ボランティア参加のメーリングリストnob、高校教員参加のメーリングリ
ストhischool等多くのメーリングリストを稼働させた。
 kodomoには、3年生以上の児童と教師など学校関係者以外にも外部の多くの
方に参加していただいた。その結果、児童は従来の学校の枠に縛られずいろい
ろな方からの意見を聞くことができた。
3 具体的実践事例
- 1年生
- 低学年ではインターネットに慣れ親しむという観点で取り組んだ。香川県
    坂出小学校の1年生と生活科で交流中。メールとホームページ上の画像交 
    換を行う。本校では、ホームページ上に絵を貼り付けることで交流を図った。
- 2年生
- 自分たちが生活科で育てた羊のことを転出職員にメールで伝える活動を行っ
    た。また、2学期からは静岡県の小学校ともインターネットを通じた交流
    を図った。
 2年生なりに、インターネットは遠くの人に手紙を出したりすることがで
    きるということを漠然とではあるが気付き始めた。
- 3年生
- 3学年専用のメーリングリストgenkiを活用した。具体的には、1学期の
    社会科「私たちの村の様子」では、自分たちの調べたことをメーリングリ
    ストに入ってもらった新潟県長岡市の3年生や新潟市教育委員会の英語教
    師に自分たちの村のことをメールで伝えた。
 また、2学期の社会科「人々の買い物」の単元では、新潟県の食料品は全
    国にあるかどうかを、メールを用いて調査した。全国17都道府県よりもらっ
    た返事をメーリングリストgenkiに流すことで、一人一人に対するメール
    の返事を3学年として共有化することができた。
- 6年生
- 6年生にはメールが完全に定着しており、友達同士で電子メールを出し合っ
    たり、自分が見つけたホームページにメールを出したりすることができる。 
 15年戦争について、全国から意見を求める。ボランティアの方が多数参
    加しているメーリングリストnobに自分たちの意見を伝えた。その結果nob
    に参加していただいているアメリカ人、中国人の方など多数の方から意見
    をもらった。翻訳はnob参加の方からボランティアで行ってもらった。児
    童は、15年戦争に関して戦争加害者・被害者の両方の意見を電子メール
    を用いて集めることができた。
4 成果と課題
 校内LANを構築し児童参加型のメーリングリストを稼働させたことで、異学
年交流のきっかけができた。高学年が中学年の質問にメールを通して答えたり、
担任以外の教師がアドバイスをしたりと校内学習交流が進む可能性がある。こ
の延長線上に外部との交流があると考える。6年生の実践のように日本人以外
いろいろな方にメーリングリストに参加してもらうと多様な考えに触れること
ができ児童の考えが広がるであろう。
 課題としては、メーリングリストに積極的に参加していただける方を探すこ
とが難しいことが上げられる。また、メーリングリストを利用しての他校との
共同学習は学校間の授業進度の問題もあり困難なことがわかった。メーリング
リストは、学級の枠を超えた交流を可能にする可能性をもっているが、その運
用には外部の強力なサポートがないと継続的に行うことは困難であろう。
 来年度は、中郷村内などローカルな情報にこだわり、地域にこだわったメー
リングリストを運用していきたい。そして、学校と地域社会の連携をメーリン
グリストという形で図っていきたい。
新潟県中頚城郡中郷村立中郷小学校
http://www.nakagou-es.nakagou.niigata.jp
教諭 木嶋 達平
kijima@nakagou-es.nakagou.niigata.jp