注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、
テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、
文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。
インターネット活用で拡がる情報交流の実践
長野市立篠ノ井西中学校
力 尚宏
1.実践の概要
長年パソコンの教育利用の実践研究を行ってきた本校も、一部の実践という状況を抜 け出せないままであった。しかし、マルチメディア・インターネットの導入と共に、教 科や生徒の活動場面で多様な利用の方向が生み出されるようになりはじめた。そのよう な中で、一つの教科の一つの単元に絞った利用より、相互的・総合的な教科の取り組みの中に位置づける必要性とそれによる発展性に着目してる。
研究のポイント
- インターネットをいかに近づけるか(気楽に使えるための条件整備)
- ネットワークと教科の結びつけ(交流に向けたステップ)
- ホームページが学校の資産になるように
2.取り組みの様子
(1)インターネットをいかに近づけるか
校内のLAN環境作りを行い、インターネットの使える環境を広げる事によって、
1.先生方に【職員室への設置】
- メールの管理、WWWから情報入手→先生個人の情報・交流→授業の素材情報
2.生徒たちに【玄関ホールへの設置】
- 多目的な利用空間
- 一校一国交流(オリンピックと国際交流)
- 個人交流のための情報提供
3.授業に【パソコン教室への設置】
- WWWの利用→広く深い追求を求める場
- メールの利用→コミュニケーションの育成
- ホームページ→総合的な情報発信と新たな交流作り(部活動)
(2)ネットワークと教科の結びつけ
1.英語科の試み(E−mail)
- アトランタオリンピック96 プロジェクト
オリンピックと日常生活をテーマに交流。昨年より継続。長野オリンピッ
クをテーマにした一校一国運動の国際交流の支援援助。
2.国語科の試み(教科を越えた取り組み)
長野周辺の昔話・民話集め 〔1年夏休みの課題〕
- 明確に,かつ易しい言葉で短くまとめる
- パソコンへの入力も自分の力で→〔2年英語の課題〕
- 1年生がまとめた昔話・民話を英文にする
- 文章から想像する絵を送ってもらう
- 文章と共にページ作り、ホームページに公開する。
3.社会科の取り組み(選択教科と情報教育のティームティーチング)
インターネットのある時代に育つ生徒が、賢い消費者として情報を活用できるよう になる事を目的として特設単元を設定した。
3年生選択社会科の経済分野と、情報教育との総合教育として考え、社会科
の教師と情報教育の教師がティームティーチングを行っている。社会科は,既
習の社会科学習内 容の活用とまとめ方について、情報教育は、必要な情報の
得方や情報交流のためのアド バイスをするようにした。
学習課題1
スポーツシューズの異常な高値、社会問題に発展
↓(生徒の考え、感想)
自分も手に入れたい願う生徒
↓(商品の調査活動、情報の判断)
情報収集【情報誌・新聞の広告、販売店のホームページ】
↓(情報の比較・考察)
異常な流通価格の原因の一つが、製品の本質的な情報よりも、
販売する側にとって 都合の良い製品イメージを、情報として
一方的に鵜呑みにしている消費者としての自分に 気づく。
学習課題2
農業生産者が自らの作物をインターネットで紹介し、
販売を行う様子を題材 単に販売のためだけでなく商品の本質的な情報を消費
者に提供し、新たな交流や需要を 生み出そうという努力をについて考える。
(3) ホームページが学校の資産になるように
テーマ:世界に誇れる美しく豊かな長野の自然を伝え、誇りから生まれる守
りたい気持 ちを育てる。
1.学校の教育資産の見直し
ホームページに掲載する基となるものとは何かを研究する
- 先生個人の豊かな教育素材の継承
- 生徒作品の画像・情報
- 他校に役立てていただける教育情報
- 国際環境使節団のページ、
- オリンピック情報、
- スクールカウンセラー
2.西中長野オリンピックプロジェクト
- 長野市、他の地域の学校が一緒にオリンピックをテーマとした
情報の発信、交流を 生み出す。
- 子供たちの思いをオリンピックに反映させる。〔具体化に向けて〕
- オリンピックをテーマとしたページの互いの連携を中心にする。
- メールによる交流のあり方を研究し、広く参加しやすいものにする。
- オリンピック組織委員会との協力
3. 今後の課題とまとめ
- インターネットの活用を教科学習計画の段階でどのように組み込むか
- 年間の学習計画の中に活用の方向を探る取り組みを全校体制で行う
- 各教科の取り組みをホームページにまとめる
- 課題追求・発表場面をいかに授業学習内に確保していくか
- パソコン教室の活用(多様な取り組みが可能な環境整備)
- ネットワークの利用できない教室での利用、印刷物
- 掲示物を使った情報の提供のし方
- 実態調査
- 探求したいこと、学習に関わる興味関心
- 追求意欲・課題意識
- 探求における充実感の推移、生活経験、かなえたい夢
- 幅の広い交流への導き
- クラス、学校など身近なところとの交流
- 小さなことからの共同学習(小さな分担から大きな成果への結びつき)
- モラルとエチケット
- 正しい判断で情報選択できる生徒となるための道徳のあり方
いかに「気楽にインターネットを活用するか」に視点を置き、それに向けて
努力してきた。教育課程を含めた新たな教育の流れが作られようとしている中
で、職員や生徒の実態にあったものを探し、その取り組みをどの様に進めるか
を実践していきたいと考えている。
オリンピックへの取り組みをいかに価値ある取り組みにしていくか、そして、
新たな広がりを見いだせるかを大事にしていきたいと考えている。