注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、 テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、 文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。

海を越え、言葉と心のキャッチボール

帝塚山学院泉ケ丘中高等学校
辻  陽一

1 企画の位置づけ

 本企画は(財)コンピュータ教育開発センターの共同利用企画の一つで、平成 7年度の共同利用企画「地域情報交換」を推進した学校を中心に活動した。

「地域情報交換」は戦後50年を意識し、韓国、ハワイ、沖縄、関西の高校 生の意識調査などを軸にインターネット利用を進めたが、今回はインターネッ トを中心とした各種メディアの違いの研究とインターネット交流で問題となる 言葉の問題をを中心テーマとし、対象地域にカナダを加えた。

 本企画の最終段階として、海外の生徒・教員を招くフェイス・ツー・フェイ スの会議がもたれるが、インターネットと国際教育を視点に据えた教育は、イ ンターネットを利用した教育を考える場合、一つの中心軸として位置づけられ ることになろう。

 その意味で、本企画は今後のプロトタイプとしての意味を持つことになるが、 オーストラリアのビクトリア州政府などは、すでに、環太平洋諸国の高校生対 象のインターネットと国際教育を軸とした国際会議を計画している。今後、こ のような動きは世界各地で行われることになろうが、日本も教育の国際化・情 報化を促進するため、このような動きと連動して協力・提携関係を築いていく 必要がある。

2 参加校と協力団体

 国内7校,カナダ1校,ハワイ2校,韓国1校  協力団体

3 活動計画と活動状況

9月

アンケート実施とプロフィール交換
  1. アンケート:詳細すぎたため集約に時間を取られる。
  2. プロフィール:具体的数字を中心としたフォーマットを決める
  3. プロフィールのホームページ掲載:安全性の問題が出されたが 結果的には公開

10月

修学旅行で受け入れる場合のコース設定
  1. 一日コースに限定して、各校のホームページに掲載
  2. 12月大阪訪問する海外の生徒のため、という目的もあったが、 言葉の問題もあり、活用されなかった。

11月

各種テレビ会議
  1. 実施:11月23日大阪信愛女学院メディアセンターと プナホウスクールを結ぶ
  2. テーマ:ハワイと日本の違い
  3. 参加者:大阪会場(全体で約60名) ハワイ側(ワイパフ高校・プナホウスクール)
  4. CU-SeeMe、ルマホン、ISDNテレビ会議 CU-SeeMe 接続失敗 ISDNテレビ会議の臨場感に生徒感銘。

     CU-SeeMeは、回線の混雑のため、以後も実施が困難。映像のみ。

12月

フェイス・ツー・フェイスの交流
  1. 実施:12月15日 大阪信愛女学院メディアセンターと プナホウスクールを結ぶ
  2. テーマ:老人と若者について考える
  3. 参加者: 海外(生徒9名、教員3名)、 沖縄(生徒2名、教員1名)、 関西(担当 教員8名、生徒約40名、その他20名)

1月

まとめ
  1. 感想文
  2. 報告書作成
  3. アンケート

4 考察

学習効果

1.ホームページ作成関連と情報処理能力

  1. htmlとホームページ作成
  2. 画像・ビデオ編集とファイル作成
  3. アンケート集計とグラフ化

2.テレビ会議

  1. 質問事項や発表事項についての事前の詳細な準備
  2. 各種テレビ会議システムの特徴を理解
  3. 発表の機会提供と意欲の向上
  4. 言葉の問題は非言語材料の利用で補う
  5. 国際理解、ハワイに対する生きた知識

3.フェイス・ツー・フェイス

  1. ハワイや韓国、カナダに対する生きた知識と関心
  2. ホームステイ受け入れの経験
  3. 分科会に分かれたディスカッション

問題点

1.実施時期・期間の問題

  1. 学期に計画・準備期間を置き、2学期を活動の中心に置きたい。
    掲示板など設置に時間がかかったフェイス・ツー・フェイスの時期は 春休みに持ちたい
  2. インターネット各種サービスの使い分け
    メーリングリスト(ML)・掲示板・ホームページ・ftpの 位置づけを明確にしておく必要

    生徒専用掲示板・MLとか、テーマ毎の掲示板などに分類したり、 テーマによっては公開するなど

  3. 言葉の問題
    日本語を理解する人が多くスムーズな交流 日本語によるメール交換も あり中学生も参加できた。テレビ会議でも、場の雰囲気を盛り上げた
    日本語によるハワイのアンケートに日本の生徒のレスポンスが 早くできた掲示板は日英両国語併用可能で有効
  4. ホームステイ
    アジアや沖縄の生徒よりカナダやハワイからの生徒の受け入れが容易
    招待状の発行・発送
    関連書類や日本滞在中の予定などの文書発送
    国際電話の多用
    教室対教室からグループ対グループへ

5 まとめと今後の方向

 今回のプロジェクトは、前回と同様、生徒の積極的な参加が弱かった。その 理由は、言葉の問題、学校間の交流が一対一ではなく、生徒にとっては交流相 手が特定できなかった面などがあげられる。

 プナホウスクールでは、参加教員が、それぞれのカリキュラムにあう部分で このプロジェクトに参加する形をとり、本プロジェクト全体にコミットしては いなかった。このため、一貫した方向がとれなかった。

 ワイパフでは、当初、フェイス・ツー・フェイスに多くの生徒を送るという 計画が、教員派遣の問題と保護者の理解不足のため途中で頓挫してしまった。 各学校の一教員に依存した場合、教員の事情で継続した活動ができないケース が起こる。

 そこで、組織的対組織の協力関係を築く必要がある。ハワイの教育省のコイ デ氏を招いたのは、今後のハワイとの長期的な関係を考えての措置であった。

 平成9年度も継続する予定であるが、他の団体や活動との連携を深める方向 を模索したい。


http://202.249.80.2/agene/chiiki/liep-96/cec97rpt.html