注)以下は、平成8年度100校プロジェクト成果発表会の資料より、
テキストデータを抽出してHTML化したものです。図表類や文字の大きさなど、
文書のイメージは、実物とは異なっていますので御了承下さい。
主体的な学習活動を支援するインターネットの活用
岐阜県・輪之内町立大藪小学校
山北 ちえ子/木野 由紀子
1.はじめに
 本校は、平成元年度より国語科を中心にコンピュータ活用の実践研究を推進
してきた。
現在、コンピュータ室(40台)、学習室(8台LAN)など約60台が導入
されている。インターネットに関しては、100校プロジェクトのBグループ
のためサーバー1台、クライアント1台で研究を進めてきた。今年度末、校内
LANによりコンピュータ室、学習室、各教室、職員室などが結ばれ、新年度
には、新たに20台の第2コンピュータ室が新設される予定である。
2.実践1 【5年 国語「毎日をより楽しく」(作文題材「委員会に対
する意見文」)】
1.インターネット利用の意図
  この教材を通して,毎日楽しい学校生活が送れるようなアイデアや考えを出
し,自分なりに楽しい学校生活作りに積極的にかかわっていこうとする意欲・
態度を育てていきたい。そのため,それぞれ自分の所属する委員会の中から問
題点を見つけ,そこから自分なりに願いをもつ。その後,具体的な提案につい
て先輩から意見を聞いたり,アンケートをとったりするが,他校の児童からも
その学校の委員会活動において問題点の解消となる実践をしているかどうかを
聞き,それを参考にして各自の提案となるようにしていきたい。
  そのために,インターネットを活用して,他校に自分の委員会の問題点と,
そのためにするとよいことを聞く手紙を出す。他の取材活動と合わせてその返
事も参考にしながら,自分の意見をまとめることで提案する内容がよりよいも
のとなると考える。
2.単元の内容
| 時 | 学習内容 | 
| 1 | 
      教材文の題,心に響いてきた言葉・文章・場面について発表する。 
      委員会活動の中でよりよくしたいところについて考えをまとめる。 
       | 
| 2 | 
       題名と主題文をメモに書く。
       同じ委員会の人と意見交換をする。
       さがす材料を考える。(教師から後でお願いする旨のメールをう
           つ。)
        | 
| 3 | 
    各自で取材する。(6年,下級生,家族,先生)
    インターネットを使って聞きたいことをメールでうる。(メールを受
        け取る)
     | 
| 4 | 
    取材文(インターネットで聞いた返事も参考にする。)をもとに,構
        成メモを書く。
    構成を考える。
    書き出しなどの叙述の工夫をする。
     | 
| 5 |  | 
| 6,7 | 
    発表会の準備をする。
    発表メモをもとに発表原稿を作る。
    提示する資料(図・絵・写真などを画用紙,コンピュータ画面で)を用意する
    発表原稿をもとに各自練習する。
    発表会を開く。
    友達の発表のよかったところ,作品や表現の工夫などについて感想を
        交流する(委員会の時間に全員発表し、委員会で1つ代表作品をホームページにのせる)
 | 
3.成果と問題点
- ○インターネットで質問するということで質問文を書いたが,その内容を
  書くことによって,自分の知りたいことがはっきりした。
- ○返事をもらって,他校の委員会活動を知り,自分の意見文の参考にする
  ことができた子  が半数近くいた。返事をもらって,他校の子が自分のた
  めに書いてくれたという事が分  かって,意見文を書く意欲がわいた。
- ○ホームページには委員会の中で一人の子をのせたが,自分の意見が全世
  界に出るということで喜んでホームページを作った。
- ○インターネットで聞いたことだけを参考にするのではなく,6年生に聞
  いたり下級生に  アンケートをとったり家族に聞いたりしたので,幅広く情報
  が得られた。
- ●質問を出して,返事をもらうのをあわてたので,もっと日程にゆとりを
  もって質問をだすとよかった。
- ●同じ町内の他校の児童にも質問するとよかった。
- ●返事をもらうためには,前から交流を深めておく必要がある。
3,実践2 【6年 家庭科「調理の工夫」】
1.インターネット利用の意図
 家庭科では家庭に目を向けさせ、実際に家庭で実践できる力を高めることが
大切である。しかし、子どもたちは現実は自分でできることを親がやってしまっ
たり、親にやってもらったりしていて、体験不足から自分にはできないと思っ
ている子が多いことがわかる。
 そこで、どの子も喜んで取り組み、家庭の仕事について自信が持てるように
するにはどうすればいいか、どう仕組めば力が培われるのかを考え、マルチパ
ソコンやインターネットを活用し、「6年の調理の工夫」の単元の構成と学習
過程やコースの柔軟性を図った。
2.利用場面
  この単元では、次のような学習場面でコンピュータを活用する。
  この題材では、じゃがいもの調理や加工品の調理を進めるとき、調べ学習を
していった。図書館の本を利用するように、インターネット上のサーチ・エン
ジン(ジャパンオープンテキスト)を使って、「ばれいしょクッキング」「ば
れいしょwev」「じゃがいも北海道」や料理という言葉を大手食品会社、ガ
ス会社から検索し、自分の欲しい資料を収集することでインターネットを利用
した。画面上で表示されたデータやレシピをプリントアウトして、自分の調理
計画の参考にした。また、自分たちで考えた献立の中で工夫がみられるものは
インターネット上で応募したり、メール投稿で指導のつながりを図った。
 品を使った調理に必要な材料・分量・用具・手順を考えて、一人ひとりが、
自分で作る調理計画を立てることができる。
3.本時の展開
| 学習内容 | 活動への働きかけ | 備考 | 
| 1 魚や肉の加工品を使って、自分たちにもできる調理にはどんなものが
        あるか発表する。 | ・前時までの学習を想起させ、本時の学習意欲を高める。 | ・パソコンを起動しておく | 
| 2 本時の学習課題を知る。 (本、教科書やインターネット等から加工品のいろいろな調理法を
          調べよう)
 自分が調べる方法を決める。
 調べ方について、見通しを持つ。
 3 方法別に分かれて調べる。
 4 実習計画表に実習計画を立てる。
 
 
   作業の順番や時間配当
   材料と用具、食器など
   作り方
   盛りつけ図
   材料の準備の仕方
 | (本、教科書やインターネット等から加工品のいろいろな調理法を
          調べよう)
 ・インターネットで調べたり、本で調べたりする方法があることを
         話す。
 ・できるだけ多くの資料や情報を活用しながら、一人ひとりが工夫し
         て決めることができるようにする。
 ・ひとり1料理の調理実習を目指し綿密な計画をたてるようにする。
 
 | ・課題に対して自分の考えがもてるようにする ・インターネットの検索の仕方を説明するカード
 ・迷ったり、困っている子にアドバイスをする。
 
 | 
| 5 本時のまとめをする。 2〜3例紹介する。
 | ・友達が選んだ1料理を知り、自分のものと比べ、意欲が
          持てるようにする。 | ・OHC | 
4.成果と課題
 自分で考えたことや調べたことなどを交流しあい、学びあえる授業づくりの
ために単元の中にインターネットから検索したり、コンピュータで調べたりす
るという方法を取り込んだ。家庭科はそもそも児童自らの生活を見つめ、より
よくしていこうとする力、多様化する情報を活用し、環境に対応する力と家庭
や生活を大切にする心を育てたいと願う教科である。子どもの興味や関心を持
たせる指導計画や展開ができた。食品会社のホームページを使うことは簡便で
最新の情報が多くあり、ふだんの授業に手軽に利用していけるという点で大い
に価値があると思う。
4,終わりに
 2年間、1台のクライアントでインターネットの活用を進めてきた。また、
初めは回線が3.4kだったが、町の予算措置により64kへアップでき、快適な速
さになった。さらに校内の全職員の積極的なインターネット活用の実践により、
町教委の理解を得、新年度、20台の第二コンピュータ室を新設できることに
なった。コミュニケーション能力の育成をめざした主体的な学習活動が展開で
きるようがんばりたい。
本校ホームページURL(
http://www.ohyabu-es.wanouchi.gifu.jp/
)
本校E−メールアドレス(
madoguchi@ohyabu-es.wanouchi.gifu.jp
)