Webページづくりを楽しもう


情報基礎でホームページを作成する意義

 インターネット上に自分を紹介するWebページを作成することによって,イン ターネットやLANに関する興味・関心を高めるとともに,単に情報を受信する だけでなく,情報を発信できる生徒の育成を目指した。

1 自分のWebページを作成しよう(中学校第3学年 技術・家庭科)

(1) ねらい

 これまで中学校技術・家庭科の情報基礎領域ではプログラミングや制御,アプ リケーションソフトの活用などについて学習することで,情報活用能力の育成に 重点を置くことが多かった。しかし,近年インターネットやイントラネットの普 及が急激に進んでいる現状を考えると,これからの高度情報化社会を生きていか ねばならない生徒たちにとってコンピュータ通信やインターネットについての知 識や技能を習得することは必要であると思われる。しかしながらネットワークに ついて理解することは高度な知識を要したり,難しい専門用語などが多いため, どちらかというと敬遠されがちである。そこでコンピュータ通信やインターネッ トについて興味・関心および学習意欲を高め,楽しんで学習することを目標とし て,WWWサーバ上に自分たちのページを作成し,インターネット上に情報を発信 するような授業を行った。

(2) 指導目標

 全国のWWWサーバから様々な情報を受信したり,受信した情報を自分のページ づくりに利用することにより,Webページを作成,公開することを通して,現在 のコンピュータ通信やインターネットの現状を知り,ネットワークを通じた情報 の受信発信能力を培い,今後の情報化社会に意欲的,積極的に対応していこうと する態度を育てる。

(3) 利用環境

1)使用機種
2)稼働環境
3)インターネットに関する利用ソフト
 *ペイントショッププロとGIF Construction Setは必要に応じて利用する。

2 Webページ作成についての指導計画

 情報基礎 全20時間配当(ただしWWWサーバへの転送は除く)
活動計画 活動内容や留意点
コンピュータ通信やインターネットについて 現在のコンピュータ通信やインターネットの現状について講義をする。
HTML文法の基礎 ページを作成する上での基本的なタグについて学習する。

<HTML>〜</HTML> <BODY>〜<BODY> <HR> <BR> 等

文書の作成 ワープロを利用する要領でタグを含めたHTML文書を作成していく。
背景(壁紙)や図の作成 背景や図については自分で作成してもよいが,Web ページを検 索して壁紙集やGIF アニメーションのサイトを見つけ,無償で利用できる 素材についてはダウンロードし利用してもよい。その際ネチケットや著作 権については十分に注意させる。
インターネット利用による素材収集
Webページの体裁を整える 文字の大きさや色を背景色や壁紙にあわせて変えたり,体裁を整える。 また<IMG>タグを利用し画像をページに張り付ける。
リンクの設定 <A> タグを利用し,他のページ(自分が作成したものでもよいし, 世界中のWeb ページでもよい)にリンクを張ってもよい。
WWWサーバ 転送 完成したページを ftpで WWW サーバに転送する。ただし,転送の際には WWWサーバにログインするためのパスワード入力が必要なため,転送は教 師のみが行う。転送は授業中に行うこともあるし,放課後に転送するこ ともある。

3 本時の学習内容

 第3学年では「情報基礎」領域として今回の題材を学習しているが,ホームペ ージを作成することにより以下の技能を習得できると考える。

 生徒たちは実に意欲的にページ作成に取り組んだ。生徒たちはページづくりに 関するさまざまな情報を,友人たちと相談したり,ページづくりに関する本を購 入したり,国内外のWebページにアクセスしページづくりに関するページを検索 することで主体的にWebページ作成に取りくんできた。生徒たちが参考にした主 なサイトを以下に示す。

○ページづくりに関するサイト
日本語版yahoo! http://www.yahoo.co.jp/
NTT Directory http://navi.ntt.jp/
ホームページづくりに役立つページ http://tnk1.cs.csse.yamaguchi-u.ac.jp/kozima/ww.html
KDD WWW/HTMLメモ集 http://w3.lab.kdd.co.jp/technotes/WWW/
福井県立大学 田中先生Page http://mtlab.ecn.fpu.ac.jp/ServerSetUp/EasyHTML.html
福井県立大学 宮内先生Page http://miya.ecn.fpu.ac.jp/thishmpg.htm
○アニメーション関連
奥野竜太郎さんのページ http://www.big.or.jp/~ryutaro/index.html
P4room http://www.big.or.jp/~roro/
BEAT Factory http://members.aol.com/IndoModel/GIF/index.html
○JAVAアプレット関連
BigTime applet (c) The Internet Conveyor Ltd. http://www.conveyor.com/
GAMELAN http://www.gamelan.com/index.shtml
 *上記のページは福井大学教育学部附属中学校ホームページからアクセス可能。
 福井大学教育学部附属中学校 URL http://jhssrv1.fukui-u.ac.jp/

 生徒各自が実際にインターネットのWebページにアクセスし情報を得る方が, 遙かに効率よくページを作成していくことができる。実際,生徒たちは画像やペ ージづくりに役立つような情報を自分たちで検索して探し出したり,附属中学校 の技術科ページから「ホームページづくりに役立つページ」のリンクをたどりな がら背景の画像を手に入れたり,アニメーションを手に入れたり,流れる文字を 設定したりと思い思いの工夫を凝らしている。これらのテクニックや工夫につい ては教師が強制的に指導したものは一つもなく,生徒同士の情報交換や教えあい といった相互作用の中で展開されてきたものである。したがって,授業の進め方 も,教師は期間巡視を行い,必要に応じて支援するといった形態で行っている。

教師が支援する内容として

などが主である。ただし,基本的なページの作成方法や著作権,ネチケット(ネ ットワークエチケット)問題などの法的知識や道徳的概念については強力に指導 する必要があるため,これらの項目については教師主導型の授業を展開した。

 こうした主体的なページ制作活動を行うことによって,情報活用能力,情報選 択能力,情報受信・発信能力が身につけられ,将来にわたって生きて働く力にな り得ると考えている。

◎生徒作品例  生徒作品は福井大学教育学部附属中学校ページ内「各クラス」のページに掲載 されています。( http://jhssrv1.fukui-u.ac.jp/student/class.html)

作品例1 作品例2
図1 完成したページ(部分) 図2 左のページからのリンクページ
作品例3 作品例4
図3 CGIカウンタを利用した例 図4 フレームを利用した例

◎授業後の感想から

 自分たちで背景から文章まで全て作るホームページはとてもおもしろく,毎回 の技術の授業が待ち遠しくてたまらなかったです。私は機械オンチで今回のコン ピュータの使い方も結構苦労したこともあったけど,もうずいぶん慣れて進み具 合もスムーズになったのでとてもうれしいです。(中略)それにしても画面に文字 などを打ち込んで,それを送信するだけで,世界中の人々とコミュニケーション がとれるなんて技術の進歩はすごいなぁと感心させられます。核実験などにその ような技術の進歩を利用するのではなく,インターネットのような,世界中の人 々と交流するのに生かすというのはとても良いことだと思います。(女子 M. M)

 技術の時間はとても楽しい。インターネットやホームページづくりを最新のコ ンピュータを使ってできるからだ。インターネットは本当に便利だ。世界中の情 報が見られるし,わざわざ店に行かなくても買い物ができるし,メールを出せば すぐに着くし,インターネットの利点は数多くある。こんな便利なものがこの世 にできてとてもうれしい。そんな世界的な情報交換の場でもあるインターネット 上で世界中のいろいろな人たちに僕のページを見てもらいたい。(男子 T.N)

4 評価とまとめ

 今回の授業を通して,生徒たちにインターネットを利用させてページづくりに 取り組んだことは,大変大きな効果を上げたと実感している。授業後の生徒たち の感想を見ても,どの生徒も意欲的に,主体的に,生き生きと取り組めた様子が うかがえる。

 時間的な制約から,本当に凝ったページを作ろうとすると大変だが,「自分が 作ったものをより多くの人に見てもらいたい」という生徒たちの気持ちが大きな 意欲につながり,興味・関心を高めることができたのではないだろうか。

 授業でのページづくりは終了したが,今後インターネットが一般家庭の中でも より身近なものになったとき,今回の授業内容が「生きる力」になってくれるも のと願っている。

(実践者 福井大学教育学部附属中学校 吉川 雄二)