「自分達の住んでいる,町だから調べるのです/国だから調べるのです。」では, 説得できたとは言い難い。
児童・生徒に限らず,誰でも他の地域のことは知りたいものである。町の様子 ・国の様子,人々の様子・・,従って,そこから紀行文を読んだり,旅行書や旅 行番組を見たり,インターネットで全国各地のことを調べるわけである。そのこ とは,最後に「旅行」という形となって現れる。
ここでもう一度「どうして,自分の町や国・・」に戻ってみたい。
他の地域のことを,情報を知りたいわけである。相手があれば,当然相手も同 じことを考えている。情報を提供していただくために,自分達も提供できる情報 を持っている必要がある。仮に,誰も情報を求めなかったにしても,求められる 前に,提供できる状態を保っておく必要がある。
「教えてもいただく代わりに,伝えることができるように,私たちの町も調べ ておきましょう」ということが前提になる。
今回各実践は,児童・生徒の調べる活動に無理がなく,上記のようなところが きちんと理解が済まされている。情報を受ける側と発信する側の活動が一方通行 にならないように心がけているところが,実践をされた先生と,学習者の中に大 いに感じられた。
学習者の送受信への工夫も目立つものがあった。どうやったら相手に必要なこ とを伝えられるのか,また,自分は画面から得られた情報のどこをどう読み取っ て活用していったらよいのかについて,それぞれ知恵を働かせていたのは,情報 化社会の中での自然の姿なのであろう。
先生方の指導の中で,特に感心したことは,学習の目標を達成させるためのイ ンターネット導入であると同時に,通信相手を思いやる,話を伝えるルールをし っかり身につけさせるという姿勢である。「コミュニケーションのルールを身に つけさせることを通じて,その能力も成長させることができるもの」ということ に共感する。
インターネットという網は,人間の脳神経網には遠く及ぶことはできない,し かしながら個人が何かを考え,発展させようといったときには,この網は重要な 手段であり,良きパートナーである。単にパソコンが結ばれているものでなく, 各地の脳と脳がつながっている網と考えていきたい。
全国の多くの先生方の実践を,編集させていただく機会をくださった,コンピ ュータ教育開発センターの皆様には,大変感謝申し上げます。また,実践事例を 提供してくださった先生方本当にありがとうございました。