100校プロジェクト 平成8年度実施状況


1.ネットワークの利用状況

(1)中学3年 選択国際理解

 選択の授業は特に内容について規則の厳しいものではなく、各学校の創意・ 工夫によって作り上げることができる教科といえる。そこで、その特性を一歩 進めて新たな教育課程の編成をおこなった。それは、授業の構成を6時間を一 区切りとし生徒を入れ替えて、三回行う内容とした。主旨としてはいろいろな 内容を広く浅く経験しようということで導入された。

 昨年度の選択授業は約20時間を費やし、ホームページづくりなどを行ったが、 今年度は上記の趣旨に基づき6時間でインターネットを活用することになった。 そのため内容を精選し、「国際理解教育」に主眼をおいて実践した。この授業 により、授業の1巡目は、手紙をメインとした交流。2巡目は E-mail をメイ ンとした交流。3巡目は、海外の学校とメーリングリストをつくり、交流を図っ た。

 この授業を通してコミニュケーションの楽しさを生徒に教え、他国と時刻の 文化の理解、世界連帯意識を育成するきっかけを作りたいと考えた。交流した 学校はオーストラリアの現地校。シンガポール日本人学校。オランダのアムス テルダム日本人学校。スペインのバルセロナ日本人学校である。授業はコンピュー タ室で一人一台のコンピュータを使って行い、授業のはじめではその地域や学 校のホームページを見るなどして生徒の意欲を高めることを図った。

白石 和也

(2)中学3年 選択美術

 上記の選択の時間に美術室においてインターネットを活用した授業を行った。 美術室には6台のマッキントッシュが常設してあり、そのうちの1台がインター ネットに接続している。内容はインターネットによる美術館巡りからスタート する。美術館などについては、実際にその場所に行ったことのある生徒や教師 の話を織り交わぜながら授業は進んでいく。また、作家の研究なども行ってい る。

 その他に、図形処理ソフトを活用し生徒に描かせた絵をホームページにリン クして保存するなども行っている。この授業は単に鑑賞のみの分野としておら ず、一種の総合美術学習と言えよう。生徒はこの授業により情操を高めること ができたと考えられる。

 また、東北において美術室にインターネットが使えるコンピュータが常設し てある学校は非常に珍しく、また、担当者のメールもここからだすことができ るので、今後の活用に期待ができる。

佐々木 晃

(3)中学校1年 社会 単元名「世界の国々」

 本校で開発したソフトウェア「世界の国々」を授業で活用し、その後の発展 学習として、自分の興味のある国をインターネットを用いてより深く学習する 内容である。この授業は世界の国々の名称と一、形状、面積を正しく身につけ させること。地球儀や世界地図、その他資料を積極的に活用する態度を育てる ことを目的に授業設計されている。12時間扱いで行われ、前半ではワークシー トや地球儀を用いてヨーロッパ、アフリカ等の国々をグループごとに調べ特徴 をとらえさせ次に課題の発表を行う。コンピュータ室で本校開発ソフト「世界 の国々」を用いてドリル学習する。さらに自分達が興味をもった国や地域につ いてレポートを出すことを指示し、その調べ学習の一つのインターネットを使っ ても良いことにした。

 もちろん図書室で調べる生徒もいれば、教師に聞いてくる生徒もいた。しか し、予想通りインターネットの人気が高く、多くの生徒がネットサーフィンを していた。3学期には復習として、アジアの諸地域を重点的にインターネット を使って、発展学習を行った。

津谷 泰公

(4)中学校2年 社会 単元名「身近な地域−四谷用水」

 四谷用水は、明治時代に仙台の市街地を中心に作られた用水路で、様々な目 的に使われた。広瀬川の中流域から取水し、本校の南側を流れている。現在は、 コンクリートの蓋がされていて、見えなくなっているが、当時の様子を知る貴 重な文化遺産となっている。

 授業担当者が長年、企画を温めていた調べ学習で、現在は見ることのできな い水路の内部を VRML で再現し、生徒は用水路の中を巡りながら、様々な疑問 や発見をすることになる。

 次年度は、今年度、疑問や発見に基づいて実際に生徒が調べた用水路につい て、まとめを行い、「温故知新」の精神で、現在に通じる様々な提言する予定 である。  調べ学習は、単なる調べ学習に終わらせないことが、重要であり、そこから 現代にいきる我々にとって貴重な提言が生み出されなければならない。

高倉 祐一
福嶋 政一

(5)中学校1〜3年 図書館教育

 図書室にはインターネットを操作できるコンピュータを2台設置し、生徒は 自由にネットサーフィンできる。最近はインターネットに関連する情報が多数、 メディアを通じて流れている。そのため生徒もいろいろなホームページに興味 があり、また、それを視聴することを望んでいる。図書室には常時図書館司書 がおり、コンピュータを管理している。その為セキュリティやモラルに関して は安心できる。

 委員会では、ブックトークの作成を中心にしたホームページの作成や、アク セスによる蔵書データベースの作成と検索サービス、図書館だよりの作成、ラ イブラリーアワーなど積極的に読書推進の啓蒙に取り組んでいる。インターネッ トの利用はその一環といえる。

図書委員会
近藤 陽子(司書)

中学校 共同利用企画Plessuiの参加

 山梨大学付属中学校・千葉大学教育学部附属中学校・清水国際学園・広島大 学附属福山中学校・高等学校と共に、三菱総合研究所応用システム部の Plessui 実証実験に、参加した。内容は福山中学校の「酸性雨調査に関する」 プレゼンテーション授業を視聴し、リアルタイムで意見を交換しあうものであ る。生徒は意欲的に取り組んだ。

(7)その他

 技術科教員によるJAVAの活用。100校プロジェクト参加校からのメー ル募集に対する投稿。ALTのホームページづくり。年度始めの校内研修会に おいて、全教員に対するインターネット体験研修の実施。保護者向けの「コン ピュータ(インターネット)体験講座」の開講等。

2.平成8年度の成果と課題

 仙台一中のコンピュータ教育(インターネット活用)は、プロジェクト制で 運営されている。それは、基本的な校内研修の目標は決まっているが、それに 迫る方法がプロジェクトを君で研究しているのである。我が校のプロジェクト は、「コンピュータ教育」と「国際理解教育」である。教員は、この二つのプ ロジェクトの中から一つを選ぶか、或いは二つとも選ぶが両方選ばないかの三 つの選択ができる。もちろんどちらもやらない教員もおり、基本的には強制で はなく、やる気のある教員が集まり、研修に励んでいる。

 今年度コンピュータ教育(インターネット活用)に関わった教員は、職員5 0名中24名で推進してきた。やる気のある教員がお互いに連携をはかり非常 に運営しやすい組織だと思う。  次にインターネットに関する生徒の関心度についてたが、「インターネット は面白そうですか。」という質問に対して男女共に86%が「はい」と答えて いる。そして、インターネットを体験した後の「面白かったですか。」という 質問に対しては、男子の100%、女子92%が、「はい」と答えている。 「インターネットはやりがいがありますか」という質問にも、同様に男女共に 高い%を示している。司会、「インターネットは操作できそうですか。」とい う質問に対して、「はい」と答えた生徒が、女子は7%男子は35%という低 い数値を出している。これは生徒のインターネットに対する不安の現れだと予 想できる。そのために極力身近で簡単にインターネットに触れることができる ように配慮した。

 また、教員そして、保護者に対してもアピールをし、授業においても数々の 実践を試み、実践終了後は、「操作できるようになりましたか?」という質問 に対して、約70%生徒は、「はい」と答えるようになった。

 しかし、インターネットを活用した教育には多くの課題がある。例えば、回 線の問題で、本校は400台の端末でホームページを見ることができるように システムを組んでいる。

 しかし、回線の細さから同時にホームページにアクセスすることができ、ス トレスなく動作するのは約25台ほどである。回線に関しては今後改善の必要 がある。また、情報モラルの指導に関して中学校3年間を通して系統立てて指 導していく必要を感じている。

3.プロジェクトに参加して

 仙台一中は、昭和61年度より仙台ではコンピュータ教育の中心校として活 動してきた。平成8年度は、その集大成の一つとして文部省指定の公開授業も 行って来ている。当然その中では、インターネットを活用した授業の提供も行っ ている。その頃は立った1年で、これほどまえ、インターネットが社会に浸透 するとは思われなかった。本校に導入する時点では「何そんなもの。また忙し くなるだけだよ。」と言う声が聞かれたのは事実である。また、授業を行うに はその教員の多大なる労力をかけねばならなく、かといって他の授業や部活動、 生徒指導が減るわけでもない。そこで、一刻もはやく利用目的を検索するだけ で授業の活用ができるマニュアルをつくるべきではないかと考える。  今後、教育界にインターネットを定着させるにはやはり気軽に、肩を張らず に活用できることが一番だと思っている。そうすることが、「何そんなもの」 という教師、そして大人を減らす一番の特効薬と考える。

 私自信はこのプロジェクトのおかげで国内海外に友人を作ることができた。

100校プロジェクトに感謝したい。

(文責 白石 和)