100校プロジェクト 平成8年度実施状況


 本校は、昭和61年度よりコンピュ一タの活用を基本に置き、「一人ひとりを生かす学

習指導の研究」を主題とした校内研究に取り組んできた。本年度は、これまでの研究を基

盤に算数科を中心とした「授業改善」と「インタ−ネットの教育利用の可能性を求めて」

の二本柱で研究を進め、平成8年11月に今までの成果と課題について、授業公開を含め

たインターネット報告会を開いた。


 ○ネットワーク利用状況

  1、教科での利用(wwwを利用した情報教育)

   ・高学年の社会科や理科を中心に資料提示的に、または調べ学習的に利用。

    利用ページ:6年社会科 国会及び東京近郊の公的機関のホームページ。

          6年 理科 気孔の電子顕微鏡写真。

          5年社会科 日産自動車、九州工場のホームページ。

          5年 理科 衛星画像のあるホームページ。 など

    その他、歴史博物館、伝統工芸など一年前とくらべて資料になりそうなページが

    増える中、ブックマークに登録し必要に応じて利用。

  2、教科を越えた学習での利用

   ・自分のテーマでインターネット新聞を作ろう。(5年)

    各自がインターネットで蓄積してきた情報をグループで処理したり、加工したり

    して表現する。

   ・海外との交流(電子メールとwwwの利用)(6年)

    KIDSPACEとwwwを使って自分の興味ある情報の入手、加工。

    電子メールを使って外国の児童に直接質問をしたり、サーチエンジンで情報検索

    を行っての国際理解教育。

  3、wwwを利用した情報の提供

   本校のホームページで紹介している内容。

   ・相模原市内外の公共施設 ・本校の歴史や施設

   ・相模原市を中心とした史跡 など

  4、wwwを利用した学習成果の発表

   ・伝統工芸のまとめ(5年) ・淵野辺小の行事(5年)

   ・短歌、俳句(6年) ・コンピュータで描いた絵(6、2、1年)など

  5、その他

   BBSの利用

   ・リレー式の物語 ・短歌と俳句

   ・お友だちを作ろう

   チャットへの参加(TBS依頼によりワールドチャットに参加)


○平成8年度の成果と課題

 ・本校の取り組みの姿勢

  「あれこれ悩んでいるより、まずはやってみよう。」

  「やっていく中で、利用できそうな場面を探っていこう。」

  「やってみた結果をみんなに紹介し、広めていこう。」という考え方で進めてきた。

  その中で教育(学習)活動の抜本的改善を図る取り組みのきっかけになればと期待を

 こめてこの研究に取り組むことにした。

 ・リテラシー面の再編成

  昨年度までは児童の創造力や操作面を重視したリテラシーを5、6年でのインター

 ネット利用を考えに入れた、情報教育を重視したリテラシーに再編成。

  1、2年・・・マウス重視のお絵かき。

  3、4年・・・パソコン室内LANを使った情報交換。

  5年・・・・・インターネット:国内を中心とした情報処理。

  6年・・・・・インターネット:国外も含めた情報処理。

 ・教科利用より広い視点でのインターネット利用

  研究を進めていく中で、機器的な面・時間的な面などから一斉授業の中で提示的利

  用は難しいと感じた。それよりも、昨年度行ってきた海外との交流を生かして、もっ

  と「魅力あるものは?」と広がりを求めてきた。その一つの回答が、今年度報告会で

  公開した授業。情報処理能力や国際理解といった、将来、子どもたちが必要になるだ

  ろうと思われることをもとに、今の児童の生活に直接結びつくものをという視点から

  インターネット利用を考えた。実際には、AETを招いての授業や、外国の菓子の作

  り方を調べ作ったり、海外のクリスマスの様子を聞いてクラスのクリスマス会に取り

  入れたり、かなり魅力あるインターネット利用になったと感じている。

 ・インターネット利用における課題

  教育内容:新しい学力観に立った教育課程が必要。インタ一ネットの利用を推進して

       いくためには、総合的な学習としての位置付けが有効であると考える。横

       断的・総合的な学習時間の設定と各教科間の連携を図った指導が必要とな

       るなど、カリキュラムの弾力的な運営をいかにするか。

  倫理面 :ネットワ一ク利用上のル一ルやマナ一に関する指導やプライバシ一の保護

      や著作権に対する正しい認識等の指導など。相手の気持ちを思いやる心の

      育成など。

  教師自身:インタ−ネットを利用した学習形態は、子供たち中心の学習活動が予想さ

      れる。その活動を広く支援できる教師が、これからは望まれる。

  人材・機関:この一年でのインターネットに関する技術はめざましく、対応しきれな

       い。ネットワーク系の保守管理ができる人材や機関が必要。

  地域教育力:インターネットは英語圏が中心。小学校では英語に堪能な教員は多くな

       い。保護者や地域の理解と協力が必要。

  条件整備:今度の中教審では、近い将来、全国の学校にインタ−ネットを導入するこ

       とを答申している。これは一学校だけの問題としはかたづけられない。行

      政機関等が中心となって、インタ一ネットの導入や運営経費を含めたネッ

      トワ一クの整備に関する事業計画や予算化等を図っていってほしい。


○プロジェクトに参加して

   インタ一ネットの可能性を求めて研究を進めてきてみて、これまでの教科や特別

  活動等では得られないような子どもたちの自由な発想や、一人ひとりの個性や様々

  な能力を発揮する場が多くなり、楽しく意欲的に活動する子供たちが増えてきたよ

  うに思う。また、これらの活動を支援する教師の意識も確かに変革してきている。

  少しだがインタ一ネットの教育利用の可能性の光が見えはじめてきたように思う。

  技術面でもまだまだ未熟で戸惑うことの連続であるが、研究の方向性をもう一度見

  直し、21世紀を担う子供たちに夢と感動を与えるものとして、インタ一ネットの

  今後の学校教育での活用に限りない可能性と期待をもっている。


   平成8年度:インターネット報告会(授業公開含む)

         インターネット研修会(市内教職員対象)

   平成9年度予定:教育工学研究相模原大会 授業校