100校プロジェクト 平成8年度実施状況


○ネットワーク利用状況

・ネットワーク教材の作成

 ネットワーク教材の条件として、以下の項目を設定しおもに数学、英語を中 心に作成した。
1.単なる教科書のHTML化ではなく、指導目標が学習者に明示されてい ること。
2.リンクを行き来することで考えがまとまるように構成されていること。特 に単なる質問集(問題集)にならないこと。
3.プリントと教材への転用が考慮され、コンピュータがない教室でも疑似体 験ができること。
4.教材データベースの構築をインターネット上でできる形式であること。

・授業実践1

1年生対象、2クラス 数学I、数学A  計6時間
2年生対象、2クラス 数学II     計6時間
 ネットワーク教材をラインオフの状態で、使用できるようにし、個々の生徒 に自由に取り組ませた。

・授業実践2

 日常の生徒たちの会話を、英訳しHTML形式でまとめた。

・教材作成ツールの製作

 各フレームのリンクを決定するツールをDOSベースで作成した。また、リ ンク図作成ツールにより、効果的なリンクを検討できるようにした。

・文化祭におけるインターネットカフェの運営

 文化祭の呼び物としてインターネットカフェを開設し、生徒に運営を任せた。 3台の機器を使用。

・フレンズ校(姉妹校)とのE−mailの交換

 不定期ではあるが、フレンズ校とE−mailの交換をした。

○平成8年度の成果と課題

 ネットワークを利用する中で、HTML等ネットワーク技術を用いた教材の 開発が可能となり、従来の教材のあり方では、個々の教員の指導力という言葉 でまとめられていた内容を広く伝達可能な形態にできた。

 つまり、教材はネットワーク教材としてインターネット上に公開し、広く意 見を集めていくことが可能で、個々の教員の指導のノウハウを再生産性のある 形式で鳩首できる。

 また、ネットワーク教材の利点としては、オンラインの場合、教材データベー スができれば、それぞれの学校の教育課程にあった内容を選び、また手を加え て平素の授業に用いることができる。オフラインの場合、仮にスタンドアロン であっても、ハードディスクなどにコピーすることで利用できる。いずれの場 合もプリント教材への転用により、コンピュータのない教室でも活用ができる。

 「自ら学び考える力を培う」ことを目標に、教材は、「しくみ」と「考え方」 でまとめられ、生徒の思考方向をある程度制御できた。つまり、考え方のパター ンを選択できる生徒が増えた。

 技術的課題としては数式処理、動的なグラフ処理をHTMLにどう組み込む か、HTMLコンパイラの開発などがある。

○100校プロジェクトに参加して

100校プロジェクト対象校としての2年間を振り替えって

 経験のないUNIXやツールの少ない中でのスタートであったが、これまで 以上にコンピュータを用いた授業に教師、生徒とも興味をもつようになった。 特に、ネットワーク利用では、教員側において、視野の広がりを居ながらに体 験でき、次のような意識の変化があった。まず、教材の捉えかたでは、従来は 教科書中心で、副教材は問題集でリアルタイムなものが教材になるとしても、 たとえば「新聞」がその例、程度の意識しかなかったが、新しい教材、たとえ ば、外国の生徒との交流の中でなされる国際理解、酸性雨の共同調査分析など、 ネットワークならではの教材があり、また、これからの社会ではそういった教 材が必要であることが認識できた。

 平素の授業においては、板書説明、演習といった、一定の形から脱却し、授 業の構成そのものを考えることによって、授業内容を生徒が明確に捉えること ができるようになった。

 また、本県の状況から、他県教員との交流が少ない中で、本県特有の悩みと 思っていたことが、他県も同じであったり、生徒、教員とも視野を広げること ができた。