第W章 まとめと提言

4.1 100校・新100校プロジェクトの貢献

 通算5年の総括評価においては、主として、初期の二つのねらい(@能動的な学習の実現、A教室での授業がもつ制約を越えた教育、学習の実現)、および、国際化、地域展開への発展と技術面および教育面での高度化が達成されたか否かが検討されることになる。

 結論としては、これらのねらいは達成されたと言える。

4.1.1 国策への貢献

 100校、および新100校プロジェクトは、教育の情報化に大きな寄与をした。

 まず、最近のインターネット活用の組織的事業として、以後の情報教育推進の大きなきっかけとなった。

 100校プロジェクトが展開していたおかげで、こねっと・プランがより大規模に展開でき、さらに文部省を中心とするインターネット利用実践研究地域指定事業、情報通信ネットワーク拠点の整備、へき地学校高度情報通信設備(マルチメディア)活用方法研究開発事業、各都道府県・指定都市等の118校に対する光ファイバ網による学校ネットワーク活用方法研究開発事業、1,076校を30地区で最新の高速通信ネットワークによって結ぶ、先進的教育用ネットワークモデル地域事業等が次々と企画されても違和感がなく、新しい事業に取り組める雰囲気が醸成された。もし100校プロジェクトが先行していなかったら、日本の学校におけるインターネットの導入は、数年先になったであろう。

 次に、100校プロジェクトは、省庁間の緊密な関係をもたらし、教育の情報化に対するインターネットによる教育利用に関する4省間のバーチャルエージェンシーの展開に少なからず影響を与えたといえる。

 文部省と通商産業省は、(財)コンピュータ教育開発センターの設置以来、紆余曲折はありながらも、学校におけるコンピュータ教育の普及促進について着実に連携を深め事業を進めていた。自治省についても、文部省は学校へのコンピュータの導入・整備に関して、協力関係をもっていた。100校プロジェクトは、この文部省と通商産業省の密接な関係をさらに深める働きをした。   

 さらに、100校・新100校プロジェクトは、(財)コンピュータ教育開発センターの存在意義を高めた。いわゆる教育用標準コンピュータの開発が予定通りに進まず、BASICのCEC仕様、コンピュータ教育の普及促進等の展開に苦労していた時期に、100校プロジェクトが始まった。平成5年度の第3次補正で、建設債によるいわゆるハコモノの助成から、情報機器のインフラ整備に対象が広がり、教育界への情報通信技術の導入が文部省に対してではなく、通商産業省につくことになった。これが、結果的には、100校・新100校プロジェクト、平成10年度の第3次補正による教育コンテンツの制作を中心とした事業に展開し、文部省の内容面での指導を支え、予算獲得の面で、通商産業省がIPA、CECを通して、大きく日本の教育における情報化に寄与することになる。

 もちろん、CECだけの力ではない。うまく時勢に乗れたということでもある。

 100校プロジェクトが始まった頃、平成7年1月に文部省は、「マルチメディアの発展に対応した文教政策の推進について」の審議のまとめを発表しているし、2月には、高度情報通信社会推進本部が基本指針を発表した。同じ頃、情報化を推進する大きな力となった中央教育審議会への諮問がなされ、平成8年7月の答申、以後、教育課程審議会、情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議の報告、学習指導要領の告示に到る。

 並行して、教育改革プログラム、経済対策が相次いで発表され、教育の情報化がますます促進されることとなった。100校・新100校プロジェクトはこれらの動きと並行し、これらの施策を現実面で支持する役割の一端を担うことになった。

 

4.1.2 取り組みの変化

 100校・新100校プロジェクトに対する教育現場の取り組みは、大きくは、手さぐりの時代から人との交流の時代を経て、多様な活用の時代へと発展した。

 平成7年頃、インターネットが学校に導入された当時、教育現場では、インターネットを知っている教師は少なく、まして、使ったことのある教師はもっと少なかった。その中で、先進的な少数の教育関係者が意欲的な取り組みをみせた。その現れが100校プロジェクトに対する1,543校の応募であった。しかし、始めは、インターネットとは何か、どう使うのか、手さぐりの時期であった。技術的な支援をする地域ネットワーク、大学、企業等の技術者の助けで、どうやら動き始め、手さぐりの教育活用が始まった。情報を集め、交信しているうち、インターネットの向こうに人がいることが見えてきた。集めてくる情報をインターネットの向こうで作っている人がいる、メールで応えてくれる人がいる、友だちがいる、わたしたちの出す情報を見てくれる友だち、父母がいることがわかってきた。インターネットは、コンピュータではなく、コミュニケーションの素晴らしい道具である。この認識ができたとき、多様な教育活用の世界が開けてきた。何のためにインターネットを使うのか、目的をはっきりさせて使おう、地域に学校を開いて、情報を集め、発信しよう、海外の文化と日本の文化の共通点、相違点を比べて相互の理解を深めよう、共同調査をしよう、そのための準備を手間をかけてもやっておこうなど、インターネットを学習の道具として有効に活用しようとする研究的な態度が芽生え始めた。それが、国際化重点企画、地域展開重点企画、教育、技術、特殊教育の高度化研究の展開につながり、成果をあげた。

 

4.1.3 点から面への広がりと深まり

 インターネットの導入当初は、少数の教師、子どもがおそるおそる、そして、独占的に使う光景が多く見られた。次第に、使う仲間が増え、地域によっては、近所のボランティアとの交流が始まる。やがて、ネットワークを通じて外部からの情報を取り入れるだけでなく、情報を発信するようになり、学校外部からも情報が飛び込んでくるようになり、少数校どうしの交流を経て、複数校からなる共同研究、共同調査も進む。さらに、学校によっては、翻訳の支援体制を整え、国際的に交信の相手を広げていく。一方では、広がった相手の中から、ごく少数のグループが仲間となって、オフライン交流まで含む深い交流に展開していく場合も出てくる。

 

4.1.4 学びの変化

 インターネットにつながったときは、いろいろの情報を集めて学ぶ場合が多い。しかし、次第になかまにメールを送ったり、質問をして情報をもらったり、中には、アンケートを出して調査をする場合も出てくる。教室内で、先生からもっぱら教えてもらう学習を脱して、新しい主体的な学習が、しかも学校の壁を越えて展開するようになる。情報を選んで調べたり、積極的にネットワークを通して、また、直接デジカメをもって地域情報を自分たちで集めたりする。集めた情報を、マルチメディアの情報に編集し、見事にデザインして、ホームページで発信する。

 インターネットが学校に入る以前には考えられなかった学びがごく自然に展開している。まさに、インターネットは、「生きる力」を育てる学びを学校にもたらしている。これから学校に入ってくる「総合的な学習の時間」の学習を担う中核となることが予想される。

 

4.1.5 人材が育つ

 100校・新100校プロジェクトの4年半で、インターネット教育活用の指導者がおおぜい育ったといえる。中には、企業の技術者よりも高いノウハウをもち、学校内のネットワークを管理するだけでなく、企業の技術者を指導するだけの力を持った先生が育った。そのうちの何人かは、地域の指導主事として、多くの学校でのインターネット活用の指導に携わっている。単に教科の専門家としての指導主事と異なり、ネットワークを通して多くの未知の仲間、人たちと情報を交換し、メーリングリスト等で、多くの先生、ボランティアの方々と悩みを解決し、励まし合い、遠隔地の学校どうしで、複数学級のティームティーチングをするなど豊かな体験を持っている方が多い。その経験を活かして、暖かく、きめ細やかな指導ができるひと味もふた味も違う大きな指導主事が育っている。

 

4.1.6 環境整備が進む

 100校プロジェクトの始めの頃は、学校内のコンピュータの台数も少なく、それを使える先生の数が少なかった、校内LANも不十分であった。もちろんソフトウェアもコンテンツも少なかった。これらの条件整備は、4年半の間に格段に進んだ。

 校内LAN、サーバ、コンピュータの機種、応用ソフトウェア等が、充実し、使いやすくなり、多くの先生や子どもたちが、苦もなくインターネットを使いこなしている様子が普段に見られるようになっている。テレビ会議システムも使えるようになり、直接相手の顔を見ながら学習できる迫力と楽しさに、子どもたちは学習意欲を燃やしている。

 

 

4.1.7 問題もある

 残念ながら、よいことづくめではない。どうしても、ネットワークがうまく作動しない場合が出てくる。学校の先生の手で回復できる場合ばかりとは限らない。どうしても専門家の援助を必要とする場合がある。大事な授業がそのために壊されてしまうのは好ましいことではない。

 そこで、できる先生が頼りにされる。中には、自分の学校の仕事を終えてから、前任校へ手助けに行く先生もいる。インターネットの仕事が大変で、何日も午前様になった先生もいる。少数のできる先生に負担が集中する傾向がある。反対に、まったく無関心か、むしろ、インターネットを活用している先生の足を引っ張る同僚もいないわけではない。それが、管理職の場合は深刻である。2001年に全学校にインターネットが導入されることは、既定事項である。人の足を引っ張るひまに自ら研修に励むことこそ、そのような方にとって今まさに必要なのである。

 インターネットを通して、学級が地域社会や遠隔地あるいは世界に広がるとき、狭い小集団の中に陰湿に閉じこもることから生じるいじめや学級崩壊などの現象は激減するはずである。

 

4.2 提言

 以上のまとめのような輝かしい成果を100校・新100校プロジェクトはあげた。個々で得られた貴重な経験は、プロジェクトの終了とともに消えてしまってはいけない。教育に対する大損失になる。ポスト100校プロジェクトでさらなる発展を図るとともに、これから続く4万校の取り組みに有効な教訓を与えることができねばならない。100校・新100校プロジェクトの真の成果は、そのときに実証される。それには、これまでの体験をふまえた以下のような活動を真剣に検討する必要がある。

 

4.2.1 教育課程への位置づけ

 インターネットを教育の場で活用するには、しっかりと教育課程に位置づける必要がある。

 何のために活用するかの目的がはっきりしていないと、長続きしない。インターネットが導入された当初は、いろいろな情報源の探索、メールの交換、身近な身の回りのでき事、環境、社会、活動などの発信がなされた。しかし、次第に飽きが来て、長続きしない。継続的な学習の持続のためには、インターネット活用が、日常の学習の中で、地道に行われる必要がある。

 インターネットの活用には、

・そのこと自体を教育目標として学ぶ
・各教科等の教育内容を学習する道具として、インターネットを活用する
・総合的な学習の中で、情報収集、探索、比較、処理、制作をする道具としてインターネットを活用する

の三つの場合がある。

 インターネットを活用すること自体を教育目標とするのは、情報リテラシーの教育である。メールソフトの使い方、ブラウザの使い方、サーチエンジンの使い方、情報検索の仕方、ホームページの作り方等の技能の習得から、コンピュータのしくみ、情報処理のしくみ、コンテンツの著作権、情報発信の倫理、社会的な意味等を体験的、系統的に学ぶことである。

 100校・新100校プロジェクトでは、この種の使い方に正面から取り組んだ例はほとんどないと思われる。多くは、インターネットを学習の道具として使うことをねらっており、副次的な結果として、インターネット活用のリテラシーを身につけることにも役立つというところである。

 教科の学習としては、国語、社会、理科、音楽、美術、英語等の調べ学習、共同学習、共同調査、共同制作等、交流学習が行われているが、今後、全学校にインターネットが導入されることになると、もっとこの種の成功事例を数多く積み上げておく必要がある。

 現在ほとんど多くの実践は、「総合的な学習」に属するものと言える。環境学習、地域文化の学習、異文化比較、生活習慣調べ、値段調べ、生産地調べ、植物栽培等の子どもが興味をもつ主題で主体的な学習が展開する。単なる興味本意の身近なものの調べ、情報交換は、数回で飽きられる。継続するには、事前の十分な準備と学習交流中の絶えざる教師間の情報交換が支えとなる。また、学習以外にも普段に子どもどうしの相互の情報交流を基盤として、仲間意識を育てることが大切である。

 

4.2.2 授業方法の変革

 インターネットを活用する教育の効果をあげるには、学習観、教育観を変える必要がある。

 従来の伝統的な教育では、教師は、知識の宝庫をもち、そこから必要な知識を教科書に従って、子どもに伝授した。この種の使い方も基礎基本の学力を身につけさせるには、有効である。インターネットを活用して、教師が、自分の代わりに世界の知識を子どもに伝えてもよい。しかし、子ども自身に世界の知識を取り出させることのほうが望ましい。子どもの主体的な学習活動をインターネットで支援する。それには、子どもに、ブラウザの使い方、サーチエンジンの使い方、データベースの活用の仕方、著作権の尊重、データの批判的な解釈、メールでの問い合わせ方等を系統的に指導するカリキュラムと指導案を完備しておくことが重要である。できれば、Webベースの指導マニュアルや練習問題集がほしい。

 さらに、子どもにデジタルカメラ、ビデオを持たせて、地域社会等を取材させ、文字、映像、音声等を組み合わせたマルチメディア作品を作成させる。それをホームページ等を通して発信させ、外からの反応をもらう。質問、批判等を受けて、さらに修正し、再発信する。この過程を指定校、協力校、姉妹校、海外の学校等との間で反復する。このような学習によって、知識構築型の学習ができる。

 

4.2.3 教材の整備

 インターネットによる主体的な学習を成功させるには、インターネット上に豊かな教材を用意しておく必要がある。

 学校にパッケージ型の教材を準備するだけでなく、Webベースの教材を出しているサイトの情報を整備することが大切である。さらに、子ども向きの教育的な情報を出しているサイトへリンクをはり、その集合をつくる。すなわち、しかるべき中央センターに、教材リンク集の窓口を置き、そこから、校種、発達段階、学年、教科、道徳、国際、情報、環境、福祉、進路指導など、学校での学習に必要な情報源をもつサイトの情報を集め、分類して位置づけ、そこへリンクを張る。

 官庁、企業、研究所、大学、社会教育施設などには、普通の大人向けのホームページのほかに、国威発揚のため、英語の教育のため、英語のホームページを作るとともに、子どもにわかりやすいホームページを作ることを要請する。

 さらに、教材リンク集を持続的に有効に維持するため、内容の更新、評価、改善や特定のサイトの消滅、悪化などの情報を、絶えずセンターに利用者から集める自主的な仕組みを作る。

 

4.2.4 教員の研修

 インターネットの教育活用を普及させるには、能力水準に応じた多様な教員研修の実施が必要である。

 まず、100校・新100校プロジェクトで育った優れた人材に、ただちに、各地域の情報化推進コーディネータとして活躍してもらう。当該広域の教育の情報化を推進する中核となり、企画、予算取り、研修、普及、実践指導など教育委員会の立場に立って事業を進めてもらう。

 さらに、100校・新100校プロジェクトでの活動を体験した教員の中から、適切な人を選び、至急、情報化推進コーディネータに養成する。初めは、情報化推進コーディネータの補佐役として、情報化推進地域リーダーとなり、経験を積み、後に責任地域を持って、広域担当のコーディネータになる。

 地域リーダーの研修も急務である。研修カリキュラムを開発し、研修教材をマルチメディア、Webベースで制作活用することが必要である。

 100校・新100校プロジェクトの成功は、校内リーダーの活躍によるところが大きい。校内リーダーの多くは、コーディネータ、地域リーダーとして、活躍することになると思われるので、100校・新100校プロジェクト経験者の中から、適当な教員に、校内リーダーとしての資質を養成することが有効である。そのための研修カリキュラム、マルチメディア教材などの開発活用が急務である。

 さらに4万校全部にインターネットが普及することを前提に、一般教員に対する研修を全国で展開する必要がある。その際には、100校・新100校プロジェクトを中心に、こねっと・プランなどの先進校を研修の場として活用する。平成11年夏から活動を始める、通信衛星による教育情報通信ネットワークをこれらの研修に大々的に活用する。

 

4.2.5 支援の充実

 学校がインターネットを有効活用できるように、多方面からの支援体制を整えることが不可欠である。

 100校・新100校プロジェクトが成功した大きな原因の一つは、各方面からの多くの支援である。教育専門家、技術者、行政、ボランティア、父母、地域社会、企業などである。今後これらの支援を体系化、組織化して、全国で、効果的に機能させることが望ましい。

 まず、教育研究者、専門家、100校・新100校プロジェクト経験者などからなる、教育支援グループの組織化である。既存の教育工学関連の学協会、教育研究団体と協調することも有効である。このグループがいわば、情報化推進の知恵袋となる。

 技術援助としては、地域ネットワーク、大学、企業などの専門技術者のネットワークを維持し、組織的に、学校や地域のインターネット利用の際の問題解決にあたる。問題によって難易度に応じた対応の取れる体制を作る。情報化推進コーディネータがそのとりまとめの核となることが効果的と思われる。

 学校の情報化は、地域社会、父母の支援を必要とする。できるだけ多くの人々に関心を持ってもらうよう、学校開放、地域への情報公開、地域社会を巻き込む学習活動を促進する。これによって、学校をとりまく人々の理解が深まり、各人がもっている潜在能力の活用にもつながる。地域住民の持つ技術力、知力、経済力、政治力、人脈が教育に貢献する。学校が、地域の人々が協力して育てる大切な宝物であると意識されるようになる。

 学習内容については、教科の専門家、知恵者などのネットワークが組織され、子どもや教師の疑問に応えることができるよう、バーチャルネットワーク相談室を各地域で組織し、その全国化を図る。ホームページと異なり、直接問題解決への示唆を得ることができる。

 国際展開を支援するには、各地域に翻訳ボランティアを組織し、予算を手当して、仕事を委託するような仕組みを設ける。海外の学校との仲だちをする地域住民とのつながりも大切である。

 インターネットの活用にあたっては、資料の著作権、プライバシーや発信に際しての情報倫理がきわめて重要である。これらに適切に対応するための相談にのる仕組みを設けることも大切である。

 上記の各種多様な問題に適切な回答を与えるためのいわゆるヘルプデスクを各地方に設け、その全国ネットワークを中央のしかるべきセンターで援助する機構を作ることが望ましい。

 

4.2.6 条件整備の充実

 インターネットの教育活用を推進するには、環境整備が重要である。

 学校の各教室からインターネットを使えるようにする条件整備、校舎のインテリジェント化、マルチメディアに対応する機器の整備、教員と子ども一人当て1台の機器の配当、回線の高速化などをできるだけ早い機会に実現する。ハッカー、コンピュータウイルスなどに対する対策をはじめ、セキュリティ対策をしっかりと立てる。

 マルチメディア教材、使いやすい各種オーサリング、ブラウザ、サーチエンジン、フィルタリング、グループウェアなどのソフトウェアの開発整備を進める。

 また、教育に使いやすいドメイン名の設定によって、学校間の情報交流を効率的にする。

 いろいろな方式の通信技術の間の相互交流を円滑に行えるよう、通信回線の利用の統合化、透明化をはかる。

 

4.2.7 研究の推進

 インターネットに関する実証的な研究を促進する。

 100校・新100校プロジェクトでは、手さぐりの中で懸命の作業が続き、計画的な教育活用研究、教育効果研究を事前に立てて実施することができなかった。

 教育の効果があったといっても、もっぱら当事者の印象であって、否定的な感情を持つ管理職、教員、教育行政、財政当局、議会、国民があった場合、彼らを説得するには不十分である。

 今後の展開においては、これまでの経験をもとに、始めから計画的な教育活用研究、教育効果研究を設計し、信用のおけるデータに基づき、教育効果を論理的に証明する必要がある。これまでの研究者集団を結集して、本格的な研究開発に取り組むための研究費の助成と、行政、現場の研究協力が不可欠である。

 

4.2.8 4万校への広がり

 インターネットの教育活用を促進する全国的な情報交流の場を設営することが大切である。

 このような各種の施策を積み上げることによって、100校・新100校プロジェクトの貴重な体験から得られたノウハウ、知恵、人材、人脈、資材、仕組みを4万校に広げるため、100校・新100校プロジェクト、こねっと・プラン、その後の各種事業に関係する先進校グループとこれから2年のうちにインターネットを学校に導入する学校グループとが一緒になって、相互に交流しながら日本の教育の情報化を推進することが大切である。それには、すべての関係者が関与する、メーリングリストを立ち上げ、また、掲示板などの機能を活用するよう、中央や地域のセンターが管理するしくみを緊急に整備することが必要である。

                           

 

 


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