X 実践事例
1.A県における活用実践例
実施要項 (抜粋)
1)ねらい
学校における情報教育充実のために,平成2年度から教育用コンピュータの導入を推進している。しかし,平成6年3月の調査によると,コンピュータの指導ができる教員は20%弱である。そこで,各種コンピュータの研修に情報処理技術者等を派遣し,教職員のコンピュータ操作技術の向上や活用能力の育成を図り,学校におけるコンピュータ活用を推進し学校教育の活性化を図る。
2)事業期間
平成7年から平成12年までの6年間
3)事業内容
@ 派遣内容
ア コンピュータに関する研修の指導
イ コンピュータを利用する授業やクラブ活動の補助又はコンピュータの操作等に関する指導
ウ 部活動におけるコンピュータの操作等に関する指導
エ 教員のソフトウェア開発に対する助言
オ 最新の技術動向等についての情報収集
カ その他技術面に関する相談
A 派遣先
ア 県教育委員会・教育事務所(以下-事務所-という)が主催するコンピュータ研修会
イ 市町村教育委員会が主催する研修会
ウ 県立学校および小学校・中学校が計画する研修会等
B 派遣方法
ア 各種研修会の講師として,事務所,市町村教委,各学校の要請に応じて派遣する。
イ 派遣日数は年間105日間
・教職経験者研修への派遣(各教育事務所単位で各会場3日間ずつ)
・市町村教委,各学校が計画する研修会への派遣( 半日〜1日)
ウ 派遣する情報処理技術者等は,2人としティームティーチングで行う。
エ 研修内容は,要請のあった事務所,市町村教委,学校の計画による。
4)企業等の選定
財)コンピュータ教育開発センター(CEC)に登録されている企業のほか,これに準ずる各地区の企業とする。
5)事業手順
<小学校・中学校及び事務所,市町村教委主催の場合>
@ 学校教育課は,事務所および市町村教委・小学校・中学校に本事業の実施を通知する。
A 各小学校・中学校は,派遣要請書(様式1)を市町村教委に提出する。
B 市町村教委は,市町村教委主催の研修については派遣要請書(様式2)を作成し,Aとともに事務所に提出する。
C 事務所は,事務所で主催する研修会及び市町村教委と各学校の派遣要請書を派遣日数に応じて調整した事業計画書(様式3)を学校教育課に提出する。
D 学校教育課は,事業計画書をもとに企業と派遣日数等を調整のうえ決定し,事務所および市町村教委に通知する。
E 小学校・中学校は事業実施後,事業実施報告書(様式4)を市町村教委に提出する。
F 市町村教委は事業実施後,事業実施報告書(様式4)を作成し,Eとともに事務所に提出する。
G 事務所は事業報告書(様式4),理由を付した欠席者一覧表およびFを学校教育課に提出する。
<県立学校主催の場合>
@ 学校教育課は,学校に本事業の実施を通知する。
A 学校は,派遣要請書(様式1)を学校教育課に提出する。
B 学校教育課は,派遣日程等について企業と調整を行い,決定を通知する。
C 学校は事業実施後,事業実施報告書(様式4)を学校教育課に提出する。
6)事業経費
事業計画書に基づき,所要経費を学校教育課が負担する。
※平成9年度の派遣実績
活用事例
<小学校での活用事例>
1)実施期日 夏季休業中の1日
2)実施時間 5時間
3)研修の内容 「統合ソフトを使った教材作成」
@ 教師が操作する部分に関する研修
@起動の仕方
@環境設定の仕方
・画面の設定
・スキャナーの設定
・音や声の設定
・ディスクの設定 等
A 児童が行う操作に関する研修
@アニメーションの作り方
・背景の作成の仕方
・自由な動きのつけ方
・効果音,遠近感のつけ方
@「統合ソフト」を使った教材作成,演習
@「統合ソフト」を使った表,グラフの作成の仕方
・文字入力の仕方
・表題入力の仕方
・表,グラフの作り方
・いろいろな表,グラフの作り方
・教材への応用
4)研修後の感想
本校ではコンピュータを利用した単元(題材)一覧表を作成し,各学年において,年間を通してコンピュータの活用が図られるようにしている。「統合ソフト」はコンピュータを活用した学習を効果的に進めていくために不可欠のソフトである。このソフトを使った教材作成の研修を全教員で行ったことは,コンピュータを活用した学習の在り方についての理解を深めただけでなく,学習指導法の改善に少しでも役立てることができたのではないかと考える。
<高等学校での活用事例>
1)実施期日 夏季休業中の11日間
2)実施時間 1日2時間 合計22時間
3)研修の内容
@ コンピュータに関する研修
学校で使用しているコンピュータ言語によるプログラム開発の方法(アルゴリズム)についての研修を行った。
・データの並び替え(ソート)
基本交換法
基本挿入法
基本選択法など
・文字列に関する方法
文字列の検索
配列処理など
・順位付けの方法
・データの検索
逐次検索
2分検索など
A 最新の技術動向等に関する情報収集
企業におけるコンピュータシステムの開発の実態について,情報処理技術者試験に沿った内容での説明を受けた。
4)研修後の感想
コンピュータに関する研修では,フローチャートを用いながら実際のデータがどのように処理されるかなどの詳細についての説明があり,プログラミングする上で非常に役に立つ内容であった。
11日間の計画に沿って,OHPを用いながらの具体的な説明であり,その教材や説明の方法などとても参考になった。また,生徒が今後情報技術を学習する上での心構えや企業での情報に関する産業の実態などの話などが時折あり,学習意欲の喚起にもつながったと思う。
主体は生徒だったが,職員の研修としても十分役に立ったところが多くあった。
<教育事務所主催の研修会での活用事例>
1)実施期日 夏季休業中の連続した3日間
2)実施時間 1日6時間 合計18時間
3)研修の内容 「表計算ソフト」に関する研修
@ コンピュータの仕組みと基本操作(Windows95)
A 表計算ソフトの活用法(基礎)
@ソフトの特徴について
・表計算機能 ・グラフ機能 ・データベース機能
@ソフトの基本操作について
・命令メニューの呼び出し方,選択の方法,取り消し方
・文字や数値の入力の仕方,修正の仕方
・ファイルの保存と呼び出し方
@表計算機能について
・計算式の入力と関数を利用した計算式の入力
・列幅の変更,罫線の引き方,行や列の挿入の仕方
・印刷の仕方
・終了の仕方
@グラフ作成機能について
・グラフの作成の仕方,グラフの模様や色の変更の仕方
・表とグラフの印刷と保存の仕方
B 表計算ソフトの活用法(応用)
@データベース機能について
・データの検索,抽出,ソートの手順
@マクロ機能について
・マクロの作成と実行の手順
C 各自のレベルに応じた演習
4)研修後の感想
コンピュータの基本操作(Windows95)から表計算ソフトの活用の仕方まで,インストラクターによる段階を踏んだ丁寧な説明と,きめ細かな指導で,初心者の先生も安心して最後まで取り組むことができた。
参加者の受講態度は終始意欲的で,実際の操作を通して一つ一つ確かめながらじっくり取り組んでいた。休憩時間にも熱心にコンピュータに向かう姿が見受けられ,所期の目的は十分に達成することができたと考える。
今後,研修で取り扱うソフトの選定(授業で使えるソフト等)の在り方や個人差に応ずるための方策を検討して行くことが必要であると思われる。
2.B県における活用実践例
実施要項 (抜粋)
1)目的
@ 総合教育センターにおける情報教育研修の支援,ソフトウェアライブラリセンターの運営の支援として,民間の情報処理技術者(SE)を活用することにより,情報教 育の一層の推進を図る。
A 県内各学校に情報処理技術者を派遣し,教職員のコンピュータ操作能力の向上と授業での活用法の普及を図る。
2)事業の概要
@ 総合教育センター派遣
ア 派遣内容 1人×6時間×3日×52週(年間156人日)
イ 活用内容
・教育用ソフトウェアライブラリセンターでの指導支援,各教科研修での指導支援
・各教科教材ソフト開発の支援,各研修室のコンピュータ活用法に対する相談支援
A 学校巡回指導
ア 派遣内容
・県内小中学校,高等学校(普通科),特殊教育諸学校を3年間に分けて巡回指導する。
・本年度予定校数 : 240校
・派遣日数 : 原則として1校当たり1日(6時間)
イ 活用内容
・コンピュータに関する研修支援
・コンピュータを利用する授業等やクラブ活動の補助
・部活動におけるコンピュータの操作等に関する指導
・その他
ウ 対象者
・原則として,巡回校の教職員,児童とする。特に,「学校における情報教育の実態調査」において,コンピュータの操作ができないと回答した教員を優先する。
エ 派遣方法
・学校,市町村教育委員会,教育事務所を通して巡回指導希望学校を調査,決定する。
・教育事務所(市町村教育委員会)単位に委託業者を決定し,巡回指導計画をたて実施する。
・実施報告書を提出させる。
3)概要構想図
※平成9年度の派遣実績
・小,中学校への派遣 222校
・高等学校への派遣 13校
・特殊教育諸学校への派遣 5校
活用事例
<高等学校での活用事例>
各学校(高等学校普通科)で実施するコンピュータに関する研修の講師として,情報処理技術者を派遣し,学校の実態や要望に基づいて研修を実施した。
実施時間は,1校当たり6時間程度である。また,受講者は学校の体制や諸行事によりいろいろなパターンが見られた。
以下,いくつかの各学校での研修内容及び成果と課題について記述する。
−事例1−
1)研修の内容
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活 用 内 容 |
時 間 |
受講者等 |
1.ワープロソフトの操作と応用
@ 多くの情報を画面に出す方法
A 全角・半角・倍角・ひらがな等文字入力の方法
B センタリング・右寄せ・左寄せの方法
C 保存の方法
D ショートカットのやり方
E 罫線,下線の引き方
F 多くの色の出し方
2.表計算ソフトの操作と応用
@ 表の作り方
A 枠の大きさの変え方
B 保存の方法
C 合計・平均・最高・最低の出し方
D 複写の方法
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3時間
3時間
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20名
13名
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2)成果と課題
丁寧に教えていただき,今までコンピュータを操作したことのなかった者にとっては,良い一歩となった。
しかし,短時間の講習であり,コンピュータの多くの機能を学ぶには不十分で,今後各自が習ったことを応用させていく段階にまではならないことが課題である。
−事例2−
1)研修の内容
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活 用 内 容 |
時 間 |
受講者等 |
1.Windowsの基本操作
本校教員をA,Bの2班に分けて研修を実施した。
A班
B班
2.表計算ソフトによる模擬成績表の作成
全員での研修
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1.5時間
1.5時間
3時間
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25名
21名
40名
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2)成果と課題
大部分の教員がワープロ専用機で文書作成は可能なので,前半の研修では,windowsの基本操作のみにした。
後半の研修では,表計算ソフトによる成績の集計処理の指導を受けた。これを発展させ,実際に利用できるように研修を積んでいく必要がある。
−事例3−
1)研修の内容
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活 用 内 容 |
時 間 |
受講者等 |
表計算ソフトの活用について
1 ワークシートについて
@ ソフトの起動
A 関数について
B 列幅について
C 複写と移動
D ブック形式について
2 マクロについて
@ キー記録マクロについて
A マクロの登録について
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3時間
3時間
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32名
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2)成果と課題
本校においては,コンピュータをワープロとして使用することについては問題がなく,表計算ソフトのみの研修としたところ,多数の教員が参加し意欲的に取り組んだ。成績処理を念頭に,ワークシートの作成の仕方とマクロの機能を学習した。実際の現場ですぐに活用が可能な有意義な研修であった。
−事例4−
1)研修の内容
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活 用 内 容 |
時 間 |
受講者等 |
1.コンピュータに関する校内研修の指導
2.教科の指導内容やクラブ活動への活用に関する指導
3.その他技術面に関する指導
※次の3コースに分けて研修を実施した。
@初級コース(10:00〜12:00)
表計算ソフトの初歩
−簡単な成績処理等について−
A中級コース(13:00〜15:00)
ワープロソフトの初歩
−文書作成等について−
B上級コース(15:00〜17:00)
表計算ソフト,ワープロソフト等の応用
−個別指導−
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2時間
2時間
2時間
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11名
14名
5名
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2)成果と課題
@成果
@コースに分けて研修したので,Windowsの基本的で初歩の技術の修得に役立った。 @Windowsによる表計算,ワープロの初歩の技術の修得に役立った。
@表計算ソフトについて個別に指導を受け,不明な部分の理解に役立った。
A課題等
@授業(定期考査)と併行で実施したので時間配分が必ずしも適切にできなかった。 @昼食や休憩の時間をゆとりを持ってとる必要がある。
@表計算,ワープロともに1コースの研修時間が足りないようであった。
@個別指導は講師一人では必ずしも十分には研修できないようであった。