Y 成果と課題
1)成果
@多くの教員が研修の機会を得ることができた。
今年度実施した自治体の多くが、教員のボトムアップをねらいとして研修を行っている。情報処理技術者等委嘱事業実施前は,教育委員会や教育センターの指導主事や現場の教員等が指導にあたることが多く,実施回数や実施内容にある程度の制限があった。しかし,情報処理技術者等を活用することでその制限が緩和され,より多くの教員が研修の機会を得ることが可能となった。複数年計画で全教員が研修を受けるように計画・実施している自治体も多く見られる。
A教員の研修意欲が向上した。
B教員のコンピュータ操作技能が向上した。
学校に導入している機器やソフトウェアを使っての研修であるため,研修後の復習や実践が容易となり,機器に触れる機会が多くなった。また,校内の職員が同じ研修を受けているため,疑問点の解消や応用への取り組みに対する相談相手が多くなったことが技能の向上につながっている。
C授業補助によりコンピュータを活用した授業に安心して取り組めるようになった。
コンピュータを活用した授業の必要性を感じてはいるものの,機器の操作に自信が持てないため活用を敬遠している教員がかなり多い。授業中に機器のトラブルがあったり,技術的な質問が合ったりした場合,それに対応できないのが現状である。しかし,情報処理技術者にそれらの対応を任せることにより,不安が消え,コンピュータを活用した授業に取り組むもうとする教員が増えてきた。
また,児童・生徒がコンピュータに興味や関心を持ち,専門的な知識を得ようとする側面も見えてきた。このような時,情報処理技術者から専門的な知識や助言を受けることにより,児童・生徒の意欲が向上し,さらに積極的に学習しようとするする態度が見られた。
Dコンピュータのさまざまな活用法を知ることができた。
学校現場では,コンピュータに関する最新情報や活用の可能性に関する情報を得ることは難しいというのが現状である。情報処理技術者から得る最新情報やさまざまな活用法は,各学校がコンピュータ教育に取り組もうとする際,非常に参考となるものであった。
2)課題
@派遣日数や派遣校数を増やす環境づくりが必要である。
「研修を受け,コンピュータ活用に興味を持ったが,各学校への派遣日数が限られているため,その後研修を受けるチャンスがなく,そのままになってしまい残念である。」という感想を多く耳にする。各学校への派遣日数を増やし,ある程度の研修時間を確保することが研修の効果を高める一方法とも考えられる。現場からの声をもとに,派遣日数を倍にして,十分な研修時間を確保した自治体も見られる。予算の増加ができればそれに越したことはないが,限られた予算の中で効果的な活用法も考えていく必要がある。
A研修における情報処理技術者の役割を共通理解する必要がある。
研修を行う中で,学校現場からの要望と情報処理技術者の職務の認識が違っているためのトラブルも見られる。双方の担当者が綿密な打ち合わせを行い,研修での役割分担を明確にしておくことが大切である。
情報処理技術者は、あくまでもコンピュータに関する技術に優れている人材であり、教育については素人であることを忘れてはならない。教育内容とコンピュータに関する内容を切り分けを行い,研修を進めていく必要がある。ある県では、情報処理技術者と指導主事が同行して研修会を実施するよう工夫をして、研修効果を高めている例も見られる。
情報処理技術者等委嘱事業が始まって4年目となり,多くの自治体で実施されています。教員のコンピュータ操作技能の向上をめざしてスタートした本事業ではありますが,活用が進むにつれて,操作技能だけでなく日常の授業で活用できるような研修への要望も高まってくるものと考えられます。さらに,学校へのインターネット導入等,情報化社会の進展とともに、それを有効に活用していくための教員研修は、今後も重要です。
このようなことから,情報処理技術者等委嘱事業の重要性はさらに高まるものと思われます。コンピュータを活用した教育を推進するためにも、本事業の充実を願いたいと思います。