ホームページを製作しよう

中学校第3学年・技術・家庭科
笠間市立笠間中学校 蔵渕 俊郎
キーワード 中学校,3年,技術・家庭科,インターネット,電子メール,著作権


インターネット利用の意図
  技術 ・ 家庭科の情報基礎領域では,作品作りとして今まで取り組んできたのは,文章を作る(名刺作りなど),絵を描く(絵本など)と生徒自身にとって限られた中でしか自分の創意を生かすことができなかった。生徒自身が自分の個性を生かし,様々な内容で自分の興味のあるものについて作品作りができないかと考え,既習領域の住居を取り入れてテーマとし,情報基礎で学習を深めてみた。
 データの収集でも,現在ある設備を使ってできる内容を考えてみた。インターネットで様々な分野から自分の調べたい内容に取り組み,教室の中だけの授業から,教室に居ながらにして外の世界と学習していくことを進めてみた。
 今回は,テーマを住居だけに絞って,ティーム・ティーチングを取り入れながら,技術と家庭の教師がどのように関わりながら授業を行うか試みてみた。


1 ホームページの作成
(1) ねらい
 技術・家庭科の「情報とコンピュータ」の学習では,高度情報通信社会の進展を踏まえ情報活用能力を育成する観点から,コンピュータの活用に必要な基礎的・基本的な内容を実践的・体験的な学習活動を通して指導するようになる。この学習を通して,生徒は生活や産業の中で情報手段が果たしている役割やコンピュータの基本的な構成と機能および操作,情報通信ネットワークについて履修する。そのためには,既習領域の住居で学習した内容を,さらに発展させて情報基礎のテーマとして取り扱い,自分のテーマに沿って,様々な方法を用いてデータを収集する。そして,収集したデータをもとにして,自分のテーマに添って発表原稿を構成し,ホームページを作成する学習を進めてみた。
(2) 指導目標
 活動を通して,生徒自身が生活をより豊かにするために,コンピュータを継続的に活用することができる能力を養いながら,コンピュータの構成と機能を知り,基本的な操作方法を身につけたり,コンピュータの構成やソフトウェアの機能や特徴を理解することができる。さらに,自分の思いを,様々な資料や方法でホームページの作品としてまとめ発信することができるとともに,自らの課題を解決する能力と生活に生かす態度を育成する。
(3) 利用場面
 (a) インターネットエクスプローラで,自分が収集したいデータについて検索する。
 (b) AL-mailで製作者と連絡を取り,使用許可の了解を得る。
 (c) デジタルカメラを使って,ホームページに載せたい写真を撮ってくる。
 (d) スキャナを使って,絵や写真をデータとして取り込む。
 (e) cube for windowsを使って,絵や文章を作り,ホームページを制作する。
(4) 利用環境
 (a) 使用機種 NEC-PC9821 Cb 22台 Xn 1台 
 (b) 周辺機器 液晶プロジェクター ,デジタルカメラ ソニーサイバーショット 1台
        カラーイメージスキャナ,MO,ハブ,ルータ 
 (c) 稼働環境 コンピュータ室 NEC-PC9821Cb(Windows3.1) 22台,Xn(Windows95) 1台
           (128kでインターネット接続)
 (d) 使用ソフト AL-mail,インターネットエクスプローラ3.0(フリーソフト)
         Paint Shop Pro(2本),cube for windows ver.2(22本)

2 指導計画

指導計画(10/11)留 意 点
(a)(b)(c)(d)生徒自身に著作権について学習を進めながら,いろいろなホームページから様々なデータを検索し,電子メールを使って使用許可を取りながら,資料収集することを行った。デジタルカメラを使っても,資料の収集をする。
(表1,2,3,図1,2,3)
★インターネットの利用
☆Paint Shop Pro
★検索したホームページの資料を使用する時には,生徒個人のメールを使って,製作者からデータの使用の許可を取る。
・今と昔の家の違いについてわかりやすくまとめられるように,生徒が,自分の家や親戚の家などをデジタルカメラを使って撮影し,実際のデータを収集する。
(e)(f)(g)(h)(i)ホームページをつくる。
(図4,5)
・収集した資料をもとに,自分たちのテーマに沿ったホームページを制作する。
(j)(k) 「発表会」今まで自分たちが制作してきた作品を,ビデオプロジェクターを使って紹介する。(図6,7)・生徒は,他の友達の作品を見ることによって,住居についての様々な視点からの知識を得る。


【笠間中学校からのお願いのメール】
 突然の手紙で失礼とは存じますが,私は茨城県笠間市立笠間中学校3年3組の〇〇〇〇といいます。
 私は今,技術・家庭科の授業で未来の住居について調べて,その内容をホームページにまとめるという制作をしています。
 調べるにあたって,実際に工務店へ行ったところ,△△△△さんの「sw工法」というパンフレットをいただきました。私たちは,そのパンフレット中の〈高性能サッシ「サーマル」〉の絵と,〈スーパーウォールパネルの構造〉の絵をホームページに載せさせていただきたいと考えました。それらの絵があれば,クラスの友達や先生方に見てもらう際により分かりやすくなると思います。絵を使わせていただけないでしょうか?

【△△△△さんからの返事のメール】
〇〇〇〇様
 弊社パンフレットにご興味をもっていただき,ありがとうございます。
 お問い合わせのイラストの件,学校の授業で発表される範囲でしたら,ご自由にご使用いただいて結構です。
 素晴らしいホームページが制作できるよう,がんばってくださいね。
 

表1,図1 電子メールのやりとりと作品例


【笠間中学校からのお願いのメール】
>こんにちは。私は笠間中学校3年の〇〇〇と申します。
>現在技術家庭科の授業で「高齢者が安心して住める家」について調べています。
>そこで,是非私達のホームページに,△
△△工業さんのモデルハウス,介護用品ショップのホームページに使われている「リフト浴槽,上下便座,トイレ,ステアリフト,上下洗面」の写真をお借りしたいのですが,よろしいでしょうか?

表2

【△△△さんからの返事のメール】
茨城県笠間市ですか?笠間稲荷のちょっ と 南の中学校ですか?
高齢社会だものね・・・
『写真:△△△工業鰍謔閨xとでも記して頂ければ,ご自由にお使い下さい。
ホームページ完成したらメール下さいね
楽しみにしています。
 △△△工業株式会社
 △△△@mail.wind.ne.jp ^o^

図2
 


突然メールを送ります。
 僕は,笠間中学校の〇〇です。
 今,僕の学校では住まいのホームページを作っています。僕たちの班では,住まいの照明を調べています。インターネットで調べてみると,貴社のホームページに僕たちがほしかった内容の資料が載っていたので,誠に勝手ながらデータを使用させていただきたくメールを送りました。どうぞよろしくお願いします。
表3

△△△電力株式会社 広報部製作グループ
〇〇様
 この度は,弊社ホームページをご覧頂きまして,誠にありがとうございました。
弊社のホームページ上で有効な資料につきましては,転用していただいてかまいませんので,どうぞご活用ねがいます。
 また,更に詳しいデータ等がご希望でありましたら,こちらより資料等も郵送できますので,ご連絡をお待ちしております。

図3

 
図4 デジタルカメラで写した生徒の家  図5 見学してきた住宅展示場

 
図6・7 作品発表の様子


4 成果と課題
 生徒一人一人が,自分のペースにあわせて作品を作っていくことにより,興味や関心はとても強いものになった。さらに,自分の作品を紹介することにより,積極性と責任感が生まれてきた。また,メール交換を通して,大人の優しさや社会の仕組みについても学ぶことができた。
 今後は,技術と家庭の授業の組み合せばかりでなく,さまざまな教科の組み合わせにより,さらに生徒の要望に応じた課題解決学習を発展させていきたい。そのために,他教科の教師の理解と協力,さらに教師の力量のベースアップを図っていきたい。

ワンポイントアドバイス
  ホームページの作成は,ウインドウズ95以上の場合は,フロントページやホームページビルダーなど簡単に作ることができるソフトがある。本校のようなウインドウズ3.1では,簡易作成HTMLやメモ帳などを利用して,作成することができる。 その場合は,タグの説明や使い方の指導が必要になるが,HTMLの書き換えなど生徒の興味の引く授業展開ができる。

参考にしたURL など
 北海道電力株式会社 http://www.hepco.co.jp/japanese/knowledge/syome-heya.HTML
 トステム株式会社  http://www.tostem.co.jp/
 小野里工業株式会社 http://www6.wind.ne.jp/onozato/