笠間市小中学校ホームページ作成研究会

−各校の情報担当者が連携してインターネット研修−

笠間市立笠間中学校 大木 弘志
キーワード 小・中学校,情報教育担当者,ホームページ作成,研究会


企画の目的・意図
 学校でのインターネット導入が進み,笠間市でも小学校6校・中学校4校の全10校にコンピュータ室が整備された。職員室のみであったインターネット接続も,コンピュータ室の全コンピュータをインターネットに接続する計画が進みつつある。しかし,ハード面だけが整備されても,インターネットを教育現場で有効に使うことはできない。機器に適したソフトウェアの導入や,実際に児童・生徒に接する教諭の研修など,ソフト面の充実が必要である。幸いにも,笠間中学校には100校・新100校プロジェクトに参加し,インターネット教育利用実践を続けてきた経験と研修を重ねた職員がいる。コンピュータ室の生徒用コンピュータ以外にも配線を伸ばし,校内のいたるところでインターネットを使えるようにしてきた経験から得たハード面の情報もある。今回,市教育委員会がまとめ役となり,各小中学校の情報教育担当者(インターネット担当者)が集まって,情報交換と相互研修の場を設けることになった。笠間中学校の持つ,経験・情報といったノウハウの共有と,各校の協力によるインターネット利用の相乗効果を期待したのである。さらに,今年度中に各校のホームページを作成し,ネット上に公開することを当面の具体的目標として活動を開始した。


1 実践内容
(1) 期 間
 
平成11年5月 〜 平成12年3月
(2) 参加者(教育委員会指導主事,各校の情報教育担当者)
 ・海老原丈夫(教育委員会)・大塚恵利子(笠間小学校)
 ・石塚  忍(東小学校)  ・高村 憲昭(佐城小学校)
 ・菊池 彰伸(箱田小学校)・野村 享久(南小学校)
 ・磯野 宏人(稲田小学校)・大木 弘志(笠間中学校)
 ・小林 恭一(東中学校)  ・塩畑 郁夫(南中学校)
 ・村田 博明(稲田中学校)
(3) 企画の実践
平成11年5月13日 第1回研修会 笠間市役所会議室 15:00〜
・情報担当者顔合わせ
・研修会の趣旨説明
・各学校のコンピュータ,インターネット環境の現状報告
・今後の見通し,課題等の確認
 ホームページは,小学校1校,中学校1校の計2校がすでに公開している。全10校での公開を目標とすることを確認する。小学校6校は,平成10年に同一の環境(Windows98)で児童用にコンピュータ室が整備されたが,中学校では導入時期の違いから,いまだに生徒用コンピュータ室はMS-DOS環境のままの学校もある。来年度には新しいコンピュータの導入が計画されており,その事前準備のためにも相互研修が必要であることを話し合う。
○平成11年6月16日 第2回研修会 笠間中学校コンピュータ室 15:40〜
・笠間中学校のコンピュータ・インターネット環境の紹介
・100校・新100校・Eスクエアプロジェクト説明
・インターネットに関する技術的な情報交換
・ホームページ作成の計画立案
・WWWを利用した情報検索の実技研修
 笠間中学校のハード面・ソフト面の現状,生徒の授業の様子についての説明と校内見学。特に,ホームページ作成の過程,ガイドラインの必要性について話し合う。まずは,学校独自のホームページデザインを検討することが必要。今後は各校の情報交換を密にする方法として電子メールを利用すること,次回は小学校の現状について研修をすることとする。
○平成11年7月14日 第3回研修会 稲田小学校コンピュータ室 15:40〜
・稲田小学校のコンピュータ環境,導入されているソフトウェアの紹介
・授業実践についての質疑応答
・ホームページ作成に必要なソフトウェアについての紹介
 小学校で,コンピュータやインターネットが実際にどのように利用されているかを研修する。コンピュータはイントラネット接続されているが,インターネットには接続されていない。職員室のコンピュータを利用してWWW上の情報を収集し,印刷して授業に活用している。ホームページ作成には,専用のソフトウェアやデータ集を使うと便利であること,デジタルカメラの写真データは,グラフィックソフトを利用してデータを小さくできることなどを研修する。
○平成11年7月29日 第4回研修会 箱田小学校コンピュータ室 15:40〜
・箱田小学校のコンピュータ環境,導入されているソフトウェアの紹介
・授業実践についての質疑応答
・ホームページ作成研修
・契約プロバイダにホームページを公開する手続きについて
 各校ごとの特色を出すために,どのような方法があるかを話し合う。基本的には,校風,学区ごとの地域の特色,児童・生徒の活動のようすをメインにしていくことにする。ただし,児童・生徒の肖像権等の問題があるため,どのようにしていくかをまず各校で検討することにする。また,実際にホームページ作成ソフト,グラフィックソフト,データ集利用の研修を行った。各校の最初のページのデザインを作成し,検討した。このデータをもとに,各校で研修時間を利用し,他のページを作成していくことにする。最後に,プロバイダとホームページ公開の手続きを進め,次回までにテスト公開することを目標とする。
○平成11年11月30日 第5回研修会 笠間中学校コンピュータ室 15:40〜
・各校のホームページを発表
・ホームページ作成についての質疑・応答
・ガイドライン作成についての研修
 前回から4か月ぶりの研修会であるが,それぞれ各校でホームページ作成作業や内容の検討を進めてきた。新たに小学校2校,中学校1校がホームページを公開し,市内の公開校は5校となった。その他の学校も,プロバイダとの手続きを終了し,公開の準備は進んでいる。インターネットに接続したコンピュータと液晶プロジェクターを準備し,担当者ごとにWWW上から完成したページを,またはフロッピーディスク・MO上から作成途中のホームページを呼び出して発表し合った。現在までの作成状況・特徴・課題・今後の見通しなどを話し合う。事前に電子メールで各校のようすや取得したホームページのアドレス等のデータを確認しておいたので,ポイントをしぼって討議することができた。特に問題となったのが,児童・生徒の写真や作品の掲載についてである。肖像権や著作権について研修し,掲載許可取得の方法については市内で統一した基準を設けることの必要性についても検討する。
○平成12年1月18日 第6回研修会 笠間中学校コンピュータ室 15:40〜
・各校のホームページを発表
・ホームページ作成についての質疑・応答
・ガイドライン作成についての研修
・生徒用コンピュータへの電子メール設定研修
 12月に全校にISDN回線とルータが導入され,小学校6校ではコンピュータ室の全コンピュータからインターネットへのダイヤルアップ接続が可能となる。授業の中で,児童自らブラウザソフトを起動してWWWからホームページを見ることにより,インターネットに対する興味・関心は一気に高まった。前回同様,各校のホームページを発表し合い,内容を検討する。各校独自のページが増え,地域情報を重視したページ,交流校との情報交換ページ等が紹介された。デジタルカメラで撮影した,校内や学校行事での児童・生徒の写真を利用してページが彩られている。肖像権等のこともあり,写真の解像度を落としたり,個人が特定されるような使い方は避ける工夫もされている。さらに,cgi を利用したカウンターや掲示板の使い方についても検討した。ガイドラインについては,笠間中や先進校のものを参考に話し合い,校内管理体制・モラル指導・WWW利用の制限・ホームページや電子メールでの個人情報の取り扱い・掲載許可取得など基本的な部分を各校で検討し,市内で統一していく方向でまとめた。また,笠間中のサーバを利用して生徒用に電子メールアドレスを発行し,授業や特別活動で利用できるように研修を行った。研修会は今回で最後となるが,今後も電子メールを利用した情報交換を続け,市内10校と教育委員会の連携を深めていくことを確認した。

2 成果と課題
 各校の情報教育・インターネット担当教師は,全員がコンピュータに熟知していたわけではない。ハード面が整備されていく一方で,どのように教育に活用していくかという悩みもあった。この研修会の実施により,相談したり,新しい技術・情報について研修を行う場が確保された。得られた情報を各校での校内研修に生かすことにより,市内全校のコンピュータやインターネットを利用した教育に関する関心も高まった。笠間中の5年間のインターネット教育実践の積み重ねは,各校でも実践可能であること,共有できる財産であることが理解された。この研修会をきっかけにホームページ作成も進み,今年度中に教育委員会を核として全校の連携を強化したものが公開できそうである。
 しかし,機器やソフトウェアが年々新しいものに変化していくという現状がある限り,各校の担当者は常に最新のもの,他校の現状,トラブルが生じたときの対処の仕方等の情報について研修を進めていく必要に迫られる。インターネットを利用できる家庭も増え,保護者の学校ホームページへの関心も高くなっており,公開する内容への研修もますます必要になってきている。この解決方法として,今後も電子メール等を利用した情報交換を継続しながら,市内全校で協力し合う姿勢を大切にしていきたい。

電子メールで確認した各校の状況(11月30日研修時の資料)

笠間小

女性の先生の作成によりシンプルでかわいらしい。保健室のページが充実。

これからが楽しみ。学校便り(校長作)を載せる予定。

東 小

学校の特色を出したい。 

プロバイダへの登録は済。今年中に形にして公開したい。

佐城小

シンプルで見やすいページ作りを心がけた。児童の活動の様子がわかる映像づくり。

職員間の共通理解が必要。児童が生きるページづくり。12月から5回の校内研修予定。

箱田小

児童の活動,作品発表の場。保護者が行事確認。内容がシンプルでわかりやすい。写真がふんだんで学校の様子がよくわかる。

箱田資料館のWeb 化,フレーム使用,校内研修報告,JAVAやフラッシュの活用,アンケートコーナー,学習用リンク作成。今月中に内容更新。

南 小

学校紹介,学校行事,研修,地域の特色の4項目。100校プロジェクト校へのリンク。

プロバイダへの登録は済。学年のページ,子供の調査研究を掲載予定。

南 小

学校紹介,学校行事,研修,地域の特色の4項目。100校プロジェクト校へのリンク。

プロバイダへの登録は済。学年のページ,子供の調査研究を掲載予定。

稲田小

地域の特色を出したい。

プロバイダへの登録は済。もう少しで公開。

笠間中

開設5年目。学校の様子,研修などを公開。生徒作品が多い。ホームページの歴史が見られる。地域情報が多い。

データの整理,リンクの整理,笠間の自然・民話ページの改善,方言ページ作成,地域とのリンク強化。

東 中

学校紹介,学校行事,部活動,生徒会など。

リンクを作っていきたい。80%程度進行。年内に完成予定。

南 中

トップページを作成中。学校紹介,生徒会活動,学級紹介,部活動,地域情報を掲載したい。

年内に公開したい。

稲田中

稲中50年の歩み,総合学習のページを公開。

掲示板を設け,インターネット同窓会を開きたい。学習のページを担当者を決めて作成していきたい。

笠間市
教 育
委員会

笠間市の教育,組織・事業,適応教室・相談室,学校紹介等,教育に役立つリンク,シティマラソン等の案内。

市内の学校の特色・教育実践・児童生徒の総合的な学習などの研究作品へリンクをしていきたい。社会科などの学習に役立つ内容を掲載していきたい。

 

 研修中のようす


1 各校の現状を発表


2 機器の研修


3 ソフト利用研修


4 プロジェクターを使って


5 ホームページを発表


6 相互に内容検討

 

 研修期間中に作成・公開された各校のホームページ

7

 

ワンポイントアドバイス
 一つの課題に対し,全校が連携して研修を進めていくということには難しいものがある。今回,市教育委員会の指導主事が中心となり,各校の校長先生とも連絡をとって計画を推進していただいたおかげでこの研修会が実現した。地域内の連携を深めてこのような研修会を持つ場合,学校間の相互理解が重要である。また,研修内容を教育実践に生かすため,児童・生徒に接している現場の教職員が意欲を持って取り組むことが何よりも大切である。

 

参考にしたURLなど
・笠間市立笠間小学校
・笠間市立東小学校
・笠間市立佐城小学校
・笠間市立箱田小学校
・笠間市立南小学校 
・笠間市立稲田小学校
・笠間市立笠間中学校
・笠間市立東中学校 
・笠間市立南中学校 
・笠間市立稲田中学校
・笠間市教育委員会 

http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/kasamae/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/higashie/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/sashiroe/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/hakodae/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/minamie/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/inadae/ )
( http://WWW.kasama-kasama-j.ed.jp )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/higashij/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/minamij/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/inadaj/ )
( http://WWW.net-ibaraki.ne.jp/kasakyoi/ )