インターネットを利用した海外の高校生との交流
高校1年・英語
茨城県立岩井高等学校
白仁田 満美 野村 由美子
mami@iwai-h.ed.jp
nomura@iwai-h.ed.jp
http://www.iwai-h.ed.jp/~mami/
http://www.iwai-h.ed.jp/~nomura/
キーワード 高校,1年,英語,インターネット,電子メール,学校間交流,国際理解
インターネット利用の意図
シンガポールの高校生を相手校とし,インターネットを使っての交流を図る。生徒は自己紹介をした後,お互いが「地球から火星へ」という一つの題材について発表し,結果を報告しあう。
自己紹介では生徒は事前に自己紹介文を考え,自分で訳し,提出する。できるかぎり原文のままで相手校に電子メールを送れるように,最小限の添削を加え,生徒に返却する。生徒は後にこの文章と,デジタルカメラで撮影した自分の写真を電子メールに添付して相手校に送る。
「地球から火星へ」という題材に関しては,ホームページ等を通して情報収集し,そこから得た資料をもとに発表を行う。結果は,電子メールを使って報告しあう。
1 シンガポールの高校生との交流
(1) ねらい
生徒が英語を学習する上で必要なのは,英語を使って自分の国以外の人々とコミュニケーションを図る,ということだ。しかし,実生活において英語を使う機会に恵まれている生徒は少ない。また,授業内で生の英語に触れさせることも大変難しい。
インターネットは,このジレンマを緩和させる最も効果的なツールである。海外の高校生とインターネット・電子メールを使って,自己紹介・学校紹介をし合うことにより,国際理解を深めることが可能だ。 また,生の英語に触れることによって,生徒の英語学習の動機づけを図りたい。
(2) 指導目標
シンガポールの高校生とインターネット・電子メールを使って交流することにより,今まで自分達が学習してきた英語が通用することを認識する。
(3) 利用場面
この取り組みでは次のような学習場面でコンピュータを活用する。
(a) 電子メールの送受信
生徒は事前に準備した自己紹介文と写真を相手校に送り,相手校の自己紹介文,写真を受信する。生徒はあらかじめ自己紹介文を考え,訳しておく。写真は,デジタルカメラで撮影し,フロッピーディスクに落としておく。
(b) ホームページを見る
相手校についてより詳しく知るために,相手校のホームページを見る。 また,テーマである火星についても情報を得るために関連ホームページを見る。
(4) 利用環境用環境
(a) 使用機種 Win 95 43台,Win 98 2台
(b) 周辺機器 SONY MVC-FD88K 1台
(c) 稼動環境 コンピュータ室 Win 95, 98 全てインターネット接続
(d) 利用ソフト AL Mail ,Netscape Navigator,Irfan View
2 指導計画
(1) 実施までの流れ
(a) 事前アンケート
テーマに取り組む前に,簡単な事前アンケートを行った。結果は以下である。
Q1 あなたは海外に友達が欲しいですか。また,その理由をあげてください。(37人中)
はい…28人
いいえ…3人
どちらでもない…6人
「はい」の理由として,「異文化を勉強したい」,「友達になったら遊びに行くことができる」などがあげられた。また「いいえ」の理由としては,「英語がわからない」「会えないと思うから」などが主なものであった。海外に友人を欲しいと思わない,と答えた生徒も,外国人が嫌いだからといった理由ではなかった。
Q2 インターネット(電子メールを含む)は,異文化交流に役に立つと思いますか。
はい…34人
いいえ…1人
どちらでもない…2人
ほとんどの生徒が「はい」と答えており,海外と交流する際,インターネットが大いに役に立つと感じていることがわかった。
(b) 相手校について
相手校探しだが,これは,海外の高校のホームページを見て,交流をしてくれそうだと思われる学校数校に電子メールで交流を依頼したところ,シンガポールが受け入れてくれ,交流が始まった。シンガポールを選んだ理由は,英語を使って交流できるのは欧米人だけではない,と生徒に認識させたかったこと,また,シンガポールについて興味を持ってもらおうというねらいがあった。
(2) 学習展開
指導計画 |
留意点 |
(a) 自己紹介文を書き,訳す。 |
・各自辞書を使い,自分の英語で自己紹介をする。 |
(c) 相手校から送られてきた電子メールを開く(図3,4) |
・電子メールを,各自間違いなく開くことができるか確認する |
(f) 相手校の発表ががどうだったかを知る。
(図5) |
・相手校から送られてきた原文をプリントにして配布し,辞書を使って読解できるようにする。
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図1 相手校へ送った写真と自己紹介文 |
図2 火星についての意見発表 |
3 利用場面
(1) 目標
インターネット・電子メールを使って,相手や,相手校のことを知り,国際理解を深めることができる。
学 習 活 動 |
活動への働きかけ |
1 本時の内容を知る |
・電子メール・インターネッの使用方法を再確認させる。
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海外の高校生の生の英語を聞く |
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2 各自電子メールを開き,相手校の生徒の写真を見,自己紹介文を読む。(図3,4) 3 添削済みの自己紹介文及び写真を電子メー ルで相手校に送る。(ccを教員あてに送る) 4 相手校のホームページを見る。 |
・机間巡視を頻繁にし,操作方法がわからない生徒がいないか確認する。 |
5 火星についてのホームページを見る。 |
・発表の資料になるため,メモをとらせる。 |
6 簡単な感想を教員あてに送る |
・何に興味を持ったか程度でよいので,内容を簡潔にさせる。 |
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図3 相手校の生徒達 |
図4 相手校生徒の自己紹介文 |
1)
Mars:Characteristics of the Red planet go to Nasa Website, etc...
Characteristics: -63 degrees C, atmosphere mostly carbon dioxide,argon,hydrogen,
oxygen (negligible), No water, no sea, no forest, lots of mountains and
valleys, dust storms, 24hours day/night, very romantic as there are 2 moons
called Phobos and Deimos, mineral deposits?, hit by lots of meteorites as there
are many craters,pressure of atmosphere at its surface is 0.1 of earth's
atmospheric pressure, active volcanos?, scientists suggest that water flowed
over surface long ago, but the abundant amount of carbon dioxide dissolved
readily into the water and formed deposits. |
図5 相手校の発表の一部
4 実践を終えて
今回の試みで,海外の生徒と電子メール交換をするなど,インターネットを利用して相手と交流したことを,生徒達は非常に楽しんでいた。教科書の上だけではない生の英語に触れ,全てを理解しないまでも,必死にコミュニケーションをとろうとする姿勢がみられた。自己紹介をしたり,自分の意見を相手に伝えようとした時に,「もっと英語力を向上させなくては」と,実感したようである。これからの英語学習への大きな動機づけとなった。
実は当初,「インターネットを利用した海外の高校生との交流」ではなく,「情報検索,プレゼンテーション能力の国際比較」をテーマに計画を進めていた。しかし,生徒は,火星に関する情報検索等よりも,シンガポールの高校生との電子メール・写真交換に大きな興味を示した。また,発表についてお互いが報告し合った内容にあまり違いが出なかったため,内容によりふさわしいテーマへ変更するに至った。今後は,より注意深く題材を選び,生徒がさらに積極的に英語学習に取り組めるよう,改善していきたい。
ワンポイントアドバイス |
相手校名称,URL
Raffles Institution (Singapore) http://www.ri.sch.edu.sg/
参考URL
「火星」http://www.cec.or.jp/es/mirrors/togane-ghs/TNPJP/nineplanets/mars.html/
「火星探査計画」http://www.asahi-net.or.jp/~EG3T-OSK/mars/mars.html/