伝えよう狭山・遊び交流プロジェクト

小学校第1,5学年・生活科,総合的な学習の時間
狭山市立狭山台南小学校 信田 寿朗
実践協力者 松澤 忠明
キーワード 生活科,学年間交流,翻訳ソフト


インターネット利用の意図

 インターネットの活用は,時間や空間が離れていても,学習が成立することや協同の作業を通じてさまざまな学びを生み出すことが可能であることを明らかにしつつある。本校では,このプロジェクトを通じて,(a) 外国の児童や人々との交流することで自らの文化を見直すことができる。(b) 身近にいながらも,同時に学習するのではなく,インターネットを活用して活動することによってそれぞれの学習が深めることが可能である。 の2点を明らかにするために,本実践を企画した。


1 伝えよう狭山・遊び交流プロジェクト
(1)ねらい
 インターネットの交流の基本は,人と人との交流である。小学校教育でインターネットの交流を行うにはそれぞれの発達段階とインターネットやコンピュータの利用に関する技能をどの程度修得しているかをもとに考えなければならない。本校ではインターネットを活用した交流については,現在の指導の目安からすると高学年(4年生以上)が適当であると考えている。しかしながら,交流の内容から考えると低学年からも意義深い交流が可能であると考えている。そこで,高学年の技能と低学年の学習内容の融合を考え,『総合的な学習の時間』として位置づけ,従来,校外や教師の支援を重点としてきたコンピュータの技能的な部分の支援を児童相互の支援として確立できるかどうかを考察するために本実践を計画した。

(2)指導目標
(a) 国や文化が違うとさまざまな習慣や日常生活が異なるように子供達の遊びも異なることを知り,それぞれの遊びを実際に体験することを通してそれぞれの文化の違いを理解しようとする態度を育てる。

(b) 国や言語が違う人々の間ではコミュニケーションが取りずらいという考えにたって,つたえたいことを分かりやすく伝えるにはどうしたらよいかを考えさせる。

(3) 利用場面

 この単元では,次のような学習場面でインターネットを活用する。

(a) 交流のやりとり(主にE-mail)
 交流では,交流言語を英語とし,翻訳ソフトやAETの支援を受けながら交流の準備や打ち合わせを主として行う。また,交流内容に関しての児童同士のやりとりもE-mailで行う。

遊びの紹介(主にホームページ)
 遊びの紹介については,ホームページ上の制止画像を通して学習や交流を進めて行くが,内容上動画が必要な場合が生じてくる。画像の容量として大きくない部分については,圧縮ファイルを活用する方法をとるが,ビデオレターの形式も必要に応じて活用する。

学習の成果の紹介(主にホームページ)

 成果の公表は,主にホームページを活用するが,個人的な感想や相互のやりとりついては,E-mailを活用する。

(4) 利用環境

(a) 使用機種 NEC PC-9821Cx13  8台,

(b) 周辺機器 ダイアルアップルータ,HUB

(c) 稼働環境 コンピュータ室 教室内ネットワーク及び部分的校内

利用ソフト翻訳ソフト EtoJ,訳せゴマ,Netsucape Comunicator 4.7,一太郎スマイル

2 指導計画(全12時間:5年生が関わる部分7時間)

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指導計画留意点

(a) (b) 今の遊びをしよう。

(今まで家や学校で遊んだ遊びを思い出し発表する。)

・今の遊びをみんなで仲良く遊ぶことができるようにする。

(c) 古くから伝わる遊びをしよう。

(1年地域の方々との交流遊び)

・古くから伝わる遊びに関心を持ち,楽しく遊ぶことができるようにする。
・遊びの名人や友達と一緒に遊ぶ。
・遊びの様子をVTRに収録しておき,発表会でも使えるようにしておく。
(d) (e) 今の遊びと昔からの遊びの発表会をしよう。・実際に遊んだことをもとに発表会をしよう。
・5年生につたえよう。
  
 

外国の学校と遊びを通して交流をしよう。

 
 
(a) 一年生の発表会に参加しよう。・1年生の発表を聞いて自分たちの交流の参考にさせてもらう。(1年生の発表例 図1 かるた 図2 あやとり)
・自分たちの知っている遊びはほかにないか考えながら聞く。
(b) 発表をもとに交流の計画を立てる。

(c) ホームページでつたえる方法を考える。

・伝える内容の原稿を作る。

・ホームページの能力,言葉の問題について考える。

(言葉については,翻訳には協力者がいることを伝える。)

(c) (d) 伝える内容に合わせた画像や言葉を考える。

・1年生の内容と新たに作る内容について検討し,分担してそれぞれのページを作る準備をする。

5年生との交流
手紙の発信
★インターネットの利用

・交流の手紙の発信と今後の交流依頼をする。

(e) (f) 遊び発信ホームページの作成
☆一太郎スマイル

・遊びのホームページを作成し,1年生に見せると共に,ホームページに掲載する

遊び情報の交換・交流

★インターネット
 VTR

・相手校から送られてきた情報をもとにこちらの学校でも遊んでみる。
  (画像でわからないことは,VTRを交換して動画として確認する)
・1年生への報告会を企画する。

(g) 成果のまとめ

・わかったこと感想をまとめて相手校に送る。


図1 かるた

図2 あやとり

3 利用場面
(1) 目標
 グループごとに伝えたい遊びについてワープロソフトを使ってまとめ,ホームページの形にする。

(2) 学習展開

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学 習 活 動

活動へのはたらきかけ

備考

1 本時のめあてを知る。

・グループごとに見通しを持たせる。

 
 

外国の友達に遊び方がわかるホームページを作ろう

 
 

2 遊びごとに外国の友達が分かりやすいような内容にするにはどうしたらよいかを考える。


図3 竹馬(short stilts)


図4 かごめかごめ

 ●どの場面を見せるか
 ●それぞれの説明はどうするか

・あらかじめ訳してもらった遊びの名前について紹介し,制作意欲を高める。

○竹馬→short stilts(図3)
○竹とんぼ→pencil helicopter
○ヨーヨ→yo-yo
○かるた→"karuta" card-matching game
○めんこ→throw the card,trying to frun over another card
○ふくわらい→make face game
○花いちもんめとかごめかごめはそのまま使う。
 (図4, 5)

・できるだけ短い言葉で書くようにさせる
・訳す人がわかるように書かせる。


図5 はないちもんめ


・VTR

・デジタルカメラの画像

3 作成した説明をホームページの形に変換して,保存する。

4 できあがったホームページを見て話し合う。

・分かりやすく表現できているか評価し合う。

一太郎スマイル

4 実践を終えて

 遊びを通しての交流は,日本のような童遊びが,日常的な遊びになっていないのは外国も同じである。高学年になるとほとんどの子達の遊びは,日本ではTVがゲームが中心になっているが,アメリカやカナダでも同様であるとAETの先生から教えてもらった子供もいる。また,日本で言うところのスポーツに多くの子達が自由な時間を費やしていることもわかった。日本では,野球が下火になった理由の一つに,多くの子供が集まれないことがあげられるが,アメリカではクラブがあってそうではないようである。その事についても交流してみたい。

 花いちもんめの説明について次に訳した物とAETの協力を得た物とを比べてみる。

子ども達の説明

翻訳した物(翻訳ソフト)

(a) 二つの組に分かれて歌を歌います。

(b) 二つのチームの間を行ったりきたりします。

(c) 歌が終わると,各チームの代表がじゃんけんをします。

(d) 負けた方が勝ったチームに入ってゲームを続けます。

(e) どちらかがいなくなるまでゲームを続けます。

AETの先生の訳(説明を聞きながら作文)

(a) While singing a song, 2 teams walk in opposition.

(b) When the song finisihes a trepresentative from each team comes forword and does"paper-scissors-rock".

(c) The loser joins the winners team.

(d) Sing the song again and repeat from #2 until one team has no more menbers.

All who participates in the game parts in two teams. Then, a song is sung.The people who participate in the game part in two teams, and stand in a line straight. Then, they stand opposite to each other to each other. Then, the people of each team go, and come with having the imitation of kicking the space between the line which stood in a line, and the line. When it finishes singing that song with all once, the representative of each team comes out, and janken is played.The person of the defeated representative joins the team which won. Then, the game is continued.The team which a representative's person yielded to and which it disappeared from becomes defeat 【 anyone 】.
Then, each team continues the game until that time.


図6 しっぽつけゲーム

翻訳ソフトで訳した物でも,画像があれば,なんとか,伝わったようである。反対にしっぽつけゲームの紹介(図6)を送ってくれた。翻訳ソフトで訳したが,だいたいわかるところでやってみた。子供達は福笑いと同じに考えればよいと言うことで意見が一致していた。このように,生活する環境が異なっていると言語の壁は大きいが,自分たちの経験で判断できる内容の物であれば,言語が違う地域でも何らかの支援を受けて,交流が成立する物もあることが明らかになった。

ワンポイントアドバイス

 翻訳ソフトの活用: 短い文や単語は独得の言い回しの物でなければかなり使えるようになってきている。しかし,気をつけなければいけないのは代名詞である。頼りすぎるのはよくないので,自分の目で確認すると英語力がかなり弱くても気がつくことがある。また,説明しながら直に訳してもらうのはかなり有効であることがわかったので,直でなくても電話等で修正しながら手伝ってもらうのも有効である。