インターネットを活用し,
学校図書館を生かし,地域に開かれた授業作り

小学校5学年・社会科
草加市立新田小学校 村田隆一
キーワード 小学校,5年,社会科,インターネット,情報の仕事,地域協力者


インターネット利用の意図
 子供たちの調べ学習の情報を集める手段としては,書籍・ビデオ・テレビ・アンケートなどの調査・パンフレットなどである。しかし,インターネットを利用することにより,その情報の量は拡大し,素早く見付けることができ,学習の幅が広がってくる。
 これまでは,教師側からのインターネット情報の提供だったり,児童自身の家からの情報を利用してきたため,子供たち自身が知りたい情報をうまく提供できないところや,インターネットの操作を知らない児童がほとんどであった。
 しかし,子供たちがインターネットを自由に操作できる環境ではないのが実情であるため,少しでもインターネットを利用して,その操作になれることと,情報活用のすばらしさを体得させるように支援しながら学習を進めていく。


1 放送局で働く人々
(1) ねらい
 現代の情報化社会において放送局の仕事は,日常の生活や産業活動において欠かすことができない様々な情報を収集し,提供していることや,それらの産業が国民生活の向上や発展につながっていることを一放送番組を通して,学習させたい。
 児童が意欲を持って追求できるよう身近な番組を取り上げ,ビデオ教材や書籍からの情報と交えて,ホームページを検索し,比較検討をしながらまとめていきたい。インターネットだけでなくコンピュータを意欲的に活用できるよう「キッドピクス」などを利用した作業を加えて学習を進めていくことにした。
(2) 指導目標
 ・テレビ局の仕事や働く人々に関心を持ち,意欲的に調べることができる。(関心・意欲)
 ・発信される情報が,日常生活や産業活動の中で活用され,影響をもたらしていることを考えることができる。(思考・判断)
 ・番組放送までの仕事を調べ,工夫や努力,役割などについてまとめたり,発表し表現力を高める。(技能・表現)
 ・現代の情報化社会は,通信産業の人たちが取材から放映までの間に互いに連携を取り合い,正確な情報を早くわかりやすく伝える努力や工夫をしていることで成り立っていることを知る。(知識・理解)
(3) 利用場面
 この単元では,次のような学習場面でインターネット,コンピュータを活用する
 (a) 番組について調べる場面
 その番組の詳しい内容を知るために,番組のホームページを検索し,テレビからの情報以外にもたくさんの情報を流していることを知ることができる。テレビづくりだけでなく,ホームページを作る係がいることも認識できる。
 (b) 疑問を持ったことについての調べ学習
 調べたい語句や事柄について,学習事典として利用し,コンピュータの扱いになれるようにする。
 (c) 調べたことをまとめる
 インターネット,書籍,取材などで調べたことをコンピュータによって発表資料としてまとめていく。「キッドピクス」を利用し,グラフや挿し絵をきれいにまとめる工夫として活用させる。
(4) 利用環境
(a) 使用機器児童用FUJITSU FM-TOWNS 5台
教師用COMPAQ PRESARIO 2290
NEC MATE MA45J
(b) 周辺機器デジタルカメラ EPSON CP700Z
(c) 稼働環境コンピュータ室 FUJITSU FM-TOWNS 5台
職員室にインターネットを接続したコンピュータを1台
その他に教師用に設置してあるコンピュータを1台使用。
(d) その他の利用ソフトInternet Explorer
「キッドピクス」 「絵本ライター」
Windows 対応機種

2 指導計画

学 習 内 容 (3/8)

留  意  点


一次

 


・放送番組を視聴し,思ったことを話し合う。
・放送局で働く人たちについて調べるめあてを持つ。


・ビデオに収録しておいたものを見せて気付いたことや考えたことを話し合う。
・放送番組のスタッフの大変さを考えさせる。
・メモを取りながら視聴し,自分の意見や,友達の意見を参考に考えさせる。
・調べ学習のめあてをもたせる。
・調べ活動に入る前に,調べ方,まとめ方について考えさせる。


二次


(c)
(d)
(e)
(f)


 ・放送番組ができるまでを調べる。
  ★インターネットの利用
 ・調べたことをまとめていく。
 ・模造紙,紙芝居,絵本,コンピュータ,パンフレット等
 ・パソコンソフト「絵本・ライター」「キッド・ピクス」を利用し,まとめていく。
  ☆「絵本・ライター」
  ☆「キッド・ピクス」


 ・調べ方は,本・インターネット・パンフレット等を紹介し,支援をしていく。
 ★<ホームページを検索する方法について指導する。
 ・自分が調べた内容をノートやプリントに簡単に記入させる。
 ・「絵本・ライター」を使い,調べたことをまとめたり,順番に発表できるように並べかえを行なってわかりやすくしておく。
 ・「キッド・ピクス」でグラフや,イラストとして画像を工夫させる。


三次


(g)


 ・発表会をする。
 ・発表会を聞いて,番組づくりについて話し合う。


 ・それぞれ調べたことをわかりやすく発表させる。
 ・放送局のスタッフの協力や工夫について他のグループの発表からも考えさせる。
 ・どんな思いで番組を制作しているのかを考える。


(h)


 ・番組づくりについてさらに疑問に思ったことを自分で放送局に連絡を取ったり,資料を収集してまとめていく。


・番組づくりに対して製作者の気持ちを考えながら,自分の意見を取り入れながら,まとめる。

3 利用場面
(1) 目標
 放送番組づくりに興味・関心を持ち,一人一人がめあてを持って,図書資料,ビデオ資料,インターネット資料,等を効果的に利用して調べることができる。調べたことを模造紙,紙芝居,コンピュータを使ってわかりやすくまとめることができる。
(2) 展開


図1 インターネットで検索中


図2 図書室での資料調べ


図3 ビデオ資料調べ

4 実戦を終えて
 調べ学習にインターネットが取り入れられると,今まで利用できなかったものを資料として利用できることで児童の意欲にはつながった。職員室にしか接続できていないという環境の中で,順番に子供たちにふれさせることができたのは,今後の指導にも十分役立つと考えられる。
 児童らは,出てきた情報をよく読んで必要なものかどうかを思考した後,必要でないとわかると,すぐに次の情報へとアクセスを繰り返し,調べていった。しかし,その情報量が膨大であり,役立つ情報がなかなか手に入らない児童もみられ,その子供たちにとってみると,インターネットの情報よりも,図書資料で調べた方がよくわかったという実態もみられた。
 今回は,地域のゲストティーチャーということで,1年生の保護者である,大川さんにお願いをして,コンピュータの活用について援助していただいた。コンピュータにたずさわっている人だけに知識が豊富なことと,子供たちへの対応が優しく,子供たちも担任と違うので,言葉遣い・接し方を考えて対応するところに意義を感じることができた。また,コンピュータデザイン関係に詳しいということで,資料をまとめる時にいろいろとアドバイスをいただくことができた。
 図書室で調べた児童にとっては,図書資料から調べたことを確認する意味でインターネットを利用したり,それ以外の情報を求めて利用することができた。図書資料がまだまだ不足している状態なので,子供たちにしてみるとインターネットへの期待度は大きく,すぐに情報を得られる所に興味を感じたようである。
 しかし,インターネットへの回線は少なく,児童が自由に使える状態ではないので,すぐに情報を手に入れられるというわけではない。また,コンピュータの操作技術もまばらな状態であったので,学校全体の計画的な指導の取り組みが必要であった。

ワンポイントアドバイス
インターネットに接続してあるコンピュータが一台しかない本校では,実際にページを開くのではなく,CD-ROMに記録して,子供たちが自分の知りたい情報を次々とリンクできるように整備してあげるとよい。特に,目的意識が明確になっていない児童の場合,インターネットを操作しても,どこにアクセスしてよいかわからなくなってしまうので,項目が見えるようになっていると,児童も安心して利用できるようになる。
 今後,調べ学習として教室の学習だけでなく,図書室・コンピュータルーム・教室,児童によっては校外といくつも分かれることが考えられる。担任としてそれをすべて把握するのは難しい。これからは,補助をしてくれる地域のゲストティーチャーの存在が必要となってくる。児童が疑問を感じたときにすぐに対応してくれる人がいることは,意欲の持続にもつながると考えられる。

利用した主なURLなど
 MSN JAPAN   http://www.jp.msn.com/home.htm
 Yahoo! きっず http://kids.yahoo.co.jp/
 こねっとgoo  http://www.goo.wnn.or.jp/

協力いただいた方
 埼玉県立南教育センター 教科研修部指導主事(兼)所員 山下成明先生
 新座市立第三中学校   校長             小林正高先生
 川口市立新郷小学校   教諭             舩戸姿子先生
 授業協力者       本校非常勤講師 管野京子先生 野村幸代先生