インターネットを利用した授業及び「調べ学習」

中学校第1学年・進路指導 社会科
第2学年・特別活動
草加市立松江中学校  橋本 政幸
キーワード 中学校,1年,職場体験学習,社会,2年,特別活動2年


企画の目的・意図
 最新のコンピューターが整備され,インターネットが接続された。そこでコンピューター及びインターネットを活用した授業実践ができるようコンピュータの操作方法及びインターネット接続に関する研修を行う中で本企画を計画した。具体的には全教師が授業実践できるように各学年共通の指導計画を立て授業実践を行う。さらに教科指導に生かせるようにしたいと考えた。これは生徒の興味関心を高め,学習指導が効果的に行われることを目的としている。実践の内容は第1学年では進路指導で2学年では特別活動である。
以下,その具体例を示す。


1 進路学習におけるインターネットの活用
(1) JAS(日本エアーシステム)整備工場勤労体験学習
(a) ねらい
 第1学年の進路指導においてJAS整備工場勤労体験学習を実施した。これは体験を通して具体的な職業観の確立を目指すものである。したがって興味・関心をかきたてると共に,職業に対する知識,実体験を通して将来に対する夢や希望を持たせるねらいも併せ持つ。
(b) 指導目標
 航空機整備に関する内容をインターネットを通して知ることにより,職業に関する興味や関心を持たせる。また勤労体験活動を通して職業理念や意義などをより深く考えさせる。
(c) 利用の場面
 勤労体験事前学習でコンピュータを活用する。具体的にはインターネット接続し,JASホームページを検索させる。そこでは初めてインターネットを活用した生徒が操作法を学び,自分にとって必要な情報を見つけその活用を経験するだろう。また,学習の形態は事前にホームページ内の内容から「調べ学習のプリント」を作成しておき,質問に答える形式とした。
(d) 利用環境
 (ア)使用機器 富士通FMVーBIBLO6333NU4/W(FMV4NUIWC60)40台
 (イ)周辺機器 プリンタ 富士通カラリオPM670 20台
 (ウ)稼働環境 コンピュタ室 
        富士通FMVーBIBLO6333NU4/W(FMV4NUIWC60)40台(64kでインターネット接続)
 (エ)利用ソフト インターネットエクスプローラ5.0
(2) 指導計画(15時間扱い)
(a) コンピュータ利用のこれまでの指導過程
 (ア)コンピュータ操作学習 2時間
    コンピュータの基礎学習
    各部の名称,起動・終了方法,操作方法
 (イ)インターネット操作学習 1時間
     ンターネットの概略,接続方法,検索方法
(b) JAS勤労体験事前学習での調べ学 2時間(本時)
   ★インターネットの利用
(c) JAS勤労体験学習(羽田空港JAS整備工場)1日
(d) 職業調べ及び働く人へのインタビュー 2時間
(3) 学習の展開

 

学習活動と指導内容

指導上の留意点

資料等



導入
 

・将来の職業について考えたことがあるかどうか問いかける。
・航空機の知識,整備について知っていることについて自問自答する。

・進路学習ファイルに職業の種類,将来の職業希望を記入させる。
・職業の一つである航空機整備の体験学習を実施することを知らせ,興味や関心を持たせる。

進路学習ファイル

 




  

 
  開













 

・航空機整備の内容を調べるためにインターネットを活用する。
 
インターネットの利用
 MSNの検索機能を利用し,JASのホームページを検索する。
・ホームページ内を自由に閲覧させる。
・事前に用意した学習プリントを配布し学習を行う。
 
インターネットの利用
 学習内容質問例
 【質問5】
 機体整備はいくつの専門分野に分かれているでしょうか。
 【質問8】
 システム班の仕事内容はどんなことでしょう。
 【質問12】
 飛行機の燃料はどこに積んであるのでしょうか。
・質問の解答をホームページ内から探し,進路学習プリントに記入する。

・インターネットを使って調べ学習ができることを体験させる。
・生徒にとって初めてのインターネット体験となるので検索できない生徒には適切なアドバイスを行う。

・リンクしているページへスムーズにジャンプできるようにさせる。


・プリントの質問に従ってホームページ内を閲覧し,解答を探させる。

・インターネット経験のない生徒がほとんどなので,自由に閲覧する楽しさも味あわせるため,十分な時間を与える。

・質問内容を厳選し,学習意図に沿った内容で事前に作成しておく。


・興味のある項目についてはプリントアウトさせる。
 


コンピュータ


JAS勤労体験学習事前学習用プリント










プリンタ
 

まと

 

・航空整備の仕事に対する理解ができたか振り返る。

 

・航空機整備に関する理解ができたか。
・必要な情報をインターネットを使って得ることができたか。
 以上の観点で評価する。




 


 JAS整備工場勤労体験学習の様子

1 機体整備作業

2 機内整備作業

(4) 成果と課題
 コンピュータ及びインターネットの意図的,計画的な活用は教師・生徒ともに初めての実践であった。今回の実践を通して全クラスでコンピュータの操作あるいはインターネットの活用を図る中で学習活動を進めたことが最大の成果であった。今後も授業に活用しようという気運が高まり,コンピュータ活用の起爆剤となった。また,生徒の興味や関心もさらに高まり,積極的に授業に参加し学習を楽しんでいる様子が見られたことは嬉しい限りであった。しかし,生徒にとってはコンピュータやインターネット活用学習の楽しみは,まだ初歩的段階である。今後,正しい情報を有効に活用するための能力を生徒につけさせることが課題である。 

ワンポイントアドバイス
 JASホームページは航空機整備に関する情報や航空機の知識が簡単に入手できるホ−ムページである。進路指導などで航空関連の職業情報を手に入れるには最適である。また本企画のよう進路指導や特別活動など学年共通の内容で授業実践を行うことはコンピュータに自信のない教師の不安を解消する点において適切である。


利用したURLなど
 JASホームページ(http://www.jas.co.jp/)
 子供航空教室(http://www.jas.co.jp/menthp/index.htm)

2 社会科におけるインターネットの活用
(1) 地理的分野「単元名 アメリカ合衆国」
(a) ねらい
・先住民の暮らす雄大な大陸を,ヨーロッパからの移民が開拓,奴隷制度を経,その後も世界各地からの移民を受け入れて来た結果,アメリカ合衆国は複雑な人種・民族から構成されるようになったことを理解させる。
・世界に大きな影響力を持つアメリカ合衆国の農業の特色を理解させる。
・アメリカ合衆国の大きな経済力が,高い工業力に支えられ,巨大企業が世界に進出していることを理解させる。
・アメリカ合衆国の文化が世界中に広がるなど,国際社会における大きな影響力と役割について考察させる。
(b) 指導目標
・アメリカ合衆国の文化が,世界に広がっていることに興味・関心を抱かせる。
・自然環境や風俗・習慣・宗教などにより,国や地域ごとに特徴のある食生活が,アメリカ合衆国 の文化の影響により,変化しつつあることを認識させる。
・アメリカ合衆国の文化が,世界に広まった背景を考察させる。その強大な経済力だけでなく,効率的で伝統にとらわれず楽しさを追求する文化が,若者を中心に受け入れられてきたこと,また,  その国の文化への配慮も心がける必要があったことを理解させる。
(c) 利用の場面
 アメリカ合衆国についての学習を行う中で,生徒に最も身近なハンバーガーについてインターネットから得られる様々な情報を授業展開に生かし,興味・関心を高めるとともに学習の理解を深めさせる。
(d) 利用環境
 (ア)使用機器  富士通FMVーBIBLO6333NU4/W(FMV4NUIWC60)40台
 (イ)周辺機器  プリンター 富士通カラリオPM670 20台
 (ウ)稼働環境  コンピュータ室 
          富士通FMVーBIBLO6333NU4/W(FMV4NUIWC60)40台(64kでインターネット接続)
 (エ)利用ソフト データマップ・WORLD(創育)
          インターネットエクスプローラ5.0
(2) 指導計画(4時間扱い)
(a) 雄大な自然・開拓と移民の歴史1時間
(b) 大規模な農業1時間
(c) 巨大な工業力1時間
(d) アメリカ文化の世界への広がり1時間(本時)
    ★インターネットの利用

(3) 学習の展開

 

学 習 活 動 と 内 容

指導上の留意点

資料



・各国(韓国・中国・エジプト・タイ)のコカ・コーラの瓶を見て,元はどこの国の飲み物なのか,確認する。
 

・アメリカ合衆国の食文 化の広がりに,興味を 持たせる。

コーラ瓶

 

 

























・コーラの他に,アメリカ合衆国から世界に広まった飲食物はないか,考えて発表する。
〔ホットドッグ・ハンバーガー・フライドチキン・コーンフレーク・チューインガム・ポテトチップスなど〕
・ハンバーガーが,本当にアメリカ合衆国由来の食物な のか調べるには,どうしたらいいか考え,実践してみ る。
 〔CD-ROM「データマップ・WORLD」の「情報カード」から,「暮らしと住まい」「世界の食事」「アメリカのファーストフード」の順でクリックする。〕
・ハンバーガーは,本当に世界に広まっているのか,マクドナルドを例にして確認する。
 【質問】中国・トルコ・インドにマクドナルドはあるのか
<答・全部ある>
・なぜヒンドュー教徒の多いインドで経営が成り立つのか考えさせる。
 〔インドの食習慣を尊重し,牛肉・豚肉を使わない〕
・トルコ・ドイツ・日本でも,その国の食習慣を取り入れている様子を知る。
・マクドナルドのホ−ムページ開かせる。
  
インターネットの活用
・マクドナルドの店は,他にどんな国にあるのか,世界中どこの国にもあるのだろうか。どうすれば調べられるか考える。
 〔電話・郵便による問い合わせ、書籍、Eメール・インターネットなど〕
・米国マクドナルドのホームページから作成した資料を 見る。
・マクドナルドの店がある国を,確認する。
 〔CD-ROM「データマップ・WORLD」の『自分マップ』を用い,世界白地図上にハンバーガー・マークをスタンプする。〕

・いずれも身近で手軽な飲食物であることに,気づかせる。


・パソコンを使用してできないか,既習の学習を思い出させる。
・テレビ画面でやり方を示す。机間巡視をする。
・クイズを用い,関心を高める。

・宗教と食生活の関係を思い出させる。



・日本の店のメニューを引き合いに出す。
・マクドナルドのホームページを開かせる
・いろいろな案を出させる。



・アフリカには少ない理由を簡単に説明する。

・テレビ画面でやり方を示す。
・机間巡視をする。

菓子袋
マックの袋など

パソコン

CD・
ROM



「中国新聞」拡大図
プリント「新聞記事」

「マンガ」
マックの袋





プリント
地図帳
CD-ROM





・テレビ画面の地図を見て,アメリカの食文化の代表であるハンバーガーの世界への広がりを把握し,アメリカの文化が世界の国々に大きな影響を与えていることを理解する。

・自分マップ作成の進んだ生徒の作品を画面に映す。

 

 

(4) 成果と課題
 これまでは図書館の書籍や新聞などあるいは,テレビやビデオなどの映像から資料を収集・整理・取捨選択し,それをどう理解し,どのように利用するか,ということを行ってきた。しかし,これからはコンピュータを用い,インターネット・Eメールを活用した資料収集という手法を取り入れていくことが避けられない環境となりつつある。一方インターネットから得る情報には玉石混淆があり,基本的知識や判断力がまだ確立していない生徒もいる実情を考えると,その真贋を問わせるのは難しいものがある。インターネットで得られる情報は,教科書や資料集・出版物などのように編集者や監修者の目が行き届いているものや,多くの視聴者の目にさらされるテレビなどとは違い,一方的な情報源であることを認識させることが重要となろう。

ワンポイントアドバイス
 データマップ・ワールド(創育)は多くの情報が多岐にわたって収録されており,活用範囲が広い。また,資料の張り付けなどにより生徒の創意工夫を生かすことができる。
ホームページの活用は生徒の興味・関心を高めることができ,有効である。


利用したURLなど
 日本マクドナルド公式ホームページ(http://www.mcdonalds.co.jp/)
 米国マクドナルド公式ホームページ(http://www.mcdonalds.com/main)

利用した市販ソフト
 データ・マップWORLD(創育)

3 2学年鎌倉班別学習でのインターネットの活用
 前2例同様,インターネットを活用した学習を実践した。インターネットで鎌倉市内にある寺院の検索や交通機関の情報入手など,様々なホームページを一人一人が自由に検索し必要な情報を得た。