コンピュータで開く新世紀
―校内LANを活用した授業実践―

中学校 全教科
大宮市立大成中学校 中内 則之
キーワード 中学校,インターネット,全教科


インターネット利用の意図
 本校は,平成7年に100校プロジェクト参加以来,情報教育を学校教育の柱と据え研究を推進してきた。当初は,インターネットに1台が接続されたが,現在では,38台となっている。コンピュータの増加と,情報活用能力の向上とは深い関連があるといえよう。
 一般教科の授業では,資料収集,まとめ,発表学習等に効果的であり,美術科等の教科では素材生成などにもコンピュータを利用でき,まさに学習ツールとして活用する良い契機である。


1 はじめに
(1) ねらい
 21世紀を見据えた教育を志向した場合,情報活用能力は教師,生徒ともに不可欠な資質・能力であろう。
 そこで本校では,全教科でコンピュータを使った授業を行うことを目指した。教師も生徒も、授業においては,学習ツールとしてコンピュータを使うことが,情報活能力向上の早道と考えた。
(2) 指導目標
 学習活動の場において,コンピュータ等を活用し,自分の必要としている情報を,検索し,収集・選択し,加工・発信できる力を養うこととする。
(3) 利用場面
1)全学年・全教科においてコンピュータを活用した実践をする。
(a) コンピュータを使った調べ学習1(情報収集)
 学習の基盤となるブラウザー操作習得のため,調べる課題の提示を受け,生徒はネット上から情報を収集する。このとき,情報を見きわめる力(情報判断能力)も身につけさせる。

・実践教科(技術・家庭科,英語,社会,国語)

(b) コンピュータを使った調べ学習2(発表・プレゼンテーション)
 調べ学習(a)を発展させ,単に情報を閲覧・収集するばかりでなく,集めた情報を加工・編集し,自分の考えをまとめ,発表できる力を育てる。
・実践教科(技術・家庭科,国語,社会,理科)
(c) コンピュータを活用した創作活動
 コンピュータを情報ツールと捉えるのではなく,学習材料と考え,コンピュータを使って学習する材料を作り,それを加工する。
・実践教科(美術) 
(d) 電子メールを活用した表現活動
 コンピュータを情報伝達手段と考え,キーボード入力練習を兼ね,校内LANを使い,メーラの使用法を学ぶ。さらに,校外諸機関とメールで交流を行う。
・実践教科(英語,技術・家庭科,道徳)

月日

曜日

教科

対象クラス

単元

内容

利用ソフト

9月17日

英語 

2年3組

L5 Rain Forests

環境への影響

ハイパーキューブ
Internet Explorer,
Outlook Express

9月28日

技・家

3年1組

「被服」

【○○について調べよう】
技術・家庭科課題解決学習

ハイパーキューブ
Internet Explorer,
Outlook Express

10月1日

数学

1年5組

空間図形

立方体の切断

図形ランチボックス

10月6日

社会

1年2組

東南アジア

森林破壊についての調べ学習

Internet Explorer

10月7日

国語

3年1組

探求する心

パンフレット作り

キューブワード

10月8日

社会

3年3組

私たちと商品

企業名や商品名の由来を調べる。

キューブワード

10月20日

理科

2年1組

動物の世界

動物について調べる。

Internet Explorer

10月29日

社会

1年5組

東南アジア

日本人学校を考える。

Internet Explorer

11月11日

国語

1年1組

考える筋道

環境問題

ハイパーキューブ,
Internet Explorer,
Outlook Express

11月17日

理科

3年3組

運動とエネルギー

身近なエネルギー資源

Internet Explorer

11月18日

数学

3年1組

円周角のまとめ

接弦定理・内接四角形

ますなび

11月19日

国語

2年2組

人間として生きる

漢字の広場

ハイパーキューブ

11月26日

美術

1年4組

自然物から新しい形発見

表紙作り

ハイパーキューブ

11月7日

音楽

3年選択

美しい響きを求めて

MIDIを使った合奏

Internet Explorer

12月9日

英語

1年5組

Let‘s Write

グリーティングカード

ハイパーキューブ

2)職員による校内ペーパーレス会議の実施
(a) 校内ネットワーク化
 これまで,コンピュータ室だけであったネットワークを学校全体に広げた。コンピュータ室22台,職員室・校長室16台のネットワークができた。職員室ネットワーク率は,72%となっている。このネットワークを活用し,本年度は,ペーパーレス会議の研究を深めた。
 これまで,会議の時使用する資料的文書を印刷,配布してきた。しかし,ネットワークを活用したペーパーレス会議では,文書を必要とする者が印刷すればよく,無駄を排除できた。また,会議当日に配られる文書もネットワーク上で,作成者が完成と同時に配信することが出来,事前に資料が配られることも増えた。このことにより事前に会議内容の周知,会議時間の短縮が図られた。
 また,文書,資料等の共有化や再利用が容易となり,文書作成事務の効率化が図られた。

(4) 利用環境

 コンピュータ室

インターネットサーバ

Digital Serve 1000

1台

教室ネットワークサーバ

NEC SV98 model1A2

1台

教師用コンピュータ

NEC PC9821-V12

1台

生徒用コンピュータ

NEC PC9821-V12

20台

ネットワーク

PC−SEMI G

1台

ルーター

CISCO 1003

1台

HUB

Fujitsu SH2300

1台

UPS

Smart 1400J

1台

コンピュータ室周辺機器

プリンタ

EPSON MJ-3000CU

1台

EPSON MJ-800C

10台

デジタルカメラ

CASIO QV-10

10台

SONY Digital Mavica

1台

デジタルビデオ

SONY Digital CCD TR-V60

1台

教材提示装置

ELMO EV-400AF

1台

ビデオデッキ

SONY WV-TWIN 1

1台

イメージスキャナ

NEC MULTI Reader 600

1台

職員室システム

登録用コンピュータ

FMV 6450 TX2

1台

MO

FMPD 242

1台

ネットワークコンピュータ

FMV 5133

1台

NEC PC9821 Na7

1台

ネットワーク

TCP/IP

1台

プリンタ

EPSON MJ-800C

1台

イメージスキャナ

EPSON GT-9600

1台

HUB

Fujitsu LH8C

1台

2 活用例
(1) 技術・家庭科での実践
 技術・家庭科では,「情報基礎」を中心に,ネットワーク,コンピュータ等指導している。今回は,家庭領域においてのコンピュータ活用として,TTによる実践を報告する。「情報基礎」での学習内容に活用し,『保育』の内容を指導したものである。

(2) 目標
インタ−ネットや図書資料等,身の回りにある多様な情報から本当に必要な物を選択し,自分たちにあった方法で発表のためのまとめをさせる。
まとめの作業を通して,幼児の発達についてより理解を深めさせる。

(4) 展開

(4) 道徳での実践
(5) ねらいについて
 進展する高度情報社会において,ネットワークの光と影の部分を理解するのは,必要不可欠である。実社会に出る前に,学校教育の中で試行錯誤を繰り返し,被害加害の両面を疑似体験し,コンピュータリテラシーの向上を目標としている。
(6) 本時のねらい
 ネットワークエチケットを理解し,情報発信責任の意識を育てる。
(7) 本時の展開

 

学習活動と主な発問

期待される生徒の反応

指導上の留意点

導入

価値への導入

・本時の学習内容をつかみ,意欲的に取り組もうとする。

 

展開

メール送受信作業

・これまでの,メールを読み,返事を書く等を興味を持って行う
・内容により,喜んだり,怒ったりする。
・メールで仕返し等もする。

各生徒のメール内容をチェックする。

話し合い1 メールの内容について
2 どのように感じたか
3 今後,どうするとよいか

・あたたかい内容でうれしかった。
・馬鹿にした内容でむかついた。
・今後,メールの発信には,注意したい。

・匿名,仮名で不特定多数に発信できる危険性について理解させる。

終末

まとめ

ネチケットを理解し,発信者責任を身につける。

自分が,加害者にならないようにと考えさせる。

3 実践を終えて
 平成7年より,研究に取り組んできた。しかし,全教科で取り組むことには,様々な困難があった。
 今年度,コンピュータ増設,職員室等へのLANケーブル敷設,情報アドバイザーの配置など,物的人的整備が整い障壁も低くなった。教職員のコンピュータへの関心の向上は,コンピュータリテラシーの向上を物語っている。事前,事後のアンケートも基礎技能の向上を裏付けている。全職員がコンピュータを使った授業実践を行えた自信は何よりの成果である。
 今後,さらに授業コンピュータの活用方法,T・T模索,校務管理への活用等研究を深めることが期待できる。

ワンポイントアドバイス
 ネットワークを生徒・職員で活用すれば、新たな実践が生まれる。恐れずに。

利用したURLなど
 http://www.oe-infonet.ed.jp/cis/html/index.html