KOMAE三七プロジェクト
小学校第6学年・学級活動
狛江市立狛江第七小学校 阿部 泰久
キーワード 小学校,6年,学級活動,インターネット,テレビ交流,学校間交流
インターネット利用の意図
インターネットの教育的利用について,今後具体的な活用がさらに進んでくることが予想されている。学校外では,インターネットによる情報収集,情報発信等が社会の構造を変化させるほどの勢いで発展している。携帯電話にしてもWeb利用ができる機能も取り入れつつある。
このような中,学校教育においても学校同士,学校外との関わりを以前からまして求められている現在,学校の教育活動をより開いていく視点でインターネットの通信環境をもっと利用し,子どもたちの学習活動を広げていこうと考えた。
具体的には,どこでも子どもたちが利用できることを考え,ノートパソコンとPHSによるインターネット通信環境を整えた。そして子どもたちが電話による通話と同じように簡便でハードの操作に煩わされずに自由にできる環境を整え,相互に受発信できることで学習活動をいっそう豊かなものにできることをめざした。
1 KOMAE三七プロジェクト
(1) ねらい
子どもたちは各学校で意図的・計画的に学習活動を展開している。学校ごとに教科・教科外学習を意欲的に取り組んでいる。その学習活動の一端を,インターネットの通信環境を用いて,同じ市内の学校同士で互いに交流し,各自が取り組んでいる学校生活をより豊かで実りのあるものにさせていく。そして,子どもたち一人一人にもインターネットによる情報の受発信を通して自己表現能力の向上を図ることとした。
(2) 指導目標
同学年による学校外での宿泊行事に取り組んだこと,互いに異なる学校行事に主体的に参加した様子を交流する,音楽科の学習発表を通して互いに相手を認めあう場を設け,情報活用能力の育成を図る。
(3) 利用場面
以下のような場面でインターネットのテレビ会議システムを利用した。
(a) 日光の思い出発表会
本市では6年生が日光移動教室という行事に参加し,自然体験学習や社会科の歴史学 習を行う。学習グループを組み,共通の目標で学習し,見聞したことを写真に記録,行事後に各学校で行事新聞化してまとめた。その成果を互いにインターネット上で発表し,交流を深めた。
(b) ビデオ上映会
2学期は学校行事の多い時期である。各校ともそれぞれの学校行事に最高学年として主体的に参加した取り組みをビデオ撮影し,その記録を元に交流し,情報を教えあうことによって,学校行事に違った視点から取り組む意欲を高めさせる。
(c) 音楽発表会
音楽の授業で取り組んでいる学習をリアルタイムで発表しあうことによって,音楽表現能力,鑑賞能力も高め,互いに自らの音楽学習を振り返るもととする。
(4) 利用環境
(a) 使用機種 Dos/v機2台(ノートパソコン)
(b) 周辺機器 デジタルカメラ ビデオカメラ 液晶プロジェクター 大型ディスプ
レイ ステレオ
(c) 稼働環境 視聴覚室 Dos/v機2台(ノートパソコン,PHSでインターネット接続)
(d) 利用ソフト インタースペースVer2.3 アウトルック・エキスプレス
2 利用場面
(1) 日光の思い出発表会
日 時 平成11年1O月13日(水)午後1時45分〜2時30分まで
方 法 インターネット上のIS(インタースペース)での仮想交流体験
目 的 互いに交流を通して,自らを知り,相手との関わり合いを深める。
テーマ 『日光移動教室の思い出』 互いに語り合おう。
展 開
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「インタースペース」を使って,七小のグループから発表する。 |
事前の準備に従って発表できるようにする。 |
事前にホームページに写真データを張り付けておく。 |
本時の評価と次回の交流の予告をする。 |
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図1 ホームページに載せた新聞
図2 インタースペース上の交流に使った写真
子どもたちが撮影
(2) ビデオ上映会
日 時 平成11年11月1O日(水)午後1時45分〜2時30分まで
方 法 インターネット上のIS(インタースペース)での仮想交流体験
目 的 学校行事のビデオを視聴しながら,自他を知り,相互の関わり合いを深める。
テーマ 学校行事のビデオ上映会をしよう。
展 開
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「インタースペース」を使って,三小から発表する。 |
事前の準備に従って発表できるようにする。 |
事前にホームページにビデオデータを記録しておく。 |
本時の評価と次回の交流の予告をする。 |
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図3 ビデオ交流会の様子
(3) 音楽発表会
日 時 平成11年11月16日(火)午後1時40分〜2時25分まで
方 法 インターネット上のIS(インタースペース)での仮想交流体験
目 的 音楽の交流を通して,自他を知り,相互の関わり合いを深める。
テーマ 音楽発表会をしよう。
展 開
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「インタースペース」を使って,七小から音楽を発表する。 |
挨拶はきちんとさせる。 |
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互いに聴きあった感想を交流する。 |
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図4 狛江七小の様子
図5 狛江三小の様子
3 成果と今後の課題
「コンピュータを使うのはそれほど難しくなかった。もっと使えるようになりたい。」「三小の人たちと話ができたので,今度会ってみたい。」「音楽を聴きあえてよかった。次は他の勉強も一緒にしてみたい。」
子どもたちがインターネットを通じて交流し始めて約1年になる。はじめはソフトの使い方に不安を覚えていた子どもたちもすぐに慣れ,まるで電話感覚で交信し,互いに相手の様子が小さい画面ながらもリアルタイムに見えることから,大いに親密度も増し,教室が仲間が他にもできたような気分であった。
コンピュータが集中的に配置された環境でなくても,ノートパソコンとPHSだけで相手と情報のやりとりをし,互いに結び合う喜びを共有することができる。今までに見たこともない子どもたちの目つきに,実験的ながらこのプロジェクトを推進してよかったという喜びをひしひしと感じた次第である。
今回の実践を通じて,子どもたちは情報機器の操作やそれを使って相手と交流し合うことに素早く慣れることができたこと。目の前にいる仲間に話しかけるように相手と交信できたこと。今までにない学習環境から学ぶ意欲を喚起できたこと等が成果である。
平成14年度から実施される学習指導要領では,これからの学校教育のめざす方向を大きく転換していく。特に総合的な学習等ではコンピュータに慣れ親しみむ中で自ら学び自ら考える力を育てる教育へ学習の質を変えていくのである。
今回のプロジェクトでは,まだ相互に交信する楽しみを共有できた段階である。本格的に学習活動に活用できたわけではない。情報機器を学習活動にどのように利用していくか。そのために教師はどのような教材準備をし,指導の一助として利用するのか。など課題が山積である。一方ハード面ではノートパソコンとPHSでは通信回線は安定しているわけではない。通信事情も好転し,より高速で経済的な通信回線を利用できる環境が整うことを願う次第である。
ワンポイントアドバイス
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利用したURLなど
インタースペース(http://CyberSociety.elcs.intsp.jp)