「学校自慢 まち自慢」―つながり,ささえあう工場―
〜活動の用途に合わせた機器の活用〜
東京都大田区立徳持小学校 石井 智己
キーワード 小学校,5年,社会科,デジタルスチルカメラ,インターネット,スキャナ,小学校第5学年・社会科,総合的学習
デジタルスチルカメラ,スキャナの活用,及びホームページ作りの意図
社会科の調べ学習において,その活動を進めていく際,自分の必要に合わせ,より有効な手段を考えさせながら学習を進めていった。
今回,「日本の工業を支える人々」の学習の中で,自動車工業の学習を終えたところ,「自分達の地域にも工場がたくさんあるけど,どんな工場なのか,あらためて調べてみたい」との声があがり,調べてみる事にした。
地域には工場がたくさんあるため,グループに分かれて調べることにした。そのため,取材後の報告会が必要となった。そこで,他のグループに分かりやすく伝えるために,カメラを活用する必要が出てきた。デジタルスチルカメラは,取材結果の資料まとめや発表の際に有効なため使用した。
報告会の後,「もっと多くの人々に,調べた事を伝えたい」という事になり,ホームページ(私たちの町の工場MAP)を作ることにした。今回,ホームページ作りは初めてのことなので,自分達が報告会でまとめた資料をスキャナを活用し,そのままのせることにした。(マップは教師が作った。)
以上のように,子ども達の活動の中で,自分達の必要に合わせた機器等の活用を工夫させていった。
1 つながり,ささえあう工場
(1) ねらい
日本の工業を学習するにあたって,その全体像をとらえる事も大切だが,大工場及び,中小工場が,つながりあって,支えあって日本の工業が成り立っている事を,子ども達にとらえさせたかった。そのため,自分達に身近な地域の工場から,日本の工業を見つめ直す学習を取り入れた。
最近話題にもなっているが,大田区にある工場は,京浜工業地帯の屋台骨として,日本の工業を支えてきた。わが学区域内は比較的住宅地に近いが,町工場もたくさんある。友達の親が経営している工場も少なくない。そこでまず,学区域内にどんな工場があるかを調べ,その中でも特に,自分達が調べてみたいものに絞って学習を進めていく事にした。そして,自分達が調べた工場をもとに,他の工場とのつながりや日本の工業の中での役割などを考えさせていく事で,日本の工業全体をとらえていくにした。
また学習を進めていく際に,自分の必要に合わせた活動の工夫や取材にあたってのマナーなどを,常に意識させて進めていくようにした。
(2) 指導目標
○地域の工場を調べ,それぞれのつながりや日本の工業における役割などを考える事により,日本の工業をとらえる。
○調べ活動の際,自分の必要に応じた活動の工夫を考える。
○取材にあたってのマナーを考えたり,地域の人々とのふれあいを通して,人とのかかわり方を考える。
(3) 利用場面
本学習では,以下の場面でコンピュータを活用する。
(a) 資料作りでの写真の加工
取材の時,デジタルスチルカメラで撮ってきた写真をまとめ資料に載せるため,必要な写真を選び,必要な大きさに加工した。使用したソフトは,「Picture Ge
arVer3.2」。デジタルスチルカメラを利用すると,取材の際,とにかく必要と思われるものを撮ってきて,教室に帰ってきてから必要にあわせて即時に編集できるとい う利点がある。
自分達が集めた情報から必要な情報を選択し,自分の必要な情報に加工する事は,どんな情報を処理する場面でも,必要な力になってくる。
(b) ホームページの作成
まとめた資料をホームページに載せるため,スキャナを使って,情報を取り込んだ。
また,取り込んだ情報を,ソフト(ホームページビルダー2001)を使って簡単に加工した。今回,ホームページ作りは初めてだったので,資料のまとめ作業に直接パソコンを使わなかったが,次回の調べ活動のまとめの際には,「直接パソコンを使って,資料まとめがしたい」との声が,子どもの方から出てくる事を期待している。
(4) 利用環境
(a) 使用機種 FMV-5200DE6 11台
(b) 周辺機器 Epson MJ-830C プリンタ
Epson GT-9500 スキャナ
オリンパスC-830
(c) 稼働環境 コンピュータ室 FMV-5200DE6 11台
(d) 利用ソフト Picture Gear Ver3.2
ホームページビルダー2001
2 指導計画
指導計画(8/10) |
留意点 |
(a) 学区域内にある工場の看板調べをするための計画を立てる。 |
・地域(学区域)を分割(6分割した。)する。 |
(b)(c) 学区域内にある工場の看板調べをする。 |
・調べてきた後,地図に記入するため,各工場の住所も記録させる。 |
(d) 調べてきた工場を仲間分けして地図に記入し,地域にある工場の特色を知る。 |
・調べてきた工場をその名前から,何関係の工場なのか仲間分けをする。 |
(e) 詳しく調べたい工場を選び,取材計画を立てる。 |
・調べてくる内容(質問事項など)をグループごとにあらかじめまとめておく。 |
(f) 工場を訪ね,取材する。 |
・デジタルスチルカメラを用意する。 |
(7)(8)取材内容をまとめる。 |
・まとめる内容を考えてから,写真の編集にとりかからせる。 |
(9)報告会をし,地域の工場の関連についてまとめる。 |
・報告会で,カメラを使って発表するグループがある場合は,事前にモニターにカメラを接続しておく。 |
(10)調べてきた事をまとめた資料を持ちより,ホームページを作る。 |
・事前に,ホームページに載せる資料について各工場に許可を取っておく。 |
3 利用場面
(1) 目標
〇報告会に向け,取材してきた事のまとめ資料を作るため,パソコンを使って,撮ってきた写真を自分の必要に応じて加工する。
(2) 展開
学 習 活 動 |
活動への働きかけ |
備考 |
1 まとめ資料に載せる写真を加工する。 |
・資料に載せる写真の必要性を考えさせる。 |
・コンピュータ |
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2 デジタルスチルカメラからスマートメディアを取り出し,フラッシュパスを使って,パソコンにダウンロードする。 |
・ダウンロードの仕方を説明する。 |
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3 使う写真を選び,必要な写 |
・「Picture Gear Ver3.2」の簡単な機能(大きさの変え方など)を教える。 |
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4 加工した写真を印刷し,資料を作成する。 |
・グループで役割分担して,作業させる。 |
4 実践を終えて
新学習指導要領では,「生きる力」が謳われている。私は,「生きる力」とは,「得た知識を知恵に変える力」だと考えている。必要な場面で,必要なものをどう生みだすか,また生みだせるかが,今の子ども達には,今後ますます求められてくる力だろう。その力を養う上で,コンピュータを利用した学習は,有効である。
今回の実践では,活動を進めていく上で,自分の必要に合わせ,より有効な手段を考えて進めて行く事に主眼を置いたが,そのような活動を進めていく上で,コンピュータを利用する事は有効であった。
写真の加工の際,「これは説明の時にいるよ。」「この写真は,詳しく見せたいから大きく載せようよ。」「これはいらない。」などの声が聞かれ,得た情報を必要に合わせて,自分達の中で処理する様子が見られた。これらの作業をするのに,コンピュータを使うと非常に作業しやすかった。また,選んだその場でプリントアウトすれば,即時に必要なものが取り出せるので,次の作業への移行も手軽であった。
自分の得た情報を,自分の必要に合わせ,どう加工するか。これらの事を処理するのにコンピュータは非常に有効であった。
しかし,今回の実践を通して,留意しておかなければならない事も多々あった。
一つは,コンピュータを含めた機器は,あくまでも学習活動における道具であり,活動の必要に合わせて用いる事が大切である。「この活動をするには,どの機器を使うのが有効か?」この視点が常に必要である。
二つ目は,コンピュータを介しての人とのかかわり方(友達同士のかかわりを含めた)を意識させる事も重要な事である。今回の実践では,グループで情報の処理をさせたり,取材のマナーについて考えさせたり,ホームページ作成では,情報の取り扱い方などにふれ,考えさせてきた。
本学級においては,コンピュータを利用した学習はまだ初歩の段階であるため,活用範囲が限られているが,今後,インターネットを利用した学習などを考えた場合,情報の取り扱い方などは,慎重に取り扱わなければならない事項だろう。
ワンポイントアドバイス |
参考文献
特になし。
利用したURLなど
特になし。