世界が友だち

小学校第3学年・総合的な学習
目黒区立東山小学校齋藤 寛治
mehgymes@tky3.3web.ne.jp
http://www3.tky.3web.ne.jp/~mehgymes/
キーワード 小学校,3年,総合的な学習,インターネット


インターネット利用の意図
 「世界中の子供たちと仲良くしたい」「世界の子供たちと話し合いたい」と願う子供たちは多い。従来はその願いを文通などを通して実現してきて,それなりの成果は得られた。しかし,ともすると子供が期待する即時的な反応には程遠く,子供たちの国際交流への意欲もとかく薄れがちであった。
 しかし,インターネートは,子供たちにも簡単で,自分たちから世界に向けた情報を発信する手段を提供できる。
そこで,本校においては,過去に幾度となくEメールによる交流を行ってきたが,一つの国の特定の学校が相手であり,相手の都合により,中止になったこともあった。
 しかし,今回は,本校ホームぺージの中の英文のページを子供たちの考えを生かしながらつくり,公開することで,多くの国・子供たちとの交流の輪を広げようとした。


1 世界が友達
(1) ねらい
 総合的な学習を始める最初の第3学年であり,社会科の学習の発展として行った。まず始めに,調べ学習で町の様子をデジカメで収集させ,その画像をもとに絵地図を作成し,世界に向けたわが町を紹介することのきっかけとした。
 「日本の今」を世界の子供たちに紹介するには,映像や音が中心で,子供ならではの視点からの情報こそが,世界の子供たちに一番興味がわくものであると考えたからである。(資料1)
 そして次に,その絵地図を本校の英文ホームページに掲載し,世界各国から随時,閲覧してもらえるようにして,幅広い世界各国との子供達との交流(世界が友達)を実現しようと考えた。
(2) 指導目標
 ・世界に興味をもち,ホームページを作成して外国の子供達と通信することができる。
 ・英語活動の一つとして英語を使ったホームページを作成することができる。
 ・海外の友達に自分たちの町を紹介する喜びを体験する。
(3) 利用場面
 この学習では,次のような学習場面でコンピュータを活用した。
(a) パソコンの操作に慣れる。
 本校は,最新のwindowsパソコンが平成11年9月に導入された。そこでまず始めにパソコンの操作に慣れさせた。次に,ソフト(一太郎スマイルの中のキーボード練習)を使いながらゲーム感覚で練習させて,ローマ字入力がキーボードからできるようにさせた(指導学年は第4年生である)。あえてソフトキーは使わなかったのは,キーボードリテラシーの習得は,1年でも早い方がのぞましいと考えたからである。
(b) 映像の選定
 3年の社会科の町調べの発展として,今回の活動は取り組ませた。そこで,町調べで撮ったデジカメの映像をパソコンで整理していく中で,世界にわが町を紹介したいという願いがうまれた。そして,次に,外国の友だち(帰国児童が在籍していたSt.Andrews School. California)や世界の子供たちを思い浮かべながら,その場所や施設の中でもっとも日本らしい映像を選んだ。また,不足している場合は,放課後に撮り直した。
(c) 音の録音とLANの操作の習得
 紹介したい場所や施設の中で最も象徴的なもの(日本らしいもの)の名称を英訳し,その発音を授業協力者の保護者から教えてもらい,録音しファイル化する。そして,自分たちで作ったhtmlファイルと音声のファイルを,LANを通してサーバー機に送る練習をする。また,その映像と音を先生用のパソコンから開き,自分の作ったwebサイトと音を確かめる。
(d) 世界の窓口として海外の一つ小学校のホームページを閲覧する。
 帰国児童が在籍していた小学校のホームページを見る。(St.Andrews School. California)その中で,興味をもったページを帰国児童が日本語に翻訳して学級の子供たちが閲覧する。
(e) CD-Rを作る
 相手校のPCの環境を考慮しながら,本校のホームページのCD-Rを作成する。その際,これからの実質的な交流を想定して,学級の児童の紹介や学習風景を盛り込んだものに仕上げる。バレンタインデーなどの時期を選び,児童の習字や図工作品などを国際貨物便で相手校に送る。
(4) 利用環境
(a) 使用機種 NEC98NX 20台(windows98)
(b) 周辺機種 デジタルカメラ フジ-CLIP-IT80 10台
CD-R IO-DATA製 1台
(c) 稼動環境 マルチメディア室 NEC98NX  21台
(プロキシサーバからインターネットに接続)※1台は教師用
サーバ機 NEC EXPRESS5800110LA
(d) 利用ソフト インターネットエクスプローラ5
一太郎スマイル
ホームページビルダー2000 翻訳ソフトE to J School
デジカメで同時プリント
マイクロソフト・サウンドレコーダー MP3ソフト

2 活動計画

時間

活   動   内   容

留   意   点

第1時

パソコンの入力の仕方,
ローマ字入力の仕方を知る。

パソコンの操作手順をわかりやすく教える。
そのために,色別のシールを電源スイッチとフロッピドライブのイジェクトボタンとマウスの左ボタンにつけて置く。

ローマ字入力は,本来4年で学習するので,ローマ字一覧表を持たせる。

第2時

デジタル画像の取り込み方やhtmlファイル・音声ファイル(WAVEファイル)の作り方を知り,自己紹介ホームページを模擬的に作成して,LAN(ローカルエリアネットワーク)を通して,教師のサーバー機に送れるように練習する。

デジタル画像は,サーバー機の「先生から」という,子供用のパソコンからアクセスできるホルダーJPG(画像形式)であらかじめ保存しておく。
音も,サウンドレコーダーを使用しwave形式で録音しておいたものをMP3形式に変換し,画像と同じように保存しておく。

第3時

第1・2時で取得した方法で,自分の分担されたページを作成する。(活動場面参照)

リンクは教師が行なう。
(ホームページ2000)

映像と文字情報は一太郎スマイルで,合成して,音は別ファイルで保存する。

4校時

公開された自分たちのホームページを見て,また,相手のホームページを翻訳ソフトにかけて閲覧し,感想をもつ。

20台一度にアクセスすると,なかなかホームページがダウンロードできないので,1台ずつ事前にダウンロードしておく。
日本語としておかしいところは,自分たちで考える。
バレンタインプレゼント(CD-R+プレゼント)の作成は,学級活動で取り組む。

3 利用場面
(1) 目標
 ・英語に親しみ,海外の相手のことを考えながらホームページのサイトを作成する。
 ・ペア―で教え合ったり,班で協力して活動できる。
(2) 展開

活動の流れ

支 援・提 示 教 材

機器・教材・教具

担  任

保護者

1 相手校のホームページを紹介する。

自分たちの町を世界に紹介しよう。

2 ペア―ごとに自分たちの取材した所を紹介するサイトを作成する。

(a) 文字入力をする
(b) 画像を貼り付ける。
(c) 音声を録音し,ファイル化する。






3 できたサイトをみんなで見る。












4 次回に,自分たちの作ったホームページを検索することを知る。

○相手校のホームページを各画面に映し出し,紹介する。(図2)





 英訳ソフトにかけて日本語で示す。



○日本語を英訳して,児童のパソコンに送り返す。(担任)
○英語の音声の入力を援助する。(保護者)(図1)
※援助しやすいように,(a)〜(c)をスライドさせて作成させる。


○代表のペア―のサイトを各画面に映し出し紹介する。


HIGASHIYAMA KINDERGARTEN

RABBIT

  ひがしやまようちえん・うさぎ

児童用
パソコン 20台
サーバ機 1台
教師用
パソコン 1台

一太郎スマイル
(画像取り込み・文字入力)



サウンドレコーダ
(音声入力)

翻訳ソフト
(カテナE to J School)

ホームページビルダー2000
(全体のリンク)



  

図1 授業協力者の保護者から,発音を教えてもらい録音をしているところ  図2 相手校のホームページを説明する帰国児童

4 実践を終えて
(1) 成果
 本校のホームぺ―ジに,子供たちの手による海外に向けたホームページができた。まず,このことが一番の成果である。子供たちが撮ったデジカメの映像は,子供らしい視点で撮影されたものであり,日本のある側面(町の様子)がよく伝わるものであった。
 海外で,本校のホームページを実際どのように表示されているかを見てきた教員は,その画像をもとに,現代の日本の様子を説明することができたほどであった。
(2) 子供たちの反応


 子供たちも,この活動を楽しみにしていて,他教科の学習では生かされない子供たちも,とても生き生き取り組んでいた。実践をした学級は,その後も,子供祭りで名刺作りに挑戦したりするなどコンピュータリテラシーが向上した。

(3) 課題
 今回のホームページづくりの実践は,3年の町の紹介であるが,他の学年も4年は東京,5年は日本の産業,6年は,日本の歴史などの学習を発展させ,子供たちの力で,総合的な学習の中で作り上げて行けたらと考えている。
 そのためには,パソコンを使い,マルチメディアを駆使する学習活動を教科学習の中にも計画的に取り上げることも大切である。

ワンポイントアドバイス
 海外交流をする時は,まず手軽に始められるEメール交換から始めることが多いが,相手校の様子がよくわからない場合(インターネットで検索した海外の学校)は,メールを相手校に送っても,返事すらもらえない時もある。また,担当が変わった場合など,スムーズに行かなくなってしまう場合も多い。
 そこで,今回は,不特定多数が見ることができるホームページを子供が英語で作ることで,多くの子供たちと交流しようとした。
 また,ホームページには,一般的にはその容量の制限(本校の場合は10MB)があり,あまり,最初は欲張ったものを作り,音や動画などをたくさんいれたものを計画するのは難しい。その場合は,容量などを気にしないでもよいCD−Rを作って,交流の相手校には送ることも考えられる。

利用したURL
 目黒区立東山小学校   http://www3.tky.3web.ne.jp/~mehgymes/
 アメリカ合衆国現地校   http://www.st-andrews.org/

資料1