日本と世界をつなぐ環境ボランティア
−インターネットで広げよう−
中学校 全学年 総合的な学習の時間
清川村立宮ヶ瀬中学校 冨田琢哉
miyachu@beige.ocn.ne.jp
http://www2.ocn.ne.jp/~miyachu/
キーワード 中学校,全学年,インターネット,電子メール,学校間交流,総合的な学習
インターネット利用の意図
本校は神奈川県の山間部に位置する極小規模の学校で,都市部へのアクセスが比較的しやすい場所にありながら,豊かな自然環境に恵まれた学校でもある。しかし,ここ数年で過疎化が進行しており,現在の生徒数はわずかに6名,平成12年度には4名になる見込みである。この極端にせまいコミュニケーション空間で,豊かな人間性を育む手段として,より広いコミュニケーションの空間を求める場所として,平成10年度よりインターネットによるコミュニケーションの構築を目指した。
本校の特徴として,前述した自然環境の豊かさから,野鳥観察を中心に環境ボランティア活動を神奈川県の研究指定を受けて平成9年度より取り組んできた。この環境ボランティア活動を日本のみならず世界に広めていこうと,生徒会活動などを活用してホームページづくりを,生徒を中心にはじめていくことにした。
1 環境ボランティア
(1)
沿革
環境ボランティアは平成9年度より神奈川県の研究指定を受けて,宮ヶ瀬の自然を守り,育てていく活動として2年計画で実施された。
宮ヶ瀬地区は平成10年に完成された宮ヶ瀬ダムによって誕生した宮ヶ瀬湖が,地区の大半を占めている。ダム建造前のもともとの集落は現在水没しており,10年ほど前から隣市である厚木市内に造成された地区に移住した住民以外は,中学校のあるA代替地と宮ヶ瀬湖を観光の名所として発展させる拠点としてのB代替地へ転居し,この2つの代替地のみが現在の居住地として存在している。そのため,本校は年々生徒数減少傾向となっている。
学校の立地は,ちょうど宮ヶ瀬湖の上に浮かんだような状態で,3方向が立木を介して湖に面している(図1・3)。ダムが完成し水がたまりはじめてから,生態系が変化したようで,環境ボランティアの初期と後期とでは,大きく異なってしまった。私がこの学校に赴任したのは後期からで,前期の資料を基に2年間かけてホームページにまとめていった。
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(2) 指導目標
平成9年度から生徒会活動を通じて,学校の校舎の軒下に巣を作っていたイワツバメを観察することを通して,生態系の変化を感じ取るとともに,これらのことから地球規模の自然環境と生態系の関係について関心を持ちながら,主体的かつ意欲的な学習を進め,それをホームページにまとめ世界に発信することができる。
(3) 利用場面
この学習では,次のような学習場面でコンピュータを活用した。
(a) デジタル機器の活用
アナログな情報の蓄積があった前期の活動を,デジタルデータに変換するためにスキャナー,デジタルカメラ,デジタルビデオなどを活用し,データの保存と編集を行った。保存したデータはハードディスクにデータベース化し,いつでも引き出せるようにする。
(b) 自然環境や生態系こなどについて調べ学習
インターネットに接続できるパソコンを利用して,関連したホームページを検索して情報を蓄積し,自分たちでその情報を消化していく。
(c) 調べたことをホームページにまとめる
取材(野鳥日記)や研究(紙芝居など)を通して自ら考察したことをさらに深め,世界に発信できるように,英語ページをもうけるなどしてホームページに見やすく,かつ,わかりやすくまとめる。
(d) 電子メールによる情報交換
似たような環境を持つ地域の学校や,各国にある日本人学校と電子メールを活用して交流し,情報交換を進める。
(4)
利用環境
PC教室(図3)
図3 生徒数減のため一般教室をPC教室にしていつでも使えるようにしている。
(a) 使用機器 NEC PC9821Xa12(CPUアクセラレータAMD
K6-3-400) 2台
NEC PC98NX-MA23 2台
APPLE I Book 1台
(b) 周辺機器 ヤマハ ネットボランチ(ルータ)
アイオー 20GHD
NEC イメージスキャナ
カシオ デジタルカメラ
ソニー DCR-PC100
(c) 稼働環境 PC教室 NEC PC9821Xa12(CPUアクセラレータ) 2台
NEC PC98NX-MA23 2台
教室 APPLE I Book 1台
(d) 利用ソフト アドビ ページミル3.0
アドビ フォトショップLE4.0
マイクロソフト インターネットエクスプローラ5.0
マイクロソフト エクセル97
マイクロソフト アウトルックエクスプレス
2 指導計画
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図4 ページミルでこのようなホームページを作る。
3 利用場面
(1)
目標
今まで調査したことをホームページにまとめて,見やすくわかりやすいホームページ作成を行う。
(2)
展開
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4 実践を終えて
実際には,まだこの研究は始まったばかりで,その一つのステップとして今までの学習内容をまとめただけに終始してしまった感が強い。ただ,生徒たちも私自身も「ホームページを作るのはこんなに簡単なんだ」と言うことを実感したこと,その反面,「作る上でプライバシーの問題など,注意をしなければならない点がとても多い」「不特定多数の人が見るホームページに迂闊なことを書いてはいけない」など,情報通信上でのやりとりに対するエチケット「ネチケット」の修得が不可欠であることを認識した。生徒たちの環境ボランティア活動は,昨年度で終了してしまっていたため,時間的な制約が多く,十分に満足な時間をかけてホームページづくりをできなかったのも事実である。生徒たちは,こちらからの指示を待つことなく自ら進んでイメージスキャナやデジタルカメラなどの周辺機器を活用し,それらの機器の使用法を修得するとともに,少ない時間ながらも見栄えのするホームページを作成することが出来た。
当面の問題は,情報の公開に対する行政機関の姿勢である。現在のホームページも教育委員会から正式な許可がおりたものではなく,URLは今後変更する事があり得る。インターネットの意義の一つに双方向の情報交換があるわけだが,情報発信する場としてホームページの開設は重要である。正式な認可を今後も働きかけたい。
来年度も継続してこの企画の方向で進めていく予定である。
ワンポイントアドバイス |
参考文献
今回は特になし
利用したURL
首相官邸(http://www.kantei.go.jp/)
検索エンジン(http://www.yahoo.co.jp/)など