他校と電子メールで楽しく学習
小杉町立小杉中学校 竹脇 久雄
キーワード 中学校,2・3年,選択数学,技術・家庭,インターネット,電子メール,学校間交流
インターネット利用の意図
本校では,インターネット利用が可能になってから,電子メールを教育活動に取り入れ,生徒の表現力の育成に役立てている。
班別学習を学習の中心に据え,各班の考えを電子メールを使って,自由に意見交換をする。学級間交流,学校間交流をその延長上と捉え,各学級を拠点とするネットワーク化(意見や知識の共有)に努めている。
現在,電子メールでの交信用に各学級に9アカウント(1班から9班,4人に1アカウント)ずつ全学年に発行している。
選択数学「思考チャレンジ」では,射水郡内の3校で交流校のグループをつくり,共同学習を進める。各班の思考過程をホームページ形式で掲載し,電子メールを使って,意見交換をする。お互いに問題を出し合ったり,大学の教授に答えてもらったりして,より深い学習につなげていく。
技術・家庭科「電気」の学習では,他校以外に高校や大学,企業へ電子メールを出し,より確かな知識や興味の深化につなげていく。
I 実践事例1
中学校第3学年・選択数学 酒井 直人
1 思考チャレンジ
(1) ねらい
数学と言えば,ほとんどの人は教科書を読み,基礎・基本的な知識を身に付けることで学習を終える。しかし,教科書の学習だけでは数学の楽しさを深く学ぶことはできないし,数学の不思議な現象に出合うことができない。
そこで,選択数学の時間では,図書室の本で数学の難問奇問について調べ,それに挑戦する。さらに,問題を自作して,少しでも教科書以外の数学にふれる機会を増やし,学習の幅を広げてやりたいと考えた。その情報源としては,図書室の本以外にインターネットを利用したり,情報交換の場として電子メールを利用したりして学習を進めることにした。
(2) 指導目標
様々な文献やインターネットを利用し,個人または班で調べた難問奇問に挑戦し,学んだことや気付いたことをコンピュータを使ってまとめることができる。また,学習の成果や得た知識を共有するためにホームページや電子メールを利用し,情報交換することができる。電子メールを発信する際は,送信原稿の校正をし,正しいマナーで情報交換することができる。
(3) 利用場面
この学習では,次のような学習場面でコンピュータを活用する。
(a) 数学についての調べ学習
ネット上にのっている数学の難問奇問を探し出すためにインターネットに接続されたコンピュータを利用する。
(b) 調べたことをホームページにまとめる
個人またはグループで学んだことや気付いたことをまとめて,学校のホームページに選択数学のコーナーとして作成する。
(c)電子メールによる交流学習
ホームページに学習の成果や自作問題をのせ,情報の提供者として自他校の生徒とメールを交換する。
(4) 利用環境
(a) 使用機種 NEC Mate NX 11台
(b) 周辺機器 デジタルカメラ オリンパスCAMEDIA1台 スキャナ エプソンGT-9500
(c) 稼働環境 視聴覚室 11台(64kでインターネット接続)
(d) 利用ソフト インターネットエクスプローラ4.01 hotall5 ALMAIL32
2 指導計画
指導計画(全28時間) |
留意点 |
1〜4文献やインターネットを利用して,数学の難問奇問に関する情報を収集する。 |
・生徒に薦める本をあらかじめ準備しておく。 |
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3 利用場面
(1) 目標
個人またはグループの取組みをホームページ上にまとめたものを互いに見て,意見や感想を電子メールを使って交換することができる。
(2) 展開(21〜28)
学 習 活 動 |
学 習 活 動 |
学 習 活 動 |
1 本時の学習の進め方を知る。 |
・一人一人に活動の見通しをもたせる。 |
コンピューター プリンター |
電子メールで意見交換をしよう。 |
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2 ホームページを開き,個人やグループで作成したものを互いに鑑 賞する。また,他の人が取り組んだ問題に挑戦する。 3 電子メールを使って,意見や感想を送る。 4 届いた電子メールを見て返事を送る。 |
・鑑賞しながら,意見や感想をメモさせる。 ・問題をプリントアウトし,取り組ませる。 ・電子メールソフトの操作マニュアルを準備しておく。 ・電子メールでの意見交換は,相 手にわかりやすくマナーを守って送るように指導する。 |
II 実践事例2
中学校第2学年・技術家庭科 立浪 久則
1 電気の学習
(1) ねらい
電気は私たちにとってなくてはならない身近なものであるが,実体がつかめないので実際に学習するとなると抵抗感をもつ生徒が少なくない。そこで,実験や製作を経験して生じた疑問や日常生活の中で思っていた素朴な疑問を,インターネットを利用して解決を図る。他の生徒からの質問には,自分で調べたことを電子メールを利用して答えることで,相互に交流を深め合うことができたり,自分の存在感を味わったりすることができる。インターネットによる調査活動や電子メールによる情報発信や相互交流を通して,物事に対して意欲的に追究したり積極的に交流を行う生徒を育てる。
(2) 指導目標
電気に関する疑問をインターネットを利用して調べ,お互いに持っている情報を電子メールを利用して相互に補完し合う。このような活動を通して「課題意識→調査活動→まとめ→情報発信」の情報活用能力を育てる。
(3) 利用場面
この学習では,次のような学習場面でコンピュータを活用する。
(a) 疑問を持ったテーマについての調べ学習
電気に関する疑問について,関連のホームページを検索するときに,インターネットに接続されたコンピュータを利用する。
(b) 電子メールによる交流
お互いの疑問を出し合い,持っている知識を電子メールを利用して交流する。この時にLANでつながっているコンピュータを利用する。
(4) 利用環境
(a) 使用機種 Mate NX 11台
(b) 稼働環境 視聴覚室 11台(64Kでインターネット接続)
(c) 利用ソフト インターネットエクスプローラ4.01 ALMAIL32
2 指導計画
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3 利用場面
(1) 目標
班ごとに調べたことの中で,調べきれなかったことや新たに生じた疑問を電子メールを利用して,他の班や他の教室の生徒にきく。
(2) 展開(h)
学習活動 |
活動への働きかけ |
備考 |
1 本時の学習の進め方を知る。 |
・班ごとに活動の見通しを持たせる。 |
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疑問を電子メールを利用して調べよう。 |
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2 班ごとに疑問をメールで送る。送られてきたメールに返事を書く。 3 ワークシートに記入する。 |
・知りたいことを詳しく書く。返事を出すときは相手にわかりやすく書くようにさせる。 ・自分の理解した言葉を使って書くように助言する。 |
III 実践を終えて
思考チャレンジでは数学に関する情報をより豊富に得るためにインターネットを利用した。その情報は,要点がしっかりとまとめてあり,また動きのあるものや見やすく工夫してあるものもあり,生徒にとってはわかりやすい情報であったので,学習に興味をもって活動することができた。それぞれの課題のまとめを,ホームページ上に作成させたことで,情報の提供者として分かりやすくまとめようとする生徒や,友達と意見交換し工夫しようとする生徒の姿が多く見られた。
技術・家庭科では,初めてインターネットを使用する生徒がほとんどであったため,パソコンを授業で利用するということが意欲付けになった。生徒の出した疑問には,生活の中で感じていた素朴なものから専門的なものまで様々であったが,それぞれの疑問について自分の手で調べていったり,他校の生徒に聞いたりしたので「楽しかった,わかりやすかった,感動した。」などの感想が得られた。電子メールの利用については,キーボードに慣れていなかったので入力に思った以上に時間がかかった。
インターネットによる情報検索や電子メールの活用は,生徒にとっての学習の手段を増やしただけでなく,他校とも協力でき,意欲的な学習につながった。
ワンポイントアドバイス |
利用したURLなど
試験に出ない中学数学(http://member.nifty.ne.jp/school/)
なるほど・ザ・すうがく(http://www.yukichi.ne.jp/~firefly1/index.html)
MatheMagics(http://mnet.ne.jp/~ujino/)
電気の探検隊(http://www.shirakami.or.jp/~yoshiki/index.htm)
Japan Power News(http://www.fepc.or.jp/mainmenu.html)
学研 物理・化学のページ(http://kids.gakken.co.jp/kagaku/index.html)
東京電力(http://www.tepco.co.jp/custom/jisedai/t
menu-j.html)
大阪教育大学(http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/netu/dennki.htm)
なぜなぜ不思議サイエンス(http://www.wnn.or.jp/wnns/ask/nazenaze/index.html)