野生動物と私たちの暮らし
中学校2年生・理科
山梨県上野原町立巌中学校
降矢 俊彦 山口玲子
iwao-jhs@kai.ed.jp
http://www.kai.ed.jp/iwao-jhs/
キーワード 中学校,2年,理科,インターネット,電子メール,電子会議室
インターネット利用の意図
ワールドスクールネットワークで行っているプロジェクトの一つに参加し,地域の「野生と動物と私たちの暮らし」を調査・学習したことを,インターネットを通じて交流することを考えた。また,「未来への知恵めぐり」プロジェクトにも積極的に参加し,電子会議室を通じて,日本各地の知恵と自分たちの考え方についての相互交流ができるような学習を進めていく。
1 野生動物と私たちの暮らし
(1) ねらい
巌中学校は,都心から電車で約1時間の距離にあり,自然も豊かな地域である。近年東京への通勤圏ということで,大規模な宅地開発があり,昔からの自然ともに生徒の出身地に変化がみられるようになった。そこで,身近な地域の動物を調べることを通して,自分達の住む環境を見直し,今日的な課題を積極的に解決していこうとする態度を育成することをねらった学習を進めることにした。
(2) 指導目標
・学校周辺の身近な動物を調べることを通して,地域の環境を見直す。
・インターネットを通じて日本や世界の仲間と,人間と野生動物の共存について,共に学ぼうとする態度を育成する。
これまでの学習では,観察や実験を通して生物の多様性や共通性を学ぶ事が主であったが,この学習では身のまわりに住む動物について調べあげ,さらにインターネット利用による交流まで発展させる。学習を通して生きた情報として日本や世界の様子を知るとともに,地域の課題を見つけ私たちとの深い関わりに気付き,課題を解決するための試みや努力を知り,様々な事柄に主体的に参加する態度を育成したいと考えた。
(3) 利用場面
本単元では,次のような場面でインターネットを利用する。
(a) 世界中の教室や地域をインターネットで結んだワールドスクールネットワークでの学習に利用し,地域の紹介や学習した内容の発表の場とする。
(b) 身近な生物についての調べ学習で,インターネットを情報源とする。
(c) 電子メールや電子会議室を利用して,体験学習の成果を共有化し,自分たちの地域の文化と他の地域の文化との違いを知る。
(4) 利用環境
プロジェクトで利用した環境は次の通りである。
(a) インターネット接続:PPP ダイヤルアップ回線(64Kbps)
(b) サーバ:WindowsNT
(c) クライアント:Windows95(40台)
(d) ワールドスクールネットワーク(http://www.wschool.net/index.html)
2 指導計画
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図1 授業で利用したリンク集
3 利用場面
(1) 目標
一人ひとりの設定した「課題」を,コンピュータを利用して調べて,まとめることができる。さらに,ワールドスクールネットワークのメーリングリストや電子会議室での学校外の相手との交流を通じて,地域や環境についての学習を深めることができる。
(2) 展開
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(3) 電子会議室への書き込み
ワールドスクールネットワーク電子会議室への書き込み例をあげる。最初の例は,絶滅動物についての調べ学習を電子会議室を利用した生徒の書き込みである。次の例は,ワールドスクールネットワークの「知恵めぐり」プロジェクトでの生徒の発言である。
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4 実践を終えて
(1) 生徒の感想
・自分の思ったことや感じたことを,いろいろな人に見てもらえたり,それに対して返事をくれたりするのがうれしいし,楽しいです。グレッグの毎日送ってくれる文章を見ると,今の世界や日本のことについて考えさせられたりするのがとても良いことだと思いました。もっともっといろいろな人と交流を深めたいです。
・私が一番印象に残っているのは,自分が調べ学習でインターネットを使ってヤクシカを調べ,それをメールで送ったことです。2つの所から返事が来てとてもうれしかったです。質問されたことをはやく調べて,また返事を書きたいです。それにグレッグさんからいつもメールが来て,一番びっくりしたのが「おしっこで手を洗ったこと」です。調べ学習がやっと終わったので,グレックさんに手紙を書きたいと思っています。グレッグさんのメールを読むのが結構好きで,毎回すごい楽しみです。
・野生動物のことを普段考えたりもしないけれど,今回調べ学習では,絶滅の寸前にたたされている動物について深く考える機会ができて良かったと思う。また知らない人とこのようなことでふれあえるって良いことだと思う。人の考えと自分の考えを比べられて,すごくいいものを探し出せた気がする。
(2) 反省・今後の課題
プロジェクトを開始して,まず身近な動物のホームページを作成した。生徒は学校周辺を歩いたり,図書室の図鑑で名前を調べたりした。調べ学習の段階になると,一人ひとりが設定したテーマについて,いろいろなメディアでの学習が進行した。インターネットの利用では,予め準備したリンク集を積極的に使って調べ学習する生徒が予想以上に多かった。ホームページの検索で納得できない生徒も出てきたが,逆にそのことが主体的な学習につながった。「○○について教えてほしい」という電子メールを送信し詳しい資料を送付してもらったり,地域にある漁業組合に直接出向いて説明してもらったり,インターネットで知った連絡先に電話で問い合わせる生徒も出てきた。生徒の収集した資料が膨大になり,学習の成果をコンピュータに打ち込む時間確保が難しくなるほどだった。
「未来への知恵めぐり」の段階になると,学校外の相手との交流への生徒の期待はより大きくなった。自分たちの情報がインターネット上の電子会議室に書き込まれることへの期待,そして自分の発信した情報に対して,他の学校やグレッグから返事が来ることをとても楽しみにする姿が授業での見られたことは,教師にとってもうれしい時間だった。
プロジェクトを通じて,全国の仲間や世界の人々との交流ができるようになった,そしてもう一度身近な地域について身近な仲間に目を向けさせ,十分な検討・議論・行動することができるようになりたい。今後「21世紀への提言」をしていくのだが,表面的なきれい事だけでなく自分の身近に感じ行動に結びつくものを考えさせていきたい。
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利用したURL
など
ワールドスクールネットワーク(http://www.wschool.net/index.html)
世界の絶滅危惧・希少動物(http://www.wnn.or.jp/wnn-z/data/data.html)
清く豊かに川は流れる(桂川・相模川の現況と概要)(http://www.fsinet.or.jp/~k-center/release/199803/03-1.htm)
日本の環境のページ(http://www.naruto-u.ac.jp/kankyou/japan/japan.html)
WWF JAPAN −トップ−(http://wwfjapan.aaapc.co.jp/index2.htm)
朱鷺のページ(新潟日報社)(http://www.nippou.co.jp/toki/index.html)
日光のシカ(http://village.infoweb.ne.jp/~fwht1382/index.html)
ALIVE HomePage(http://www.jca.ax.apc.org/alive/)
野生動物と共存共栄を願うホームページ(http://202.17.254.15/~mineuti/yasei.html)
Oil Spill and JAS (http://www2.gol.com/users/kojiono/Oil.html)
野生メダカのホームページ(http://plaza12.mbn.or.jp/~suzuhiro/)
釣り糸から野鳥を守る会(http://www2.justnet.ne.jp/~birds/index.html)