メディアスクール GODO

−インターネットを活用した授業−

                      岐阜県安八郡神戸町立神戸中学校
            中学校第2学年 理科 第2分野(地学) 神本 和美
                     技術・家庭科・電気領域 富田  肇
キーワード 中学校,2年,理科,地学,天気,インターネット,技術,電気,節電


インターネット利用の意図
 理科での学習は,実験等の事実を基に考え,行動する「生きてはたらく力」を身につけさせたいと考える。しかし,すべてにおいて,その事実を実験等で提示できるとは限らない。そうした場合には,教科書の写真等から読み取る授業になる。
 そこで,今回の天気の変化を学習する場面では,教科書の資料から学ぶのではなく,今日現在の天気図をインターネットで引き出し,肌で感じる天気と天気図を比べながら明日(未来)の天気を実際に予想していく。予想にあたっては,現在の天気だけでなく,今朝,昨晩と時間ごと観測された天気図も調べ,その変化の様子から次の天気を考えていく。
 天気の変化を現状から学習し,その学習を使って明日からの生活に生かすようにする。


はじめに
 本校は,昨年9月にパソコンの入れ替えをし,校内LANやインターネットへの接続など環境面が整い,本事業を機会に全教科,全職員がインターネットを活用した授業の可能性を研究してきた。ここでは,2つの実践を報告することにする。
    (実践1)理科 「天気とその変化」
    (実践2)技術・家庭科 「日生活における電気の利用」

1 天気とその変化
(1) ねらい
 最近のTVの天気予報は,いろいろな情報・表現を用いており,生徒は,天気図や雲画像になじんでいる。特に台風が来た時には,現在の位置や進路予想,台風の大きさや速さを知ることで,家庭で対応を準備するなど,生活に生かしている。ここでは,インターネットを使って,リアルタイムな情報を入手し,あらゆる角度から移り変わる天気の状態を,現状と結びつけることができるようにする。
(2) 指導目標
 現在の雲の動き,高気圧,低気圧の位置,前線の位置,等圧線,各地の天気など,天気を決める要因をインターネットで調べ,移り変わる天気の様子を見つけだすことができる。
(3) 利用場面
 (a) 天気を決める要因に関する情報を調べる。ひまわり,天気図,各地の天気。
 (b) 時間ごとに変化する天気を調べる。
(4) 利用環境
 (a) 使用機種 FMV-6400CL3c 40台
 (b) 周辺機種 プロジェクター EPSON ELP5300
 (c) 稼働環境 コンピュータ室 FMV-6400CL3c 40台
        サーバ機 FMV-6500TX3,6500DX3,6266T6 (64Kでインターネット接続)
 (d) 利用ソフト  インターネットエクスプローラ 4.01

2 指導計画
  天気の変化(全18時間) ・天気図から何がわかるか(12時間目本時)

3 利用場面
(1) 目標
 
今日現在の天気図をインターネットで調べることを通して,高気圧・低気圧前線の移 動の仕方のきまりを見つけ,明日の各地の天気を予想することができる。
(2) 展開

    学 習 活 動

  活動へのはたらきかけ

  備 考

 

1.明日の天気を予想する         何をもとに,天気が予想され
 ・晴れ,雨,今日と同じ        ていくのかについてはっきりさ
 ・寒くなる              せながら予想を聞く。




 

 

 

(課題) 天気図の変化から,各地の明日の天気を予想しよう。

 

 


2.インターネットで天気の変化を調べる。
「天気図」
・6時間ごとの高気圧・低気圧
・前線の位置をプリントに書きむ
「ひまわり」
・雲の様子と天気図を比較し,雲の厚さから天気を考える。


どこで調べたらよいかを支援する。
 
移り変わりに目が向けられるよう記入の仕方を考えさせる。
 
友達が調べているURLについても触れる。


防災気象情報サービス
http://tenki.or.jp/
天気図   http://tenki.or.jp/
tennkizu.html
ひまわり
http://tenki.or.jp/
himawari.html

 


3.天気の変化から,岐阜や各地の天気を予想する。


 


どんなデータから何を読みとって予想したかを聞く。
全国一覧で明日の天気予報を確認する 。
 


全国一覧
http://tenki.or.jp/
all.html
 

 

 

 

4 実践を終えて
 天気の移り変わり考えるために,インターネットで検索するには,まずどのホームページを開く必要があるかを考える。ここで前時までの復習ができ,さらにインターネットで検索していくうちに,あらゆる情報から,沢山の事実を知ることができた。また,それによって,各自のレベルで考えていくことができた。こうして,与えられた情報ではなく,必要な情報を自分で取り入れ,考えていくことこそ生きてはたらく力になると思った。

ワンポイントアドバイス
 検索して簡単にリアルタイムの情報が取り出せる利点があるが,次々と画面が消えていってしまうので,比較するのが困難である。そこで,情報を書き込むシートを工夫し,そのための時間の確保が必要である。また,プリントアウトし多くの情報を比較し考えさせ,話し合いを仕組むことで,集団で学ぶ必然性が出てくる。

 

利用したURL 
 防災気象情報サービス(http://tenki.or.jp/ ), 天気図( http://tenki.or.jp/ tennkizu.html )
 ひまわり(http://tenki.or.jp/ himawari.html), 全国一覧(http://tenki.or.jp/ all.html)


(実践2


インターネット利用の意図
 生徒たちは,電気エネルギーを豊富に使える中で生活している。しかし,その電気エネルギーが有限であることに,ほとんど気づいていし,気づいていても節約する意識は低い。そこで,電気の学習の導入にあたり,少しでも自分の家の電気機器の節電について関心を持たせ,今後の学習の意欲を高めさせようと考えた。そのために,自分の家の電気機器の無駄遣いの様子を知り,その節電方法を調べようとした。インターネットは,その節電の方法がのっているだけでなく,節電することでいくら電気料金が安くなるかということも調べることができ,生徒一人一人が意欲的に疑問を解決しようとするよさがある。



1 日常生活における電気の利用
(1) ねらい
 私たちの生活を振り返ってみると,身の回りに電気機器あふれ,その種類も台数も増え続けている。それに伴い,電気の需要も増え続けている。コンセントにプラグ差し込むだけでいとも簡単に使え,あたかも無限のエネルギーのように電気を使っているが,その裏には資源の問題がある。またクリーンである電気エネルギーも,その先には発電にともなう環境破壊の問題もある。私たちはそのような状況を認識し日常生活の中で電気の利用について真剣に考え,省エネを実行していかねばならない段階に来ていると考える。
 そこで,電気の利用による生活の便利さのなかで,消費者として電気の有効な利用の仕方,特に節電の方法を知り,家庭で実践していこうとする意識を持つ絶好の機会としたい。
(2) 指導目標
 発電所が抱えている問題をきっかけに,自分の家の電気の無駄遣いに気づかせ,地球 に生きる一人として,また家庭の電気機器を適切に使用する一人として節電することの必要性が理解でき,節電の方法をインターネットで調べ家庭に発信することができる。
(3) 利用場面
(a) 節電の方法についての調べ学習
 電気エネルギーは限られた資源であることから,自分たちにできることは「節約」「節電」であることを理解でき,その言葉を手がかりにしてインターネットの検索機能を利用する。また,自分が節電したい電気機器名を絞り込みしていくことでほしい資料が手に入り,具体的な節電方法を知ることができる。
(b) 調べたことをワープロにまとめる
 インターネットで調べた我が家の節電の方法を家庭に知らせるため,ワープロ画面に貼り付け,ポスターとして家庭に掲示させる。
(4) 利用環境
 
前出につき省略  (d)利用ソフト ワード2000

2 指導計画


      指 導 計 画


         留  意  点


(a) 教科書「発電所の様子」を見て,気づいたことを話し合う。
 


・電気機器の便利さを話題にしながら発電所の周りの様子などをを手がかりにして,発電に関わる問題点を見つけ話し合いを深める。


(b) 発電の問題を自分たちの問題と受け,今自分たちにできることは何かを話し合。


・各家庭の中で無駄遣いしている電気機器を見つけ,その様子を交流し合うことで節電をしたい意識を高める。


(c)(d) 自分が節電したい電気機器を決め,節電の方法を調べる。
 ★インターネットの利用


★検索する言葉は節電,節約とする。
★資料数が多いので,絞り込むことを知るキーワードは,調べたい電気機器名とする。
・必要な資料は保存するよう助言する。


(e)(f) 節電の方法をまとめ,ポスター
「我が家の節電」をワ−プロで作成し印刷する。(図1,2)
☆ワード2000の利用


・タイトルや文章を工夫して,家族が注目するポスターとなるよう助言する。


 

 

3 実践例
(1) 本時の目標
 自分の家の電気機器をどのように使用すれば節電できるのか,また節電することでどの位の電気料金が安くなるのか,インターネットを使って情報を得ることができる。
(2) 展開


          学  習  活  動


     留 意 点


1 本時の学習内容を確認する。
 ○テレビの待機電力で,1カ月でどの位節電できるのか調べ家族に知らせたい。自分の家のテレビのテレビの待機電力を調べてきたので,電気料金までインターネットで調べたい。
 ○冷蔵庫をどのように使用すれば上手に節電できるのか調べたい。



□事前に自宅で無駄使いしている電気機器について調べてきている。
 ・消費電力 ・待機電力
 ・無駄使いの様子
 ・無駄使いの時間




□検索,絞り込みに慣れていないので,お気に入りに追加しておく。
□席を離れて仲間の様子を見ることもよい。
□絞り込みが上手にできた生徒を紹介する。

 



 


 節電する方法をホームページで見つけ保存しよう
 



 

2 説明を聞く。
 ○「節電」「テレビ」などの言葉を使い検索する。
 ○必要なホームページが見つかれば保存する。

3 各自,検索の作業に取りかかる。
 ○検索のリテラシーの援助を積極的に受ける。
4 検索の作業で見つけた仲間のよさを交流し合う。

5 反省と次回の学習計画を書く。
 

 

4 実践を終えて
  この実践において,生徒達は,各家庭の電気機器の使用状況から各自が課題を設定し ているため,その内容は多種多様である。その課題を解決するための詳細な情報がイン ターネットには豊富にあり,その上,生徒自らの手で得ることができる良さがある。そ のため,生徒が主体的に問題を見つけ,解決していくスタイルの学習活動には,これか らますますインターネットの検索機能は多様な場面で利用されることが増えると考える。

 

 図1 節電のポスター        図2 節電のポスター

生徒達は,節電の検索の作業で次のような感想を持った。

私は何気なく使っている電気を結構無駄使いしていることがインターネットでよ
くわかった。これからは節電や節約,省エネを意識した電気の使い方をしていきた
い。そして,このことを是非家族に知らせたいという気持ちになった。

 

 生徒達は,自分が解決したいことが自分の手で実現できる学習の楽しさを味わっていることがわかる。そのため,生徒達の顔は生き生きとしていた。また,今回の実践を通して,インターネットに関するリテラシーは初心者にもかかわらず飛躍的に向上した。その上,「省エネ」「節電」への関心はとても高まり,調べ学習の楽しさも増した。
 

ワンポイントアドバイス
 電気関係のことは,やはり電力会社のホームページに多く掲載されているが,子どもたちの思考からはでてきにくく,調べたい事柄の「節電」や「節約」といった言葉での検索,絞り込み検索が有効であった。また,「ポスターにして持ち帰る」という課題が,家庭での実践への意識づけに効果があったと思われる。

 

利用したURLなど (子どもたちが自由に検索したURLはつかみきれていない)
  東京電力 (http://www.tepco.co.jp/)  中部電力 (http://www.chuden.co.jp/)
  ふくしまの環境 (http://www.kyougikai.pref.fukusima.jp/hozen/eco-2a.htm)