地域情報ネットワークエリア拡大
−広めよう海北発 情報活用:エコライフ−

岐阜県立海津北高等学校
対象学年:家庭クラブ・生徒会
全校生徒
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp
webmaster@kaizukita-hs.hirata.gifu.jp
キーワード 情報収集,実験,判断力,行動力(実践),コミュニケーション


インターネット利用の意図(企画設定理由
 本校は100校及び新100校プロジェクトの4年間,インターネットを取り入れた授業展開がなされてきた。昨年は,県の情報化に関する研究指定校発表会も開催され,一層の情報機器の活用がなされつつある。その中で,次に本校が成さねばならない課題は,情報化の波を地域へ広め,本校が情報の起点となし得ることではないかと考えた。そこで,インターネット等からの情報収集をはじめ,PTA,保護者,地元企業,自治体の協力も得ながら,学校から家庭へ地域へ情報化が広がることを目的としてテーマを設定した。
 本校は専門高校であり,家政科,経理家庭科,情報処理科の3学科が設置されている。家政科では,環境問題について数年間,取り組みが成されている。このことは,世界中でさかんに討論がなされ取り組まれているが,オゾン層の破壊,酸性雨,森林破壊,地球温暖化,ゴミ問題(産業廃棄物)など数多くの解決困難な問題が山積みされている。そこで,一人一人の人間が実際にどのように身近な生活環境の中において行動に移していけばよいのか,その情報収集力から判断力,行動力を身につけさせていくことが求められる。また,この取り組みをきっかけに学校から家庭へ地域へエコライフが広がることも願っている。



1 指導計画
 実態調査(アンケート準備,調査:インターネット・地域)
 問題点の把握(アンケートから考察)
 問題点を解決するための研究活動・実践活動(実験・講演会)
 普及活動(広報誌・新聞・ホームページ)

2 学習展開
2.1 実態調査
 家庭クラブ,生徒会が中心となり,各クラスにおいて討論,また全校討論会(海北フォーラム)への準備として,アンケート作りに努めた。特に家庭クラブは平成3年度から「環境問題」や「私の家のゴミ問題」を取り上げ,役員を中心に全校生徒及び保護者の協力を得て進めてきた。内容は牛乳パック再利用などのリサイクル活動である。アンケートの準備として環境庁のホームページなどを参考にした。
        http://www.eic.or.jp/
        http://www.eic.or.jp/ecolife/r000.html など
・全校生徒アンケート
  例えば,油汚れのひどい食器類は布や新聞などで拭き取っていますか。
      お風呂の水はどうしてますか。
      エコマークのついたものを利用してますか。などである。
 どれも,実践している回答は半数を割っていた。中には,環境問題について関心はあるが,何をすることが環境に優しいのか解らないという意見もあった。
 しかし,平成3年度と平成10年度とのアンケート比較(生徒・保護者)によると「ゴミの中で,これはまだ使えそうだと思うことがあるか」の問いに対して平成3年度では,「時々」「ある」を併せて約半数のに対し,平成10年度では8割以上占めており,意識改革ができつつあると思われる。

2.2 問題点の把握
 実態調査により,テーマへの興味関心を更に向上させ,その問題解決への手段・行動を考えさせていくことが大切である。結果的には,環境に対する意識は高くなってはいるが,これは昨今の情報化の発展と同時に,本校が成してきた取り組みの成果だと考えられる。
 しかし,個々に具体的な実践を行っていくことはなかなか難しく,これを,生徒自身の今後の課題として実践させていくとともに,生徒自身にとどまらず,家庭,地域へ問題提起を行い,地域と一体となり進めていくことが大切であることに目を向けさせたい。

2.3研究活動
 実際に,何ができるかを体験学習させていく。
(1) 自分の目で確かめる
(2) 地域との連携を図る
(3) 実験から環境問題を捉える
(4) インターネット・地域からの情報収集
 3Rという言葉もあるが,本校は4R(4つのR)を実践活動に結びつけていく。4Rは欧州でゴミを減量化するために行っている政策であり,世界中でこの運動が広がっていることへ目を向け活動させていく。
 4つのR

 Refuse

Reduce

Reuse

Recycle

断る

減量

再使用

再生使用

 

 

 

 

 

講演会フォーラム実験
を通して理解を促す

−→Refuse −→
   断  る    

不必要なものは断る
買うのをやめる。

ゴミの処理

−→ Reduce −→ 
    減 量      

エコクッキング,アク
リルたわし作りなど 

ゴミを再使用する  
          

−→  Reuse −→
     再使用    

牛乳パック再使用など
          

分別回収      
牛乳パック,トレー 

−→ Recycle−→ 
    再生使用    

ゴミの分別     
          

 

(1) 家庭のゴミの行方を探る
 1) 自治体への問い合わせ
 高度経済成長期以降,プラスチックや紙のゴミが極端に増え,重金属類の有害物質を含んだゴミも大量に捨てられるようになってきた。そこで学校で出たゴミの行方について平田町役場へ問い合わせを行った。
 燃やせるもの・空き缶・空き瓶・ペットボトル・有害ゴミ・これら以外の燃やせないものに細分化され,それぞれに処理場が異なっていた。
 2) 生徒感想
 役場の取材の中から,「正しくゴミの分別をしてほしい」と強く訴えられたことから,自分一人ぐらいなら分別しなくても大丈夫だろうという安易な気持ちを持っていた自分が恥ずかしかった。間違ったゴミの出し方をすると処理がうまくされないため,処理場では,すべてのゴミをいちから分別仕直さなければならないことを知り,一層のゴミ分別の大切さを再認識した。
(2) リサイクル工場見学
 1)食品及びビンのリサイクル見学
 実際に自分で現場を見に行くことにより,環境問題,リサイクルについて意識が高まった。これは,情報化の陰への対応にもつながるのではないかと考えられる。
 生徒の感想から,共にリサイクルを行っている工場を見学に行ったが,どちらも「正しい分別」を強く要望されたことが印象に残っている。使い終わったものを回収する事ではなく,新しく生まれ変わったものを消費者が使うなど,ものが循環していくことが大切であることも理解できた。

     

                    図1 工場見学

  <今後の取り組み>
┌─生徒・保護者への呼びかけ → 食品トレーの回収 → リサイクル工場へ持参─┐
└──────────────────────────────────────┘

(3) 海津北フォーラム(全校討論会)
 1) 家庭クラブ及び生徒会,クラス議員が中心となり運営する
 2) ゴミ問題(特にリサイクル)についてアンケートや資料を基に,クラスで討論し,生徒議会へ意見を集め全校討論会へと展開させていった。
 全校あげて取り組むことにより,環境問題への関心を深めることだけに止まらず,自分で考え行動していくきっかけづくりへ発展させた。
   <フォーラム展開>
    クラスでアンケート・討論 → 生徒議会 → 全校討論会


 図2 海津北フォーラム(全校討論会

 パネラーとして,生徒,教員以外にPTA,企業・役場職員の方を招き,地域との関係を密にし,連携を図ることに努めた。
  ・http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/eko/prezen/index.htm
(4) 実験
 1) 学校にてゴミの生分解を試みる
 参考ホームページ
   ・http://www.eco.tut.ac.jp/%7Ebac/namagomi.html
   ・http://www.nedo.go.jp/GET/
   ・http://www.ksb.co.jp/chikyu/stationeye99.htm
  ・http://www.shinyei.co.jp/skk/bod.htm
   <生分解を行うもの>
  バナナの皮    アルミ缶   ビニール袋  はっさくの皮     雑草
  材木片        ビン    メモ用紙      ひも  ゴム  アルミカップ


   図3 堆肥作り

 以上12種を土壌に埋め,どこまで微生物によって分解され自然に帰るのかを実験してみた。
 生徒感想より,草・生ゴミは約1ヶ月で分解したが,メモ用紙は約4ヶ月かかった。しかし,それ以外のゴミは全く変化がなく,目の前のゴミがただ土の中へ移動しただけという感じであった。生ゴミは土に返せばゴミの減量になることのみならず,次への肥料ともなることも学んだ。
 2) 本校調理室から出る生ゴミの量の調査
 調査結果から,月曜日から金曜日までおよそ25kg〜40kgであることが解った。一日平均6.5kgにもなり,調査後生徒の意識改革により実習による生ゴミの量が減少した。
 3) 生活排水における水質測定(排水中のCODと亜硝酸窒素量の測定)
 米のとぎ汁や麺のゆで汁,洗濯排水はCODの値が特に高く有機物が多く,合成洗剤使用時における洗濯排水にはCOD,亜硝酸窒素量が多いことを学ぶ。
 4) 食器洗いにおける排水(排水中のCODと亜硝酸窒素量の測定)
  ・油汚れのひどい食器:排水中のCODが高い。
  ・油汚れを拭き取った食器:COD,亜硝酸窒素も低くなった。
 アクリルたわしを使用することによって汚染排水を押さえることができることが身に付いた。生活排水中の有機物の多くは水中バクテリアによって生分解されると考えられるが,合成洗剤や油汚れのものは生分解されにくく,排水してはならないことを実感させることができた。
 5) アクリルたわし製作講習会
 家庭クラブ委員が指導者となり,生徒,保護者約50名が集まりその製作にあたる。完成したアクリルたわしをもとに食器洗いを行った。
 6) ヘチマ作り
 昔から言われていることで,ものが少ない時代には,ヘチマを使って生活に役立てていたという話を地元の方から聞き 園芸部との協力により,ヘチマを育てることにした。収穫したヘチマは「たわし」として使った。
(5) 講演会
 「お金をかけないおしゃれとライフスタイル」というテーマで美容室経営の方に講演をしていただいた。内容は,身近な生活の中で,環境と優しく接するには何をしたらよいかを話された。具体的には,洗髪する際,シャンプーや石鹸を使わず,酢とお湯で行い,洗濯はびん長炭と塩で行うことができることなどである。そこで,本校でも早速実験を行うとにした。
 1) 実験1
 講演会で学んだ「びん長炭と塩」による洗濯を実験してみた。
 布巾にケチャップ,醤油,ねりからし,使用後の天ぷら油やジュースをつけ実験開始。
 その日の汚れであればびん長炭と塩でも十分に役割を果たすと考えられる。
 2) 実験2
 「自然のものは自然に帰す」という精神を講演会から学び,お金をかけない,かからない堆肥作りを実験。
  ・インターネットを通し情報検索・収集,メールの活用
     http://www.city.nagai.yamagata.jp/rainbow/index.html
  ・生ゴミを入れる頻度:週1回
  ・5つの穴を約1m掘る
 はじめて約2週間目ぐらいから,地中の酸素不足による悪臭が出てきたが,1〜2ヶ月で土に帰ることが体験できた。
  ・町の広報誌活用:情報受信から情報発信を行う。

2.4普及活動
 
PTA総会・文化祭・地元広報誌・町及び本校ホームページ・保育園及び独居老人宅訪問,校外討論会の参加などから地域や家庭へPR活動を行った。
 1) 牛乳パックを用いたからくり絵本,おもちゃを通してゴミの正しい分別方法やその大切さをPRした。(保育園など)
 2) 文化祭では,牛乳パックですいた紙で,全校生徒からの地球へのメッセージを記入し貼り絵を作った。
 3) 国際ソロプチミストと主催のクラブユースフォーラムに参加し,私たちが地球環境に対してできること」というテーマで討論を行った。

3 まとめ
 今回の事業から,生徒は人やコンピュータなどから情報をどのように収集したらよいか,収集したものを基に,どのように行動に移すかを体験的学習から学び,ある生徒は,自分自身で考え,ある生徒は周りの人に聞いたり,ある生徒はインターネットを使って調査したりする行動が見られ,今まであまり目を向けなかったことに対し,取り組んでいこうとする意欲が向上したと思われる。
 今後も,情報の調査・収集だけに止まらず,収集したものを生徒自身が,どのように自分のものとして吸収し,次のステップへどうつないでいけばよいか工夫できるよう,指導を継続していきたい。そして,このことを通じて,本校が起点となり海北発情報ネットワーク及びエコライフの活動を広めていきたい。

ワンポイントアドバイス
 教員は常に,生徒が全面に活躍できる環境作りおよびその準備に努める必要がある。それには,校内での教員同士の意志疎通や外部機関との連絡調整を密にすることが大切である。また,生徒一人一人の情報化・地域連携・環境への意識を高めさせるために,生徒自身に何ができるか,どのように行動したらよいのかを考えさえる時間を設け,自己評価させる場を設けることも大切である。

 

4 利用したURL
  http://www.eic.or.jp/
  http://www.eic.or.jp/ecolife/r000.html
  http://www.eco.tut.ac.jp/%7Ebac/namagomi.html
   http://www.nedo.go.jp/GET/
   http://www.ksb.co.jp/chikyu/stationeye99.htm
  http://www.shinyei.co.jp/skk/bod.htm