未来にむかって自分らしく生きる箕面小っ子

箕面市立箕面小学校 松山尚文
キーワード 小学校,5・6年,図書館,情報委員会,コンピュータクラブ,ホームページ,電子メール


インターネット利用の意図
 
本校ではめざす子ども像として「未来に向かって自分らしく生きる箕面小っ子」をテーマに,これからの高度情報化,変化の時代を自分を肯定的にとらえ,自分の考えをしっかり持ち,人とネットワーキングしながら主体的に生き抜いていく子どもの育成をめざしている。そのため3年前から総合的学習に取り組んできている。その自らの課題をもち,いろいろな活動を通して解決していく中に,積極的にインターネットを活用し,これからのネットワーク社会を生きていく基礎となるメディアリテラシーの向上を図りたいと考えた。
 また,学校のホームページを自分たちが参加して,発見したことや調べたことなどの発信していくことを通して表現する楽しさを味わってほしい。また,メールなどいろいろな交流を通して,一人ひとりの世界を広げ,違いを認め合い尊重していくとともに自らのよさにも気づいてほしいと考え取り組んだ。
 コンピュータ利用環境としても,インターネットに接続されたコンピュータを従来のコンピュータ室だけでなく,これからの情報ステーションとして重要な場所である学校図書館に設置し,日常的に子どもたちがインターネットを活用しながらメディアリテラシーの向上をめざしたいと考えた。


■本校のコンピュータ&インターネット環境
・コンピューター室
 マッキントッシュパフォーマ520→20台 マッキントッシュクアドラ800 1台(インターネット接続端末6台)
・職員室 
 マッキントッシュ2台・FMVウインドウズNT 1台(全インターネット接続)
・図書館
 EスクエアプロジェクトによるIMAC1台,sotec e-one1台(全インターネット接続)
・メールアカウント
 学校用  1 minoh@edu-center.city.minoh.osaka.jp
 児童用 20 minoh01~20@edu-center.city.minoh.osaka.jp

■具体的実践事例
1 情報委員会の活動
 
箕面小学校では委員会活動の中に情報員会を設置し,情報活用能力の育成をめざし自主的活動をすすめた。
 具体的活動としては,次の3点を中心に活動した。
・コンピュータ室の開放の管理,コンピュータ指導
・ホームページ上に情報委員会の学校ニュースの作成・発信
・ホームページの絵コンテストの実施

 委員会活動は月1回の時間設定がされている。情報委員会では,初めに自己紹介をワープロで打つなどメディアリテラシーの向上をはかり,子どもたちと話しあって,6月からコンピュータ室の開放を始めた。20台しかコンピュータがないので,月・木を低学年,火・金を中学年,水・土を高学年を優先ということで運営していった。開放は大変人気で毎日25分休みには情報委員会を待つ列ができた。特に低学年に人気が高かった。コンピュータ室の開放は,自然なコンピュータリテラシーの向上をもたらした。子どもたちは試行錯誤しながら新しい機能を発見していった。たとえば,キッドピクスのスタンプの作り方を見つけた子どもが出るとあっという間にたくさんの子どもに伝わり,みんながいろいろなスタンプを作っていた。子どもたちの情報伝達の能力の高さにびっくりさせられた。そんな情報交換を繰り返しながら,初めはいろいろな場面でこまって情報委員や教師にきいてきた子どもたちもしっかり自分の力で解決する力が伸びていった。

 2学期から「インターネットのホームページに情報委員会のページを作ろうと投げかけたところ,子どもたちは喜んで取り組んだ。1ヶ月の間の学校の出来事をワープロソフトで打って,それに関する写真が撮れる場合はデジタルカメラで撮影し,ホームページに情報委員会の学校ニュースのページを作っていった。子どもの視点で子どもの言葉で作っているので子どもたちも読みやすく,図書館などではこのページを見たりしながら,これ僕がつくったんだとうれしそうに見せている場面も見られた。インターネットに接続されている家庭も増えてきているが,家でも家族で見たよと反響もある。
子どもたちが作成したページのURL
http://www.city.minoh.osaka.jp/minoh-ele/html/child/iinkai/zyohou.html

 3学期には,ホームページの表紙を飾る「箕面小らしさ」をテーマにした,コンピュータの絵を全校に向けて募集している。コンピュータ室の開放の時間にも作成してる子どもたちが見られている。

 昨年度の優秀作品はhttp://www.city.minoh.osaka.jp/minoh-ele/minohhome.html

2 コンピュータクラブの活動
 
4,5,6年のコンピュータクラブではインターネット関連において次の様な活動を行った。
・インターネットの箕面小学校のホームページづくり
・箕面市のメールボランティアとのメールによる交流。

 ホームページづくりでは子どもたちに箕面小学校を世界中の人々に知ってもらうなら,どんなことを知ってもらいたいか話しあいながらつくるホームページを決めていった。

 箕面小学校には,開校以来ある柿の木が運動場にあるので,やはり柿の木だといってそのページを作った子,箕面小のオリジナルな学習としての創作総合やゲストティーチャースペシャル講座のことをみんなに知ってもらいたいと考えた子,学校の代表でもある校長先生にインタビューにいき校長先生のページを作った子,クラスの子にインタビューして今の子どもの好きな物などをしらべてホームページを作った子等,それぞれの自分のこだわりで箕面小の紹介ページを作っていった。作成はホームページ作成ソフトも考えたが,ソフトの操作が難しいことと保存などは英字でするなど形式の統一の規制が大きいため,結局子どもたちが使い慣れたワープロソフトとデジタルカメラで作成し,教師用コンピュータで合成していった。自分の作ったホームページがアップされるととっても喜んでいた。卒業生やホームページを見た人から感想や励ましのメールをもらうと反応が返ってきたことに感激していた。特にシカゴにすむ箕面小学校の卒業生から来たときには海外からのメールにインターネットのすごさを実感したようであった。

 コンピュータクラブのホームページのURL
http://www.city.minoh.osaka.jp/minoh-ele/html/child/kurabu/computerclab.html

 今は,子どもたちがお絵かきソフトで,数枚の絵を描き,ぱらぱらマンガをスライドショーで作った物を,GIFアニメーションにしたページづくりに取り組んでいる。

 箕面市の教育センターでは,市民に呼びかけ60名を越えるメールボランティアを登録してホームページを立ち上げている。メールボランティアの方は子どもたちがいろいろな質問やお話をメールで送ると返事を下さり,交流していけるようになっている。メールボランティアの方はいろいろと趣味や得意な分野を持っておられるので,料理の好きな子は料理を趣味にされている方へ,宇宙のことがすきな子はそのことを研究されている方へ,将来看護婦になりたい子は看護婦をされている方へと自分の興味関心に合わせてボランティアの方を選び,メールを送った。さすがに登録されている方だけにすべて返事が返ってきて子どもたちは喜んでいた。数回メールを往復した子もいた。

箕面市教育センター メールボランティアのURL
http://www.city.minoh.osaka.jp/edu-center/html/mail.html

3 総合的学習,調べ学習での活用場面
5年 米総合
・5年 極め総合2000
・6年 チャレンジ総合2000
・4年 日本全国調べ
・その他個人で各学年調べ学習,自主勉強

 5年 米総合では自分たちで田植えから稲刈りまで験して作ったお米を使って,日本のいろいろな地方や世界の米料理に挑戦した。調べ学習で見つけた料理から自分の作ってみたい料理を選び,実際に作ってハテナを深めた。箕面小まつりでの発表に向け,五平もちの名前の由来を調べたり,ナンプラーのことなど多くのことをインターネットで調べた。大分の料理の琉球ご飯のことはホームページではわからなかったので大分県のホームページへメールを出して教えてもらった。また,ライスコロッケのことをメールボランティアの方にメールで質問して,ライスコロッケはイタリア語で「スップリ」といい,それは「びっくり」という意味から来ている話などいろいろなことを教えていただいた。どれも本では全く調べられなかったことなので子どもたちはしっかり発表の新聞やカードにまとめていた。

 極め総合は,自分のテーマを決めそのテーマをいろいろな情報活用をして極めようという学習である。子どもたちは産業学習で学んだものをテーマに決定した。バット・グローブからみかん,チョークまで本当にいろいろなテーマが生まれた。テニスラケットのことを調べている子はブリジストンのページのテニス豆知識のページから学んでいった。墨を調べている子も奈良の墨づくりの会社のホームページから歴史や製法を学んでいった。

 チャレンジ総合は実際にいろいろな仕事を体験し,自分の将来の仕事を考え夢を描き,それについて調べていく学習である。獣医さん,ファッションデザイナー,警察官などいろいろな仕事について調べていった。

 4年生では社会の暖かい地方や寒い地方のくらしの単元で自分の関係や興味で選んだ地方のことを調べて行っている。各県のホームページや観光案内のホームページなどいろいろなことを子どもたちは主体的に活用していった。

4 成果と課題
 これらの活動を通して,インターネット環境は子どもたちの学習を大きく変えることがよくわかった。本当にさまざまなホームページが立ち上がっていて,まさに情報の宝庫である。また,コンピュータ室の開放や図書館への設置のように自由に使える環境が子どもの情報活用能力を育てていくことを実感した。メールもボランティアなどの活用により本当に有効に使えることがわかった。また,遠く世界とも一瞬でやりとりできるポテンシャルは今後大きな力になると考えられる。

 情報委員会やコンピュータクラブのホームページづくりでは,子どもも参加して作っていくことで自分たちの学校の取り組みを共有できたり,自分たちの動を振り返ったりといろいろな面で有効であった。また,メディアリテラシーの向上も大きく,発信していくという強い動機がメディアリテラシーの向上をはかったと言える。

 しかし,実践してよりはっきりと課題も見えてきた。

 第1に子どものメディアリテラシーを低学年から積み上げて向上していくことの重要性である。やはりキーボードが自分の思い通りに使えないと,メールにしろ,ホームページづくりにしろ時間がかかりすぎ便利さを実感できない。子どもたちはコンピュータが好きな子が多く,コンピュータを使うというだけで学習の大きな動機になるので,どんどん低学年から系統的指導目標を持ち活用させていく必要がある。

 第2に自由にインターネットを検索する中に,「うんこ」のようにふざけてホームページを見て回る子がでた。このネットワークを自分たちの世界として自己規律をもって管理・運営していける子どもたちを育てていかなければならない。

 第3に今の本校のコンピュータ環境ではせっかくのインターネットの映像などの情報をあまり生かすことができない。メモリが足りず,映像をワープロに貼り付けたり,プレゼンを作ったりということができない。

 第4にメールの活用はメールアカウントが少ないため,一つのアカウントを共有するので大変な手間がかかり子どもたちが自由に使いきれない現状である。インターネット端末の少なさもクラスや学年で学習するときには致命的である。今後,充実させていきたい。

ワンポイントアドバイス
 
委員会活動はほとんどの学校で取り組まれていることと思うが,これからのますます加速していく学校のコンピュータやインターネットの環境を考えると,情報委員会でもネットワーク委員会でもよいがなにしろを委員会を設置し,自主的な活動を組織していく必要があると考える。
 これからの総合的学習の展開を考えてもいろいろなボランティアのネットワークが絶対的に必要になってくる。教育委員会や教育センターなどが中心になりメールボランティアやコンピュータサポーターの人材バンク的組織化が必要である。
 図書館はこれからの情報ステーションである。図書館にインターネットに接続されたコンピュータを設置することは情報活用を図る学習環境を飛躍的に向上させる。今後学校でLANを組む場合,図書館には必ず配線し,インターネットが使えるコンピュータを設置するべきである。