テレビ会議システムを使って,オーストラリアの小学校と交流しよう。
                
 校内イントラネットの構築を通して 
(国際理解を主目的にする企画)

                                                                      香寺町立香呂小学校  吉田 和司

キーワード 小学校,国際理解,校内イントラネット,テレビ会議


インターネット利用の意図
  指導要領の改訂の重点のひとつは,「豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成する
こと」である。国際協調の精神など国際社会に主体的に生きる日本人としての資質の育成を重視している。そこで,昨年より本校の卒業生が講師をしているオーストラリアの小学校と国際理解教育の一環として,手紙で絵や写真のやり取りを行ってきている。本年度は,もう少し進めて,インターネットで電子メールや電子掲示板を利用していくことにしている。そこで,本企画の実践にあたって,交流をさらに推進していくために教室からの電子メール等の送受信を可能にする校内イントラネットを構築した上で,テレビ会議システムによる遠隔地のオーストラリアの小学校と画像と音声で交流することによって学校間の結びつきを強め,両校の国際理解に役立てることを目的としている。


1 実践の内容
ねらい

 21世紀からの総合的な学習の展開を図る上で,コンピュータは,欠くことのできないとても大切なツールになってきている。総合的な学習の中の情報教育は言うまでもなく,国際理解教育,人権教育,福祉教育,環境教育等の教育を推進していくためには,インターネットの整備は,急務である。
 幸い本校は,既にコンピュータ室の20台がインターネットに接続できるようになっている。本年度には,コンピュータ室と職員室がLANでつながる予定である。しかし,本校のコンピュータの環境は,職員室のLANや校内イントラネットの構築の見通しもなく,十分とは言えない。
 そこで,オーストラリアの小学校とのテレビ会議を進める上で,(1)校内のイントラネットの構築を実施した上で,(2)オーストラリアの小学校とのテレビ会議を使っての交流の実施を考えることにした。

推進の内容
(1) 校内のイントラネットの構築
 1)
ねらい
 
CECの学校企画を推進しながら,簡易ネットディの実施とNTサーバの講習会をもつことで,インターネット環境を整えることをねらいとする。
2) 簡易ネットディの実施
 通常,ネットディは,保護者,地域を巻き込んで,実施するのが,ほとんどである。しかし,本校が実施したのは,簡易ネットディというべきものである。企画から実施までが,短時間であり,参加者も郡内の情報教育担当者のメーリングリストに流し,募るというものである。CECの学校企画が内定したのが,8月初めだったように思う。夏休みを逃すと実施の期間を逸してしまうということもあり,十分なネットディの準備を整えることなしに実施をすることになった。下図1の写真は,ネットディの様子である。

1

 

 

 

1階,2階,3階と天板を外し,ケーブルを通していく作業を4,5人で行った。夏休みは,1階,2階,3階の廊下のケーブルを這わす作業で終了した。その後,私一人でできる作業となり,暇を見つけての作業で,3年生以上の教室の校内イントラネットの構築もほぼ完成をみることができた。そして,同時にコンピュータ室のルータに10/100Mbpsスイッチングハブを入れ,そのハブに1階,2階,3階のケーブル及びコンピュータ室のクライアント20台のハブをそのスイッチングハブにつなぐことにも着手した。

3) NTサ−バの講習会
 コンピュータ室のサーバ機とクライアント20台等の設定は,コンピュータ会社のSEの手によるものであり,校内イントラネット構築後,新規に接続するには,NTに先ず接続しないとインターネット等を利用することができない。また,校内イントラネット構築の一つである職員室のLANに本校職員が接続するコンピュータのセキュリティの問題点を解消する必要性もあるために,郡内の情報教育担当者を含めた講習会をもつことにしたのである。下図2は,その時の様子である。

(a) 第1回 8月23日 場所:香呂小学校コンピュータ室
 
NTのログオンの方法
 
新規コンピュータのメール接続
 
セキュリティについて等

 

図2

(b) 第2回 10月22日 場所:香呂小学校コンピュータ室
NTのログオンの方法の追加
セキュリティについて等

(2) オーストラリアの小学校とのテレビ会議を使っての交流の実践
1) ねらい
上記の企画の実践(1)校内のイントラネットの構築は,ほぼ完了した中で,企画(2)の実践を英語版ホームページの作成によりスムーズな交流の展開を図りながら,オーストラリアの小学校とテレビ会議を使っての交流をすることをねらいとする。
2) 英語版ホームページの作成
国際交流を進めていくには,やはり英語版ホームページの作成が急がれる。校区に英語の堪能なボランティアがおられないか探しているが実現していない。英語の堪能なものでなければ容易に作成できるものではない.そこで,翻訳ソフトによる英語ページの作成も実施することにした。それと並行して,10月25日から11月6日までオーストラリアのリリデール小学校から先生を含めた児童9名が,本校を訪問した機会に日本におけるリリデール特集を組んで日本語版と同時に英語版も作成し,リアルタイムにオーストラリアの関係者に見れるようにしたのである。その特集のホームページが,下図3である。URLは,参考までに右記の通りである。

http://www2.117.ne.jp/~kouro-s/lilidale.html

         図3

3) テレビ会議システムによる交流
(a) ホームページや文献で検索
今回の企画は,上記リリデール校が,来校する前後に行う予定で企画を実践した。まず,テレビ会議システムについて,知識がまったくなかったので,ホームページで検索をしたり,文献を調べたりしながら進めていった。
(b) 隣の小学校とCU-SeeMeでテスト送受信
9月に隣の小学校とCU-SeeMeで,テスト送受信を行い,リリデール校とのテレビ会議による交流の準備をしていった。
(c) NetMeetingによる本校職員の研修
USB対応のCCDカメラを2台購入して,NetMeetingによる本校職員の研修を校内LAN上で,行ったりもしている。
(d) NTTフェニックス
今回の交流相手校であるリリデール校のテレビ会議の規格がはっきりしないままで現在にいたっている。そして,上記テレビ会議システム以外のフェニックスでも交流ができるように準備を整えている。

2 成果と課題
(1) 校内のイントラネットの構築

(a) 校内のイントラネットは,3年生以上の教室及び職員室,保健室,校長室,視聴覚室,理科室のネットワーク化を図ることができ,私なりにとてもよくやったなあと思う。
(b) コンピュータ室のルータに10/100Mbpsスイッチングハブを入れることもできて,少し速くなったように思える。今まで,高価だったハブがかなり手の届くところまで下がってきているのは,とてもありがたく,機会があれば,コンピュータ室のクライアント20台がつながっている10Mbpsのスイッチングハブを10/100Mbpsスイッチングハブに替えていきたいと思う。
(c) 過去に参加したネットディや研修会が,今回はとても役にたったと思う。例えば,天板を外す場所,ビスを入れる袋等過去のネットディのノウハウ等もいかされたと言える。
(d) 新規コンピュータのNTサーバへのログオンやセキュリティの設定がだいたいわかった。

(a) 夏休みは,日程の融通は利くが,とても暑くて,体力の消耗が激しかったことも事実である。できれば,時間的な余裕をもって,準備できればその方がよい。
(b) イントラネットの構築の環境はほぼ整ったが,端末になるコンピュータが残念ながら不足していることを今後どうやって解消していくのか大きな問題である。

(2) オーストラリアの小学校とのテレビ会議を使っての交流
(a) 英語版ホームページの作成は,すべてのコンテンツの英語版を作成することはできていないが,リリデール特集ページを完成させることができたので,とてもよかったと思う。
(b) 翻訳ソフトをあまりあてにするのはやめようと思うが,使い方を考えて重宝していこうと思う。
(c) ホームページや文献で検索をすることによって,テレビ会議システムとして,CU-SeeMe,NetMeeting,フェニックス等があることを知ることができてよかったと思う。
(d) 国内であるが,上記3つのテレビ会議システムを使ってのテスト送信ができたので,よかった。
(e) 本企画は,期限内の実施は,できなかったけれど,ようやくコーディネータになっていただける人をみつけることができた。現在,その方とテレビ会議をしたり,メールで連絡をとったりと実現にむけて継続中。ご期待ください。

(a) 校区の英語の堪能な方を早く探そうと思う。
(b) 国際交流となると,言語の壁がある上に遠距離であるためにこちらから相手校へ直接行ってみることができない。それと私自身が英語が堪能であれば,"規格について教えて"ということがすぐに聞けるのだが,これぐらいは簡単だと思うようなことも何人かの人を介していくと,うまく真意が伝わらないときがあるようです。

ワンポイントアドバイス
 情報教育を推進していくためには,一人では,何もできないと思う。例えば,校内イントラネットを構築するにも,少なくとも4,5人でかからないとできないであろう。できれば,他地域で行われているネットディに何度か参加をすることをお勧めする。そして,交流を推進していくには,身近な教室からの送受信をできるようにすることが,とても大切である。
 また,研修会をもつ際には,講師に直接内容を伝えるように心がけてください。
 最後に,国際交流をはじめてやろうというかたは,どこかのグループに入ってやっていくのがよいのではないだろうか.そして,コーディネータ的な存在がやはり,必要であると思う。現在,本校は,ようやくコーディネーータになっていただける人をみつけることができた。やはり,一人では何もできないですね。自分の関心のあるメーリングリストに登録して,いろいろな方の支援や助言を受けることも自分の道を開く手段になるんだと心の底から思った。

 

参考文献
100Mbps時代の最新Windowsネットワーク(エーアイムック)
ネットワークでプリンタ共有!(エーアイムック)

利用したURLなど
こねっとワールド(http://www.wnn.or.jp/wnn-s/sensei/index.html)