こけけネットでふるさと大発見
小学校第4学年・社会科
東市来町立鶴丸小学校 図師 弘秋
キーワード 小学校,4年,インターネット,イントラネット,学校間交流
インターネット利用の意図
県内各地の人々のくらしやそこでの産業の様子について,インターネット(ホームページの閲覧,Eメールでの情報交換),図書館の本,電話取材などで詳しく調べる。効率的な調べ学習を行うための手だてとして,インターネット上の本校ホームページや校内イントラネット上の専用ホームページにリンク集を作成しておく。
調べたことは,ホームページ化し,校内及び校外に向けて情報発信する。インターネット上やイントラネット上のホームページに掲載された作品をもとにして,校内の他の学年の子供たちや交流校の子供たちとメールやweb掲示板を使って情報交換ができるようにしていく。
また,単元の終末の段階では,交流校の子供たちとテレビ会議を行い,それぞれの県の違いや特色について話し合う。他と比較をすることで,県の特色についての理解を確かなものにしていく。
1 わたしたちの県
(1)
ねらい
社会科における調べ学習では,課題解決のための豊富な資料が必要となる。最も有効なのは,実際にその場所に行って,見たり聞いたりすることであるが,本単元のように対象地域が県全体といった広範囲になる場合は,そのような見学・取材活動を学習の中に組み込むことは不可能である。現在では,県内の各市町村のほとんどがオフィシャルのホームページを開設している。また,各種団体や個人のホームページも増えてきており,そこからかなりの量の情報を入手することができると考えられる。もちろん,教科書や資料集,図書館の本といった紙のメディアも利用するわけであるが,そのような従来型のメディアにホームページからの情報を加えることは,子供たちの課題解決の一助になるのではないだろうか。
ところで,本校の4年生は,茨城県鹿嶋市の中野東小4年1組と年間を通した交流をしている。お互いの県の様子を調べ,調べたことをホームページに掲載したり,メールで情報交換をしたり,テレビ会議で発表会をしたりすることで,お互いの県の違いや特色が浮き彫りになり,さらに学習に深まりがでてくることが予想される。また,これらの一連の活動をとおして,郷土を愛する心が培われていくと考えられる。
(2)
指導目標
自分たちの住む県の様子に関心をもち,様々な方法を駆使して調べ,調べたことをホームページ化することができる。また,テレビ会議を通して,他校の子供たちと意見交換をすることができる。
(3)
利用場面
この学習では,次のような場面でコンピュータを活用する。
(a) ホームページの閲覧による調べ学習
事前に設置されたリンク集を使って,県内の市町村や関連するのホームページで調べ学習を行う。
(b) Eメールによる情報交換
ホームページを見てもわからないことは,Eメールで質問する。また,交流校の子供たちと学習の進み具合やそれぞれのテーマにおける疑問点等について情報交換を行う。
(c) まとめのホームページ化
調べたことはハイパーキューブを使ってホームページ化する。できあがった作品は,教師がFTPで校内イントラネットサーバとプロバイダのサーバに転送する。
(d) テレビ会議システムによる交流
お互いが調べたことを発表したり,話し合ったりするためにフェニックスを利用する。
(4)
利用環境
(a) 使用機種 PC9821V13(1台) 98MATE-NX(1台) DIMENSION-V(10台)
DESKPRO(2台) PROSGINA(1台) 自作DOSV(1台)
(b) 周辺機器 デジタルカメラ ソニーMAVICA(4台)
(c) 稼働環境 コンピュータ室 上記の15台
4年〜6年教室 98MATE-NX(2台) DIMENSION-V(1台)
職員室 VAIO767(1台)
コンピュータ準備室 PC9821V13(1台:FreeBSD) DIMENSION-V(1台:Linux)
※ PC-UNIXサーバを利用した校内イントラネット
※ ISDN64kによるインターネット接続
(d) 利用ソフト ハイパーキューブ2,インターネットエクスプローラ4.01
2 指導計画
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図1 校内専用ページのメニュー |
図2 テレビ会議の様子 |
3 利用場面
(1)
目標
県内の様々な地域の産業や生活の様子について,いろいろな方法で資料を収集し,それぞれの課題を追究することができる。
(2)
展開
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本時は,土地条件や自然条件の違う県内の特色ある地域について調べる学習の第3時である。
子供たちは,事前に集めておいた資料を読んだり,校内専用ホームページからのリンクによって各市町や鹿児島県のホームページを閲覧したり,質問メールへの回答を読んだりして,調べ学習を進めていった。
「先生,徳之島に行くためには,お金はいくらかかるの。」
徳之島について調べている子供の声である。参考資料やホームページをこの子といっしょに調べてみたが,船の運賃までは掲載されていなかったので,船会社に電話して尋ねた。この他にも,大口市役所に電話をして,大口市にある主な工場について尋ねたり,東市来駅に電話をして,出水市までの電車の運賃を尋ねたりした。このように,調べてみても分からないことは,電話で直接尋ねるのもよい方法である。子供たちの要望で電話を使うことにしたのだが,子供たちが案外上手に電話で話すことに驚いた。
調べたことは,お絵かきソフトやワープロソフトでまとめて,ホームページ化した。一部の作業の早いグループの作品はできたようなので,教師の方でサーバに転送して,イントラネット上で見られるようにした。
学習の終末段階でこれらの作品を参考として全員の子供たちに見てもらったが,子供たちの中からは,まとめ方の工夫や充実した内容を賞賛する声があがった。
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図3 ホームページの閲覧 |
図4 子供たちの作品 |
4 成果と課題
(1) 本時は,12台の端末が同時にインターネットに接続したが,大変スムーズにページが開き,ほとんどストレスを感じることがなかった。これは,校内イントラネット上に設置しているサーバの力によるものだと思われる。効率的な調べ学習を展開するためには,このようなシステムが必須である。
(2) まとめた作品を校内専用ホームページに掲載することで,子供たちの学習意欲がうんと高まった。また,分かりやすくまとめようとする態度も見られるようになってきた。
(3) 子供たちの作品は,インターネットでも公開することで,共同学習を行っている中野東小の子供たちにも学習の成果を知らせることができた。単元の終末段階で,同校とテレビ会議を行ったが,事前にお互いの作品をインターネット上で見ていたので,効率的な話し合いをすることができた。
(4) 校内専用ホームページに掲載してある作品を見ながら発表する形態をとった。これは,見る側がブラウザを操作するという点でやや不安があったが,特に操作に戸惑う子供はいなかったようである。
(5) 単元の導入段階で,中野東小の子供たちに鹿児島県のどんなことを調べてほしいかメールを書いてもらった。これは,本校の子供たちの学習意欲を高めるのに役立った。
(6) 紙の資料,ホームページ,電子メール以外の情報収集の手段として,電話を活用する必要がある。ただし,相手の人に失礼にならないような話し方の指導をしておく必要がある。
ワンポイントアドバイス |
利用したURLなど
鹿児島県(http://chukakunet.pref.kagoshima.jp/)
鹿屋市(http://www.city.kanoya.kagoshima.jp/)
出水市(http://www.city.izumi.kagoshima.jp/)
枕崎市(http://www.synapse.ne.jp/~makurazaki/)
伊仙町(http://www.synapse.ne.jp/~isencho/)
キャプテン鹿児島(http://www.minc.ne.jp/captain/)
文渓堂社会科インターネット資料集(http://bunkei.co.jp/takara/siryou/siryou.html)