はばたけ和泊小
−教育活動の充実を図るための情報関連機器活用のあり方について−

小学校第6学年・国語,第5学年・理科,第2・6学年・特別活動, 第4学年・総合的な学習の時間,全学年・情報発信
和泊町立和泊小学校 教 諭 生田 裕章

wadomari@d1.dion.ne.jp
http://www.d1.dion.ne.jp/~wadomari
キーワード 小学校,1年,2年,3年,4年,5年,6年,国語,社会,理科,生活,特別活動,総合的な学習の時間,インターネット,テレビ会議,ホームページ


インターネット利用の意図
 
最近の情報関連機器,特にインターネットやパソコンの普及,発展は,子供たちの学習形態を多様化させ,個に応じた意欲的な学習活動を展開しやすくした。また,今日の情報化社会において,情報関連機器を活用し,情報リテラシーを育成していくことは重要なことである。そこで,学習活動の一つの手段として情報関連機器の活用法を探るとともに,豊富な情報からまとめていく過程での子供同士の磨き合い,高め合いや他地域の子供たちとの交流によって相手やその地のよさに気づくこと,また,それを通して自分や郷土のよさに気づくことなどを重視し,教育活動の充実を図りたい。このような実践を繰り返すことで,自ら課題を持ち,いろいろな方法で調べ,まとめ,発表するという学び方「生きる力」を児童に身につけさせていきたいと考える。


1 インターネットの活用
 インターネット上には膨大な情報があり,学校内や地域だけでは得られない情報や最新情報が居ながらにして得られるところが最大のメリットである。(図1)しかし,デメリットも多く含んでいるので,他の情報媒体や体験的活動,人同士のふれあい等を考慮した学習過程の工夫が必要である。
 本校は5月にパソコンの入れ替えをし,Windowsマシンになったばかりであるため,子供たちはパソコン操作やインターネットに慣れていない状態である。そのため,インターネットを活用する場合,目的にあったホームページを複数探しておいて,リンク集を作成しておくことが大切であると考える。子供が目的のホームページを探すということも大切な学習活動であるが,今の段階では効果的ではない。また,リンク集は,次年度へのデータベースとして回数を重ねるごとに充実したものになり,次年度は事前準備も効率化され,インターネットを活用しやすい環境が整っていくと考える。


1 インターネットでの調べ学習

1.1 実践事例(6年「国語」説明文)
(1) インターネット活用の意図
 この単元は2つの参考文から新聞作りの意義を知り,新聞作りを通して,事象や書き手の感想・意見との関係を押さえ,自分の考えをはっきりさせて表現することが目的である。一つ目の参考文は「ガラパゴスの自然と動物」(6年上「創造」光村図書)であるが,子供たちにとってガラパゴスはほとんど知られていない世界である。そこで,ガラパゴスの自然のすばらしさを実感し,興味・関心や学習意欲を高めるため,下調べをすることにした。インターネット上には多くの写真の載ったホームページがあり,効果的と考えた。

(2) 利用環境
(a) 使用機種 NEC 98MATE-NX 16台
(b) 稼働環境 パソコン室 NEC 98MATE-NX 16台(64kでインターネットへLAN接続)
(c) 利用ソフト インターネットエクスプローラ4.01

(3) 学習の展開(本時1/9)

主  な  学  習  活  動

1 ガラパゴスの代表でもあるゾウガメの写真(図鑑)を見て,ガラパゴスの自然について興味を持つ。
2 学習のめあてについて話し合う。

ガラパゴスはどんなところだろうか

3 インターネットの操作方法を聞く。
4 インターネットや図鑑を使って,2人1組で調べる。
5 調べた感想を発表する。

 

 今回,インターネットを活用するのは初めてだったので,最初は操作に戸惑っていたが,写真が表示されると生き生きとなり,いろいろな動物の写真と説明文を読みながら興味・感心が高まった。
 また,2人1組ということもあって,友だち同士話をしながら,また,隣のグループの違う画面を見合いながら,楽しく活動した。

ワンポイントアドバイス
 16台同時に接続すると画面表示に時間がかかることを念頭において,ゆとりある指導計画とすぐ見ることができる図書等の準備が大切である。

 

1.2 実践事例(5年「理科」人のたん生)
(1) インターネット活用の意図
 赤ちゃんがお母さんのお腹の中で育つ様子は実際に見ることができない。しかし,子供たちの学習意欲を高め,主体的な調べ学習を進めるため,効果的な情報媒体を探していたところ,図書とビデオとインターネット上のホームページが見つかった。そこで,4人ずつの6グループに分け,調べたい方法で調べる学習計画を立てた。ただし,調べる際は一つの媒体に限るのではなく,複数活用してもよいことにした。

(2) 利用環境
(a) 使用機種 NEC 98MATE-NX 4台
(b) 稼働環境 パソコン室 NEC 98MATE-NX 2台(64kでインターネットへLAN接続)
パソコン室 NEC 98MATE-NX 2台(pc-semiによりビデオ視聴)
(c) 利用ソフト インターネットエクスプローラ4.01

(3) 学習の展開(本時5/9)
 初め図書が2グループ,ビデオが1グループ,インターネットが3グループという選択で調べた。調べ学習が早く終わったグループは,他の方法でも調べていいことにしていたので,途中で方法を変えて調べたグループもあった。その結果,本時中に2つの方法で調べたグループが4つと1つの方法でじっくり調べたグループが2つという結果だった。
 子供たちは,調べている途中で他の方法が気になるため,他の方法も選択できるようにしたことで満足のいく調べ学習が展開できた。そのため,調べ学習の内容が充実しており,その後のまとめの活動で内容豊かな壁新聞が完成した。

1 本時の主な学習活動計画

ワンポイントアドバイス
 
同じ教室で調べ学習を進めため,ビデオの音声やパソコン画面に興味を持ち,調べ学習に集中できない様子もあった。ヘッドフォンを使ったり,パソコン画面が視覚に入らない場所設定をしたりする場の工夫も必要である。

 

2 テレビ会議による交流学習
 テレビ会議は,リアルタイムで他地域の子供たちとふれあうことができ,自己紹介や意見交換を通して,その地域の雰囲気を味わうとともに,新しい考え方に出会える貴重な場になる。また,事前に準備する過程で,自分の学校や地域のことを知ったり,発表の仕方を工夫したりなど,相手の立場に立った物の見方を養うことができる。ある単元で何回かのテレビ会議を通した共同学習が効果的だが,現段階では,相手校との打ち合わせや学習進程の問題,そういう学習方法に慣れていない等から実践できない状態である。そこで,交流という形の学級活動を実施し,教児共にテレビ会議の活用に慣れることが大切である。

2.1 実践事例(6年「学級活動」)
 1学期末に昨年度から交流している串良小学校6年生(鹿児島県肝属郡串良町)(図2)と初めての交流になる隣町の下平川小学校6年生(鹿児島県大島郡知名町)と交流することになった。新年度になって初めての交流なので,お互いの学校紹介や学級自慢等をメインにした交流となった。子供たちは,学校を紹介するにあたって,学校の施設を写真にとって大きく印刷したり,自己紹介をクイズ形式にしたりして,準備をしていた。この過程で自分たちの学校や学級の特徴や特色を再確認することができた。
 子供たちは,初対面とは思えないくらい意欲的で,クイズの時などは,大いに盛り上がった。紹介の写真等はテレビ会議では画像がはっきりしないため相手に分かりにいということが分かり,発表や紹介の仕方を工夫する必要があることを実感していた。


2 交流学習

2.2 実践事例(2年「学級活動」)
 2学期末に水清谷小学校1・2年生(宮崎県南郷村)と交流する(図3)ことになった。2年生なので,簡単な自己紹介の後,合同レクリエーションをすることにした。水清谷小は小規模校で1・2年生合計で5人という学校なので,大人数の子供たちといっしょに遊べることがなによりと考えて実施した。
 最初少し緊張気味だったが,レクリエーションが始まると両校とも楽しく活動していた。離れたところで同じゲームができる楽しさを存分に味わうことができた。


3 交流学習

ワンポイントアドバイス
 
テレビ会議は画面が鮮明でないので,音声が大切である。聞くときと話すときの区別をはっきりさせ,大きな動作とはっきりとした発声で伝えることが大切である。

 

3 総合的な学習の時間の創造
 平成14年度から実施される「総合的な学習の時間」は,全く新しい領域であり,教師も子供たちもどういう学習になるのか手探りの状態である。しかし,平成12年度からの移行期において実施可能ということで,本校でも「総合的な学習の時間」がどのように展開されるのか,実際の授業を通して模索することになった。4年の国語の単元である「方言と共通語」(国語4年下「はばたき」光村図書)を取り上げて,学級活動や創意ある教育活動,学校行事(学習発表会)の時間を使って実施した。実施にあたっては,子供たちに情報機器活用も示唆しながらいろいろな方法で調べていくようにした。(表2

表2 単元全体活動計画(全15時間)

 インターネットで調べるグループは,まず,沖永良部の方言を調べ,他の地域と比較する形で行った。また,兵庫県の米田西小学校4年生(兵庫県高砂市)との交流の話があったので,関西の方言と比べるという形でテレビ会議も活用した。テレビ会議では,方言クイズを中心にお互いの方言を教え合った。方言の場合は,独特なイントネーションや言い回しがあるので,生の言葉は非常に分かりやすかった。次に,インターネットで調べ始めたが,たくさんの地域にいろいろな言葉があるため,子供と教師が話し合いながら,あいさつの言葉や体の部分の名称等,言葉を限定して調べていくようにした。そして,クイズ形式で模造紙にまとめ,学習発表会会場に掲示するともに舞台で発表した。(図4


4 方言クイズ

 その他のグループは,方言劇「桃太郎」(図5)や舞踊「作田米」(地域の方の演奏)(図6)で発表した。


5 方言劇「桃太郎」


6 舞踊「作田米」

 

ワンポイントアドバイス
 子供たちと話し合い,学習計画の見通しを持たせることが大切である。

 

4 ホームページによる情報発信

 学校のホームページは,学校紹介がメインとなるが,できるだけ子供たちの学習の成果で紹介していくことが大切だと考える。ホームページは不特定多数の方が見るので,注意すべき点も多いが,いろいろな意見をもらえる可能性がある。そして,そこから交流が広がったり,見やすい工夫をしたりするようになる。本校では,学年ごとにページとテーマを割り当て,作成している。(図7)
1年…教師が写真と簡単なコメントで1年生の行事を中心に紹介
・2年
教師が写真と簡単なコメントで生活科の学習を中心に紹介
・3年
学習で作った作品をデジタルカメラやスキャナで取り込み,和泊町の様子を紹介(図7中)
・4年学習したことをもとに沖永良部島の様子を紹介
・5年
毎日子供たちが交代で日記に表し,学校での生活の様子を紹介(図7中)
・6年…写真や学習カードをスキャナで取り込み,6年生の行事を中心に紹介(図7中)


7 和泊小ホームページの概要

 

5 成果と課題
 ・子供たちは,興味のあるパソコンを活用することで学習が意欲的になった。また,調べる道具の一つにインターネットやテレビ会議があることを理解し,学習に幅ができた。
 ・学習に役立つリンク集が徐々に充実してきた。
 ・テレビ会議のメリットが実感でき,今後の学習活動の展開に期待が持てた。
 ・子供たちのコンピュータリテラシや情報リテラシが高まっていないので,調べ学習に時間がかかるとともに,調べた内容の精選等の情報処理が不十分である。
 ・テレビ会議は打ち合わせ方法や通信費について今後改善していく必要がある。
 ・ホームページを活用して情報を発信しているが,子供たちには,本校のホームページを見る機会がなく,自ら発信しているという意識が少ない。

ワンポイントアドバイス
 最低週1回はどこかのページを更新したり,全国的な検索サイトに登録したりして,多くの人に見てもらうようにする。

 

<利用ソフト>FrontPageExpress

利用したURLなど
 http://www.hamajima.co.jp/galapagos/galaindx.htm
 http://www.amie.or.jp/~nals/gallery2/gallery2.html
 http://www.mediafusion.co.jp/noji/noji98/chuugakubu/garapagos/garapagos.htm
 http://village.infoweb.ne.jp/~penguin/
 http://www2s.biglobe.ne.jp/~t-ohashi/gala.html
 http://www.unitour.co.jp/galapagos/index.htm
 http://www.wnn.or.jp/wnn-s/nazenaze/hitotop.html
 http://www.itl.atr.co.jp/dialect
 http://www.d1.dion.ne.jp/~wadomari
 wadomari@d1.dion.ne.jp