酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクト
実践報告書

愛知産業大学三河中学校


1.本企画に参加した意図

理科教育の中で環境問題を取り扱うことは、もはや必要不可欠である。また、生徒の間でも、環境問題を扱う観測を実施し、身近な環境について調べてみたいという気持ちがある。しかしながら、本校にはレインゴーランド等、酸性雨を調査する機器・薬品が現在のところ、ないという現状であった。

本プロジェクトでは、機器・薬品の貸与があると聞いた。本プロジェクトに参加することにより、そういった機器・薬品を使用し、まず教員が酸性雨調査の方法を身につけ、授業を実践し、次に、生徒が実践できるようにしていきたいと考え、このプロジェクトへの参加を希望した。

2.プロジェクトの位置づけ

2-1.教育活動の中での位置づけ

    (1)プロジェクトを実施した具体的な教育活動(1,5)

    1. 理科の授業
    2. 理科以外の授業
    3. クラブ活動
    4. ホームルーム活動
    5. その他の活動(教員の現職教育)

    (2)測定を行ったのは誰ですか。 (2)

      1. 生徒
      2. 教師
      3. 生徒と教師の共同作業

(3)データの送信は誰が行いましたか。 (2)

    1. 生徒
    2. 教師
    3. 生徒と教師の共同作業

2-2.プロジェクトを教育活動の中で実施するとき、ネットワークの具体的な利用場面(1,2,3,4)

    1. データの送信
    2. 他校のデータの収集
    3. 他校との交流
    4. 他のホームページを使った資料の収集
    5. その他(         )

2-3.プロジェクトの実施にあたり利用できたネットワークの環境。
該当するものを全て選び、その他のものがある場合は具体的にお書き下さい。(1,2,3)

      1. ホームページ
      2. 電子メール
      3. 電子掲示板
      4. テレビ電話
      5. チャット
      6. その他

3.実践の経過と指導計画の概要

1999年 9月 プロジェクトへの参加申し込み

10月〜11月 NOx測定

2000年 1月 留学生と共に、酸性雨に関する交流授業実施

今後、随時、酸性雨を調査していく予定である。また、教員が計測方法のノウハウを身につけた後、時間をみて生徒にも測定、データの送受信をやらせていこうと考えている。

4.授業での実践記録

(授業実施日)2000年 1月 13日(木)3限

(実施場所)愛知産業大学三河中学校 工芸室

(実施対象生徒)中学校3年(14名)+姉妹校オーストラリア アラダラ ハイスクール生徒(14歳〜16歳、9名)

(使用教材)プリント →使用プリント概要

(授業について)

本授業は、この時期ちょうど三河中学校に滞在していたオーストラリア アラダラ ハイスクールの生徒と、本校の生徒との交流授業として通常の授業とは別に設定された授業である。交流授業という性質から、国際的に取り組まなくてはいけない内容として酸性雨を選んだ。

留学生が普段生活しているオーストラリア ニュー・サウルス・ウエール州アラダラ地区は自然に恵まれ、環境問題とは無縁の地である。そういった生徒達に、日本が現在直面している問題や、国際的な状態を知らせ、見方・考え方を広げてもらおうと考えた。また、本校3年生には2分野の最後の単元、「地球と人間」の内容の先取りとして行った。実際に、自分達が生活している地域に降った雨を目の前で分析することにより、環境に対する考え方を広げたいと考えた。

(授業の流れ)

前日に酸性雨について、英語で発表できるよう、三河中学校の生徒に宿題を出しておき、その宿題を発表させた。クラスの中の何名かの生徒の家庭にはアラダラ ハイスクールの生徒がホームステイをしているため、三河中の生徒達は各家庭でアラダラハイスクールの生徒達に聞きながら宿題をやってきたようである。また、発表の途中でも、アラダラ ハイスクールの生徒が単語等を教えてくれるといった交流が見られた。

三河中の生徒の宿題を発表させた後、今度はアラダラ ハイスクールの生徒に今まで酸性雨について学習したことがあるか、酸性雨についてどのようなことを知っているかを聞いた。汚染によること、木を枯らすことなど、基本的なことは知っていた。今回、9名の留学生が、授業に参加したが、約半数が酸性雨について知っていた。しかし他の生徒は知らないようであった。アラダラ ハイスクールの付き添いの先生に聞いたところ、授業が選択制になっており、化学や地理を選択したものは酸性雨について学習しているが、そうでないものは知らない、ということであった。

(図 1 交流授業風景)

各自に知っていることを聞いた後、次に、資料のFig. 1(プリント概要参照)を使い、世界のどんなところで酸性雨の被害が起こっているのか、酸性とpHの関係について学習した。pHについては、アラダラ ハイスクールの生徒も学習しているようだった。pHを学習した後、Fig. 2(プリント概要参照)を使い、ヨーロッパや日本でどれくらいの強さの酸性雨が降っているかを学習した。

最後にアラダラ ハイスクールのみんなが岡崎の地に最初に来た日、1月10日(月)に降った雨のpHを分析した。分析の結果は以下の通りであった(本プロジェクトの規定通り、ホームページに記録した)。なお、数字は降り始めからの順番である。

pH
4.1
4.8
5.2
5.1
4.9
5.2
5.0
5.1

岡崎にもかなり酸性の高い酸性雨が降っていること、降り始めの酸性の度合いが高いことに生徒は気がついた。

5.実践を終えて

(1)実践で得られた成果

恥ずかしいことですが、今まで経験のなかった酸性雨の調査を教員が体験することができた。

生徒に自分達がすんでいる地の様子を知らせることができた。と同時に、環境に対して生徒の目を向かせることができた。

(2)反省・課題

本校には科学部がないので、生徒に調査をさせることができなかった。今後は、生徒の中から有志を集め、積極的に生徒に調査・分析をさせていきたい。

教員が調査・分析を行っていたため、どうしても分析する時間がとれず、遅れてしまった。またNOxの測定場所が広範囲に渡り、調査の準備に苦労をした。  

(3)今後の実践にあたってのワンポイントアドバイス

NOxの測定が1週間ごとにあり、苦労した。1週間ごとに観測をする必要性があるのだろうか。次回、同様な測定をするのであれば、測定間隔をもう少し空け、代わりに測定期間を長くとるとよいと考える。また、測定場所が今回、10ケ所あった。これも、長く調査を続けていく際の障害となった。半分でも十分ではないか、と感じる。

現在、自記記録計の故障で、本校は継続的な気象観測が難しい状況にある。インターネットのメール配送サービスによって気象情報を集めたが、他にもいくつか気象情報を集める方法を参加校の間で情報交換したり、事務局から気象情報を集めるための機器の貸し出しがあると助かると感じた。

(4)このプロジェクト実施にあたって利用した資料・ホームページ等

◆窒素酸化物調査測定結果(学校別)
http://pine.fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/cgi-bin/disp.cgi?学校名=愛知産業大学三河中学校

◆酸性雨調査−Eスクエア・プロジェクト協働企画 定点観測データの共有・活用実験

◆大気調査キャンペーンに参加しよう‐大気汚染調査の結果(都道府県別)
http://kids.gakken.co.jp/kagaku/taiki/kenbetu.htm

◆「酸性雨」 http://home.ksp.or.jp/ado/newpage91.htm

◆新日本気象海洋株式会社 http://www.metocean.co.jp 

◆酸性雨調査のページ http://pine.fukuyama.hiroshima-u.ac.jp/sanseiu/ 


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