つくば市立吾妻小学校 教頭 森田 充
キーワード(小学校,全学年,全教科領域,開かれた学校,メーリングリスト,保護者や地域の人々)
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図1 スタディノートを使った情報交換
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1 研究の手順
目的を達成するために,私たちは
1)ネットワークの仕組みの整備
2)組織作りと規約の制定
3)会員の募集
4)実践
の手順で,進めてきた。それらそれぞれの内容について述べる。
(1) 仕組みの整備
まず,本校と吾妻中学校に導入されているグループウェアソフト「スタディノート」を生かして,メーリングリストを構築できるように整備した。その情報交換をまとめて表すと,上の図1のようになる。
小・中学校の児童生徒がスタディノートを活用して書いた掲示板やメールは,一般の方々には,形は多少変わるが,自分で利用しているメールソフトでその内容を見ることができる。
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図2 スタディノートの画面とメールソフトの画面 |
「吾妻ローカルネットワーク(ALN)」運営規定 1 趣旨本メーリングリスト(ML)は,教育活動の一環として行われるものであり,学習における情報収集の際,広く情報を得るとともに,地域の人々との情報交換ができることを目指して運営されるものです。そこで,次のような規約をもうけます。 2 管理者 l 学校長の定める者とし,吾妻小・中学校とも教職員3名とPTA会員1名の計8名を構成員 とする。 3 参加資格 ・本校児童,吾妻中生徒およびその保護者 ・本校職員,吾妻中職員またそれに準ずる者 ・その他,ML管理者が特に参加を求めた,もしくは認めた者 4 メールの投稿は必ずテキスト(TEXT)ファイルで行う。 5 投稿されたメールはML参加者のみの利用に限る。 6 本ML以外での再配布やプリントアウトした後の掲示,配布はしない。例外として,本ML でやりとりされた内容・成果について,本校の教育活動の実践報告などで公開する場合があり, それについて承諾できること。 7 次のような内容のメールは投稿しない。 ・特定の個人,団体,組織についての否定的な情報 ・噂の類など社会的に混乱を招くおそれのある情報 ・小中学校の学習活動において不適切だと考えられる情報 (不適切な内容は管理者によって削除されることがあります。) 8 参加方法について ・入会は電子メールで受け付ける。 ・退会は入会同様,電子メールで「退会する」意向を記述し,報告する。 ※ 学校という,限られた場所時間でのコンピュータの利用なので,投稿の反応が遅くなったり,体験不足から常識的な了解事項からはずれたりする場合があることをご了承ください。指導しながら,少しずつルールや活用法を身につけさせていきます。 |
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図3 保護者募集の文書 |
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図4 3年生によるアンケート調査と答え |
規約と共に,右の図3のような文書を配布し,保護者への募集を行った。
小中学校保護者,約50名からの応募がありメーリングリストの運用を開始した。
(4) 保護者の理解を得る研修会
この会の意義を知ってもらうことはなかなか難しいのが現状である。できるだけ存在とその活用方法を知ってもらうことが必要であると考えている。そのために本校では,家庭教育学級の時間を利用したりして,保護者の方へ知らせる研修会を行った。
2 実践例
これらのメーリングリストは,アイディア次第で,学習の中で使える場はたくさん設定できる。ここでは,代表的な使い方をその学習の流れと共に紹介する。
(1) 3年の実践 −吾妻のじまん−
3年生では,「吾妻のじまん」という学習の中で,地域の人々から意見を集める段階で本メーリングリストを活用した。街角で道行く人にアンケートをとる児童,幼稚園のお迎えに来る保護者の方にアンケートをとる児童,もいたのだが,右のようなアンケートをメーリングリストに投稿した児童もいた。このように,意見を集めるための道具として使うことは,一つの方法であることに児童が気付いたのである。
今後,この「吾妻のじまん」をホームページ上に公開し,メーリングリストでそのまとめに対する意見を集めるためにも利用するという計画で,現在進行中である。
(2) 5年の実践 −各地の正月料理−
5年生では,道徳の発展として,「各地の正月料理」を調べるときに,本システムを活用した。本校の保護者は,日本の各地から集まっているので,この学習も有効であった。
その学習の流れは次のようである。
1)ねらい ・ 日本の伝統や文化に対する理解を深め,日本人としての自覚と誇りを持って国を愛する態度を育てる。
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主な活動 | 教師の支援 |
1 課題を知る。 2 6年だけが見られる掲示板に中学生に質問したいことを書く。 3 項目を選択し,グループ内で質問が重ならないよう話し合う。 4 中学生に送る質問を掲示する。 5 今後の活動の仕方を知る。 6 後始末をする。 |
・「もうすぐ中学生になるけど,不安なこと,知りたいこと,疑問に思っていることをメールを通して,中学生に質問してみよう。」 ・似ている質問が掲示板に載っていたら返信してみるよう声をかける。 ・掲示された質問をチェックし,グループ分けをする。 ・項目を板書し,どの質問を中学に送りたいか選択させる。 ・誰もが見られることを話し,タイトルの工夫,言葉遣い、名前の記入などについて確認する。 ・スタディノートをこまめに見るよう話し,返事が来たら,お礼やさらに質問などをし,交流を続けるように助言する。 ・最後に確認をする。 |
B 効果
右のようにメールのやりとりを掲示板で行った。 6年児童は,中学校の情報を前もって得てから,見学に行くので,見学の目的が明確になり,有意義な見学ができた。また,小学校にいながら中学生との交流が深まり,先輩への親しみが増し,中学校進学への不安が解消されるという点も大きな効果である。 |
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3 成果と課題
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