Virtual Internet world Community
副題    テレビ会議・電子メール・ホームページ・メーリングリスト・国際交流・
電子商取引を利用した複合的学習空間の構築

商業高校・商業
福井県立福井商業高等学校
商業科 田嶋基史
tajima@fukusho-ch.ed.jp
http://www.fukusho-ch.ed.jp

キーワード 商業高校 インターネット 電子商取引 電子メール 多地点学校間交流 ネットディ


 インターネット活用の意図
福井商業高校は、平成10年に、文部省の「光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法の研究開発事業」の指定を受け1.5Mbps回線が引かれた。この高速回線を生徒による生徒のため活動として生まれてきたのが「FIC project」である。「FIC project」とはFukusho Internet Communityの頭字をとり「FIC project」とネーミングした。
平成10年度からCECを中心とした「国際交流の実践」「アジア高校生国際交流プロジェクト」に積極的に参加してきた。多くの技術の共有ができ、そこに人的ネットワークが広がってきた。今年はさらにグローバルな視点での意見交換を積極的に進めていこうとFukusho Internet Community」から「Virtual Internet world Community」としてインターネットを用いた総合的な交流プロジェクトをめざして進めていこうと考えている。

1 目的・内容
(1)全校生徒にメールアドレスを配付し、意見交換の場を提供することで情報交換を活発にする。
(2)商業高校での「課題研究」あるいは「総合実践」などの時間を利用し、電子商取引を通じて経営分析を養う力を身につけ、自分のコンテンツをしっかりとプレゼンテーションしていく能力を育成する。
(3)電子メールでの意見交換やWEB上での情報収集がおおくなるのでインターネットの情報倫理・情報リテラシーを理解させていく
(4)アジア高校生インターネット国際交流プロジェクトやワールドユースミーティングでの共同製作内容を構築し、意見交換していく。
(5)ネットディを実施していくことで生徒および職員が、校内の情報通信機器に触れる機会を設け、また校内にネットワークを敷設することにより地域と学校との連携を図っていく。

2 本校の機器構成
 本校では情報棟(第2電算室PC20台・第5電算室PC20台・第4電算室PC40台)がすべてLANで接続されている。接続形態は100base-Tである。インターネットには1.5Mbpsの光ファイバー接続をしている。なお校内情報用にファイルサーバ2台、プロキシーサーバ1WEB用サーバが1台あり、上記のプロジェクトを推進するにあたり職員室はもとより、各職員先生の部屋にもパソコンがつながれている。

3 インターネット授業実践の内容
(a)電子商取引の実践(3年課題研究)
インターネットを利用して電子商取引を実際のインターネット上で行い、日本および海外の学校と特産物などの取引を行う。それを通して各会社に利益追求のシミュレーションや経営分析を行わせる。なお電子商取引については、テレビ会議システムやネットミーティングを利用して、双方向のリアル画像交換をおこなう。
昨年から進めている愛知県西陵商業高等学校と川崎商業高校との電子商取引をweb上進めているわけであるが今年度はさらに実際の各県の商品を実際に販売していくことでバーチャルからリアルへの変換を実現していく。
(1)3校点での意見交換などのやりとりを円滑にするためリアルタイム系リフレクターを利用する。
(2)Cu-SeeMe, NetMeetingの使用マニュアルを作成していく。
(3)企業家精神を育成していく観点から生徒が電子商取引を通じ、経営ソフトを利用して財務諸表の分析力や経営分析を行なうための意思決定能力を養わせる。
(4)そこでのデータをサーバにデータベース化し、情報を共有できる環境を構築すると共に、その市場のマーケッティングリサーチを含めて、考察しWEBに挙げていく。
(評価)
会社においての財務諸表や経営について数字がもつ意味を、理解していったのではないかと思う。また今まで断続的でしかなかった簿記の手順の知識が、仕分から決算までその必要性を理解させることができた。
(反省点)
 今年はまず。勘定科目を過不足なく設定させていくこと、そして取り扱う商品について各会社のホームページを作成し、他の学校間交流に向けて準備していくことを目標にした。会計処理を会計処理ソフトで作成して、実施していったのであるが、その作成やソフトの習得および、それを利用しての運用形態など実際の取引をもとに財務諸表を作成していく作業に時間がかかり、なかなか取引に進めなかった。また帳簿組織の意味をはっきり理解させていかないと、実際にWEB上でいま行っている作業が、何に連動しているのかあいまいになってしまう恐れがある。ゆえに、生徒には十分そのことを認識させた上で授業を展開する必要があると思った。

b)インターネット教育実践の研修(国際経済科 全学年 英語科教員)
国際経済科の英語の時間にインターネットを利用した授業を実施していく。国際経済科の生徒全員に、コンピュータ操作やネットワークエチケットの講習会を授業で展開していき、情報倫理の必要性認識させると同時に、メディアリテラシーを確立させていく。
(授業展開)
1年生(英語T)
10月後半から週1回のコンピュータを利用した授業展開(年 15回)
1)ネットワークエチケット(3回)
具体例を挙げながら生徒に人間社会と同様に守るべきエチケットあることを理解させる。

2)電子メール講習会(8回)

イントラネットの環境で電子メールの利用の仕方について習得させる。
危険なメールやウィルスについて具体例をあげながら紹介し、なぜ悪いのか意見交換させる。
簡単な挨拶文や英語での言い回しを、例文を通して理解させる。
英文検索データベース(CEC協同企画プロジェクト)などを利用しながら、まず英文メールに必要な内容を理解し、検索をかけながら、相手に送るメールを作成していく。

3)情報検索について
WEB上での情報検索を実施していくにあたり、インターネットエクスプローラの利用の仕方を教えていく。
情報収集や情報発信などの利用の仕方を英語のサイトを利用して学習させていく。
ニュースサイトなどにアクセスし、リアルタイムの情報がどのような言い回しで表現されているか学習していく。
2年生(オーラルイングリッシュ)
年間を通じて週1単位のコンピュータを利用した授業展開(年 30回)
1)ネットワークエチケット(3回) 1年生と同様
2)電子メール講習会(8回)    1年生と同様
3)フロントページエクスプレスを利用したWEBページ作成(テーマ:学校生活)
3年生(オーラルコミュニケーション)
4月〜9月末までの間週1単位のコンピュータを利用した授業展開(年 12回)
1)ネットワークエチケット(2回) 1年生と同様
2) プレゼンテーションソフト講習会(6回)
3) 班別によるプレゼンテーション発表会4回(テーマ:理想の海外旅行)

(評価)

(反省点)

 

(c)ワールドユースミーティングin名古屋・アジア高校生国際交流in台湾に参加
E-スクエアプロジェクト(学校企画)の一環として7月22日〜23日に名古屋で開かれるワールドユースミーティングに参加していった。台湾の学校と交流していく生徒は、福井商業高校の他三重県の夢学園・員弁高等学校で意見交換を実施していった。
(内 容)
参加国:アメリカ・ドイツ・台湾・ジンバブエ・オーストラリア
日本:福井商業高校・西陵商業高校・夢学園・四日市西高校・中村高校・川越高校・緑高校 他
(4月〜6月)
・海外の高校への意識調査の後アンケート結果を相手国に送付した。またアンケートを基にした意見交換を電子メールで実施してお互いの国のイメージを意見交換していった。
 意識の変化をアンケートのデータを利用しながらまとめていった。
(6月〜7月上旬)
7月に夢学園にて台湾とのテレビ会議をおこなった。今まで電子メールでの交流していた内
容相手の顔を見ながら意見交換をしていくことで細部にわたって交流に向けて、雰囲気づく
りができたと思う。
722日〜23日)ワールドユースミーティングin名古屋 開催
ワールドユースミーティング名古屋に参加するにあたり本校では以下の支援体制を整えていった。
1)教員のサポート
    英語科の教員を中心にプレゼンテーションの準備やホームスティの受け入れ、また前日の
    交流会などの事前準備に協力体制を整えていった。
    事前の打ち合わせ5回程度おこなう。放課後1h〜2h

1回目(6月上旬)
役割分担の洗い出しと各イベントの予算割作業
2回目(6月中旬)
ホームスティ受入の生徒に対して事前指導 語学研修など
3回目(6月下旬)
ワールドユースミーティング前日の講習会においての実施内容の確認
4回目(7月上旬)
当日のプレゼンテーション実施にあたり、英語版と日本語版とのすり合わせとプレゼンシート作成アンケートの集約作業
5回目(7月中旬)
全体進行状況の確認とそれぞれのイベントに対しての予算の確認

     
2)全体の流れ

720日〜22 台湾の生徒を福井にてホームスティ実施(5名)
722 台湾生徒5名 本校の教職員8名 生徒30名 父兄3名が大型バスを借り切っての参加した。
また3年生のプレゼンテーションに参加する生徒は、事前の交流として、縄プロジェクトというワークショップに参加した。
723 ミスコンセプション「誤解から理解へ」を大きなテーマとして、台湾の高雄女子高等学校と本校の生徒が合同で台湾と日本の日常生活にスポットを当て、20分間のプレゼンテーションを実施していく。

   
(プレゼンテーションの様子:日常生活の台湾と日本との比較)
  
(9月〜12月上旬)アジア高校生国際交流in台湾に向けての準備                
メーリングリストを通じての意見交換を進めていく。ワールドユースミーティングでの教員間の連携と学年の枠を超えた生徒同士の協力体制の充実を図った。
(12月23日〜26日 アジア高校生国際交流in台湾)
12月23日 東京 名古屋 生徒25名 教員17名(東京国際大学、帝京科学大学、淑徳大学
東海地区高校 7校の連携の下)台湾高雄市を訪れる。
現地はAJET組織(高校、大学、中学)の連携組織を目的としている。
12月24日 日本側プレゼンテーション(福井商業 「日本の年中行事と台湾文化」 員弁高校 「台湾と日本の誤解ー解決ーイメージ」 現地高校との共同クリスマスパーティを通じての異文化交流
12月25日 高雄〜台北  現地での異文化交流 文化理解を体験していった。
国際経済科の生徒1年生4人と2年生2人の6名が参加した。プレゼンテーションについては、事前に英語科の教員と英文の内容を吟味して作成した。1年生4人は日本の踊りなどをプレゼンテーションに取り入れていった。
(評価)
今回の一連の国際交流は、学校全体の行事として位置つけ、準備と調整に十分時間をかけて進めていった。特に国際経済科の生徒が中心となっていることもあり、クラスの担任はもとより、英語科の先生もサポートしてくださった。生徒が自ら積極的に参加できるこの企画に少しづづであるが職員の理解が浸透しているのを感じた。
(反省)
アジア国際交流では、出発の時期が年度末ということで、他の学校行事との絡みから生徒への指示が徹底しなかったり、メーリングリストのアンケートなどが十分に相手に伝わらなかったりと、台湾の生徒および国内の生徒との意思疎通が十分とれなかった。調査した文化比較を基に、台湾と日本のメーリングリストをさらに活発にし、文字以外の画像や音声なども利用して交流を継続していくことが大切であると思った。
(今後の展開)
国際交流の活動は、学校行事として位置づけていく方向で検討が始まっている。また来年度から英語科では、授業のカリキュラムとして組入れていく方針である。生徒が、興味を持って必死に相手に伝えようと取り組んでいる姿勢は、教員のみならず、学校全体を動かしていくものであると感じた。

(日住生活の比較をプレゼンテーション)
(異文化交流:クリスマスパーティー)


(d)ネットディを充実させ理想の校内LANの構築
準備:校内LANの設計とケーブル・HUB・モール・サーバーなどの部材の価格を調査する。
このネットデイではFIB(Fukui Internet trouble Busters) の協力を得て実施していく。
   FIB:福井県のインターネットの健全な発展を目指すボランティアグループのこと 
内容:学校内の校舎全体に校内LANを敷設していく。
   参考 
http://www2.fukusho-ch.ed.jp/project/e2000/m_place/ 校舎図
   情報処理棟〜2号館〜1号館〜管理棟
   実施計画:教員、全校生徒、父兄、PTA対象
   5 月  校舎内下見(3回程度)
   6 月〜 7月必要な部祭調達・PTAの参加呼びかけ
   9 月 校舎内下見(2回程度)組織作り。グループ分け
       校内LAN講習会などを実施職員および生徒にケーブル正端作業やサーバの設定
   10月28日〜29日 ネットディ実施
(評価)
 ネットディでは情報棟から各職員室までにケーブルを敷設していくわけであるが、今回は、多くの
先生や、PTAまた生徒の参加を募ることを目標とした。学校全体の取り組みとして進めていくた
め、職員会議などで、毎回その必要性を訴えて理解を求めていった。
(反省)
 ネットディが実施されることで、何がどう変わるかということを、もっと具体的に示していき、さ
らに多くの協力できる人の理解をもとめる必要があると思った。また校内LANを利用してファイ
ルの共有やイントラネットを充実させることで、校内での情報収集・発信をもっと利用しやすくす
る必要があると思った。さらにPTAとの協力体制を整えていくことから、外部との情報交換をW
EBを通じて行うことができる仕組みを整えていく必要があると感じた。

4 まとめ
光ファイバーという高速回線を利用し、インターネットの教育利用を様々な角度から進めてきた。
かけた。インターネット活動を打ち出して4年目である。今後は、情報ツールをあたり前に使いこ
なす生徒が増えてくる。WEBやメールサーバの構築といったネットワークリテラシーの充実をベ
ースにモラルやエチケットのような情報リテラシーを徹底させ、最終的には、世の中の情報をどう
切り取り、加工して自分のものとして発信していくかといったメディアリテラシーの育成を進めて
いくことが今後さらに要求されていくことだと思う。ネットワークを利用した学習を通し、生徒は
多くのことを学び表情がとても豊かになってくる。この変化を止めるこのなく様々な障害に対して
乗り越えていく強い意志と継続する情熱をもってさらに取り組んでいきたいと思う。

ワンポイントアドバイス
今年、Virtual Internet world Communityの実現向け様々な取り組みをしてきた。そこで痛切に感じたことは、物事を進めていくときには「教職員の理解を得る」ということである。何度も何度も繰り返して説明し、根気強く説得できるかどうかで企画した内容が実行できるかどうかが決まると思った。また今回国際経済科の1年から3年生までの英語授業でコンピュータを利用する際に、商業科がサポートをして授業の充実をはかった。また授業展開の打ち合わせでは、教科間の枠を越えてそれぞれの会議などに積極的に参加して意見交換をおこなった。また今進めていることを教職員や生徒、あるいはPTAにWEBで紹介したり、月何度か発行する通信文にできるだけ情報公開することで内容を理解してもらうことが大切である。
利用したURL
http://www.japannet.gr.jp/w2000/      
http://www.seiryo.ed.jp/asia/
http://is.im.mri.co.jp/~english/ 
http://is.im.mri.co.jp/~english/system.html