高校生インストラクター高齢者インターネット研修

     ―― 世代間の異文化理解 ――
名古屋市立西陵商業高校 
担当 寺西 寿雄 teranisi.seiryo.ed.jp
 影戸 誠 kageto@seiryo.ed.jp

学年 三年生 教科 課題研究
キーワード
高齢者 社会参加 インストラクター 地域連携 生涯教育

1 はじめに
 本校は国際交流にこれまで力をいれインターネットの活用に努力してきた。
 しかしながら、国際交流が進めば進むほど「日本人とは何か」といったテーマが浮き上がってきている。生徒をインストラクターとして高齢者研修を実施し次のねらいを達成したい。  またこの企画は3年連続で行われており、呼びかけに多数応募している。・高齢者を教えながら、その学習態度などから学ぶ・研修後チャット・メールなどをとおして日本人について考えていく。失いかけているアイデンティティの確認を相互に行う。

2 ねらい
・背景 
 ネットワークを多用し授業に取り組んでいるが、生徒のこれらのリテラシーを活用し、高齢者研修を生徒をインストラクターとして実施したい。
またこの企画は3年連続で行われており、教育委員会をとおした呼びかけに多数応募している。
新規性
 高齢者の研修を学校が行うということも大切であるが、生徒の参加によって生徒自身「高齢者を教えながら、その学習態度などから学ぶ」ことが可能となる。
 研修後チャット・メールなどをとおして学び、失いかけているアイデンティティの確認を相互に行いたい。
汎用性
 総合学習などにおいて、地域の高齢者の情報を得ながらプロジェクトを進めていくことがこれから多くなる。
 高齢者との共同作業によってもたらされる発見、喜び、さらには課題を得ることができ、これらの情報化これからの進められようとしている総合的な学習の時間には必要なものとなる。
波及効果
 総合学習の中のテーマとして取り組めるよう、その手順、フォーマットなど公開をしていく。

「夏休みの高齢者研修を生徒参加の形で行う。」
3 企画の概要
 (1)対象
    名古屋市内在住の50歳以上の男女 本校生徒40名
 (2)実施内容
  成果物 
   共同ホームページ チャット、メールログの一部公開

実施計画など



4 実践内容

夏休みを利用して、生徒がインストラクターとなり、4日間の研修を行った。
電子メール
メール送信の方法、POPの意味など。実際に参加者同士でメールの送受信を体験するとともに、メールソフトが違っても対応できるよう、基本的な事項を集中して学習した。さらに一般的なプロバイダーを想定して、メールソフトの設定練習を行った。(POPサーバーの意味、SMTPの意味など)
画像の添付など、相手方に受信の負担をかけないような配慮をしていくことをねらいとした。ファイルの大きさなど、後の画像処理の大きさで実際に変えていく練習を行った。
添付ファイルは原則として相手方が「添付した」とのメッセージが内限り開かないように学習した。特にメリッサなど、本人が意識しないのに添付されるメールがあることを生徒ともに実習した。

ホームページ作り
 なんといっても自分の画像と張り付けたページ作りは、制作意欲を駆り立てたようだ。
 タグでかかれた、htmlファイルを渡し、メモ帳で開く、画像転送装置を使い、一行の一行の意味と知らせ、同時進行で作っていった。
 生徒たちは自分たちの日頃の指導と同じなので、自分の言葉を使ってわかりやすく説明する場面が見られた。

「孫のようなこたちが、呼べば飛んできてくれる。そして丁寧に教えてくれる、本当に貴重な経験だった。」と参加者からメールをいただいている。

 
4 成果と課題
高齢者と話す機会は高校生にはあまりない。しかし今回はインターネットの指導ということでともに、コンピュータを媒体としてコミュニケーションを取ることができた。この中で、世代を越えた交流が実現したように感じる。
生徒たちが日頃何気なく学習している内容を今回は指導するという立場に立った。
自分の知識で喜んでもらえる体験をした。「学び」に対する意欲付けとなった。
生徒にとって自分が「教師」「指導者」の立場に立つことは初めてであった。立場を変えることによって、教師を見る目が変わってきたこともあるが、高齢者との会話に「よりわかりやすく、丁寧な」言葉を選ぶことを学習していった。
 相手にとっての理解をまず第一に置くという視点が育った。

研修会後の展開・問題点
 電子メールにより参加者と交流
 高齢者は時間があるようでメールの数が多く、返信が十分に行かない。
 またスキルもだんだんと高まってきており、質問内容が「画像の大きさを変えるにはどうしたらいいの?」「年賀状を作りたいけどソフトは?」など生徒では対応できないないようが増えている。
 ボランティアだから「助けてあたりまえ」という考えに困惑している。

ボランティアということ
 これまで本校はジンバブエに生徒が英語版OSをインストールしたパソコンを寄贈するなど、新聞でも取り上げられるほど、ネットワークの普及、交流に対してできることを実践してきた。
 中間発表会でも話題になったが、WIN and WINという精神がまだ日本には定着しておらず。便利だから、無料だからという発送が根強い。
 ある福祉団体から、100枚もの写真を持ち込まれ、ボランティアでこれをすべてスキャナでとって、パワーパイントの自動再生ファイルをCDでほしいとの要求があった。
 趣旨を理解し、生徒と友に作り上げたが、なぜがふに落ちないものがあった。

ワンポイントアドバイス
 
関連資料―――――――
インターネット研修生からの喜びのメール
Date: Tue, 25 Jul 2000 08:45:56 +0900
西陵のインターネット講習会の、おばさん生徒です。
夏休みなのに、私達の為にお手伝い、有り難うございます。このメール、まず届くかテストしたいのです。忙しいのに、ごめんなさいね!大岩加世子さんは、今夜の講習会のお手伝い、お休みと聞きましたので、あなたに受け取って欲しく出しました。
まだ超初心者、おばさんです。よろしくです。
―――――――
影戸 誠様
済みません。メールを送信しました所、私のメールが添付されて、英語ばっかりのメールが返信されて来ました。「kageto」という字や、エラーという字が見えますので、送ったメールが届かなかったと思われます。英語はサボっておりましたので、丸っきりダメです。 アドレスを「Cc」と言うのを写したのですが、違うのでしょうか?
先生のメールを返信にして、帰ってきたメールを下へコピー致します。
出来の悪い生徒で、済みません。
――――――――
先生じきじきにメール頂き恐縮しております。
>鰐部さんからメールの引用許可をいただいたことを知りました。
>ありがとうございました。
いえいえお恥ずかしい、教わった事一つ覚えで、やっとメールなど出来るようになった所です。何を書いたか、若い鰐部さんに相手になってもらって、嬉しい限りです。
○○さんもおばあさん相手に気の毒ですが、暇な時で良いからメールを下さいねと、おおちゃくを言っております。 何をおっしゃいますやら、一冊でも購入させていただきます。
西陵のHPを時々見せて頂きますが、先生はもう本を出版されているのですね。
「翼を持ったインターネット」学校・教室そして授業、いろんな事に取り組んで見えびっくりです。恐れ多い事です。難しい事は分かりませんが、時々訪問させてください。

>年賀状作りの講習を考えております。
>ぜひごさんかください。
はい、すぐ申し込みます。
西陵の講座はすごい人気で、競争率が激しい中、夏の「インターネット初級研修」に当たり、本当にラッキーでした。その節は皆様一生懸命教えて頂き、有り難うございました。
あれから楽しくて、がぜんやる気が出て来ました。では勝手な事ばかり書きましたが、失礼致します。

――――――受講者の声(研修後のアンケートより)――――――――
〜受講の動機〜
Eメールで情報交換したり、インターネットを利用する必要が生じた。
人のやっているのを見て、やりたくなった。 今後 一般生活でも、必要性が大きくなると思った。 自分の世界を広くしたい。 勉強がしたかった
パソコンを購入したから。 友人との交流の為
子供や孫と交流したい。 「一太郎」しか分からず、図形・表などがお手上げ
コンピュータに触れてみたかった。 チャレンジしたかった
夜の講座ということで、時間が取れた。 定年後の趣味の為
海外と交流したい。 音楽ソフトを使いたかった
画像の張り付けなど、予備知識をつけたい
新聞を読むのに苦労するので、ニュース確認をしたい
ホームページを作成したい。 レベルアップの為
〜ご意見・ご要望〜
全く知らない状態でしたが、見通しがついた。 このような開放講座を、どんどん開いてほしい。 学生達がいてくれたことは、大変良かった。 もう一歩、前進したい
写真は、外部へ持ち出さないでほしい 指示通り実行したつもりでも、間違ってしまうと一人ではお手上げ・・・ その時は、どうしたら良いのでしょう
講座内容を、初級・中級などに分けて開いてほしい。 年齢制限を外してほしい
ソフトの紹介等もあると、うれしい。 インターネットが、すごく身近に感じられた
再度講座を受けたい