富山県立大門高等学校

○インターネット利用状況

1. 1年生全員『情報科学』

 1学期・・・基本的なネットワークコンピュータの利用技術の習得

       ワープロ,表計算,メール,ネチケットなどを学習

 2学期・・・数学はBASICを中心に,理科は,物理・化学実験を行い,パソコンでレポートを作成し提出

 3学期・・・本を1冊読み,外部にリンクもつけた図書館蔵書データベース個人ページの作成

2. 2年生課題研究『総合数学』『情報化学』

 (1)数学班,化学班,環境班に分かれて課題研究の実施

 (2)課題研究項目

 <数学班>

  ●軌跡を求めて ●軌跡 ●水漏れシミュレーション ●いろいろな曲線 ●不等式の領域

  ●三平方の定理 ●残り物に福があるか ●同じ誕生日の人のいる確率 ●確率の試行

  ●統計(相関)

 <化学班>

  ●大気中の酸素の割合を調べる ●両性元素 ●7色の振動反応 ●ファラデーの法則

  ●燃焼熱の測定 ●セッケンを作ってみよう ●マッシュルームセンサー ●光について

  ●身近なものを利用して電池を作ろう

 <環境班>

  ●ダイオキシン ●酸性雨 ●洗剤について

3. 第1回高校生による国際環境サミット

 平成9年9月6日より16日の10日間,アメリカオレゴン州にて,世界6ヵ国の高校生約120名が一同に集まった。環境に関する権利と責任を提言し,その解決策とともに宣言文を作成した「国際環境サミット」が開かれた。2年後は,オーストラリアで開催される。本校からも20名の生徒が参加し英語で相当苦労した。しかし,帰国後もメール等で情報交換が続いている。

 また,この会議の報告を富山県内を中心に一般の方々にも広く広報活動を行った。

4. 電子メールおよびWWWを利用した遠隔授業(自主企画)

 数学の課題研究授業の班別で,大学の先生とインターネットのWebページとメールを利用した遠隔授業を行った。

5. 電子メールを利用した読書会

 例年の読書会をメールを利用し行った。事前にメーリングリストを作り,感想や意見を書き込み,それに対する意見を入れた。1カ月後,実際に顔を合わせた「読書会」を行った。例年なく活発な読書会となった。

6. 新聞データベース利用(重点企画参加)

 日本経済新聞社のデータベースを利用し,社会科の提示資料の一つに利用した。

7. 社会教育

 学校開放講座「インターネット講習会」を行った。講師は,大門高校職員が担当し,延20時間,一般社会人40名に対して実施した。

○平成9年度の成果と課題

 ・活用方法

   1年生は,全員が週2時間コンピュータに触れる時間がある。2・3年生は,情報コース選択者が週1時間程度授業で利用している。コンピュータは,授業以外も自由に利用することができ,実際に,始業前や放課後メール等を頻繁に利用している。最近では,70台のコンピュータでも足らない位である。

 ・教育効果

   本校では,発表力を重視した課題研究等を行っている。情報収集や研究のまとめ,プレゼンテーションでもコンピュータを利用している。このことにより表現力や発表力など座学では身につきにくい能力をつける一助となっている。また,海外とのメールのやり取りは,英語力育成とともに,何事に対しても積極的な気持ちが芽生えてくるようである。

 ・技術的課題

   特に大きな問題は生じていないが,教員が勉強する内容はだんだん増えていっている。

 ・リテラシー

   1年生1学期に,集中的にコンピュータ技術を習得させている。内容は,日本語入力・変換,表計算・グラフ,メール,インターネット検索方法,ネチケットである。特に,ネット上の道徳は大切であると感じている。しかし,メールのパスワードを忘れる生徒も多く,セキュリティーや自己管理を理解してもらうのは難しい。

 ・その他

   世界6ヵ国高校生が一同に集まった国際環境サミットは,たいへん大きな成果を残した。帰国してからも,各種県民大会,環境フォーラム等,一般の方々を前にして高校生が発表を行った。

○新100校プロジェクトに参加して

 ・普通科高校における情報教育

   コンピュータを技術として利用するのでなく,道具として文房具の様に利用させたい。そして,自己表現のひとつの方法としてコンピュータを利用していくことを目指している。技術指導は,1学期に集中的に行ってきた。2・3学期は,それを道具として利用していく授業となる。特に,本年は,学校図書館に注目し『図書館蔵書データベース』個人ページの作成を行った。作成にあたり,リンクを張るための外部へのメールは生徒に大きな反響があった。ここでは,自分で作ることの難しさ,自己表現の大切さを学んだ。2年生の課題研究では,習ったことを多いに利用し,自分で課題を設定し数学,理科の研究に努め,課題研究発表会でもしかっりしたプレゼンテーションができる生徒も現われた。

 ・国際環境サミット

   3年前,英語版ホームページが契機となり始まった「21世紀スクールハウス」プロジェクトのイベントである第1回国際環境サミットが開かれた。この会議は,世界の高校生が地球環境問題を議論できる場であり,継続していく意義は大きい。そして,単なる国際交流に終わらせるのでなく,日本人として自分の意見をしっかり主張できる生徒を育てていきたい。

 ・研究会

   12月に,「インターネット利用研究会」を本校で行った。県内高校をはじめ県外(和歌山県,高知県)からも参加され,活発な意見交換が行われた。富山大学の先生も2名参加していただき,私たちの情報教育への取組みに対する示唆もあった。

 ・その他

   メールでの学校外の人達とのやり取りは,新しい息吹を学校に送り込んでくれる。生徒ではなく,先生がその新しい流れを早く感じ取ることがこれからは重要になってくると思う。