同志社国際中・高等学校

Index:

●プロジェクト

1. 経済のプロジェクト中学3年生

2. 保健のプロジェクト:高校1年生、高校3年生

3. Me and Media Project:高校2年生

4. 長崎プロジェクト: 中学2年生

5. 沖縄のプロジェクト:高校2年生

6. 理科のプロジェクト: 中学3年生、高校3年生(2クラス)

7. Seminar English Projects:中学2年生、高校1年生、高校3年

問題点

成果とこれからの課題

100校プロジェクトに関して

1) 経済のプロジェクト: 中学3年生

  このプロジェクトは、生徒が教科書の内容を真に理解するためには、教科書以外の何らかの活動が必要だと担当の教員が考え、始まったものである。目的は単に与えられた意味を覚えるのではなく、経済用語をより深く理解してほしいというものであった。まず、生徒に基本的な経済理解の絵本を読ませた。それから冬休み中の課題として、自分で経済概念について考え、読者にとって理解しやすい絵本を作るという宿題を出した。この様な絵本を作成する事によって生徒自身の理解が深まることがここでの狙いであった。他人を教える事によって私たち自身の理解が深まるのである。

  絵本が完成した後、次のステップは絵をスキャナーで取り込み、文章を入力する事であった。それからは海外の方にも見てもらい、フィードバックをもらえるように生徒は協力し合い、英語に訳した。このプロジェクトについては“Easy Economics!” をクリックして下さい。

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2) 保健プロジェクト:

  高校1年生は“日常の安全性”というトピックについてグループ別に作業をした。インターネットを主に使い、シートベルト、アイロン、扇風機、ブレーキ、洗濯機などの安全装置を調べた。調べた後、新しい安全装置を発明しようとするディスカッションが行われた。あるグループは電源が入っている時は赤くなり、入っていない時は青くなるアイロンを発明した。違うグループは金属製の物が入れられたらアラームが鳴る電子レンジを発明した。新しい安全装置を探したり発明したりする過程で、グループと先生は電子メールを交換し、先生は生徒のアイディア表現などの提案や添削をそこで行った。

  高校3年生は1学期中に保健関連トピックについて研究をした。各クラスをグループに分け、レポートや研究がなされた。トピックの例には進化する人間、薬、ストーカー、盲導犬、血液型、ニキビ、自殺、ツボ、マスタベーション、多重人格、正夢、仮想現実、スポーツのイメージトレーニングなどがある。いくつかのレポートは英語で書かれ、2学期の英語の授業で研究が継続された。

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3) Me and Media Project: 高校2年生

  CECの助成金によってサポートされているプロジェクトに今年度は200人以上の生徒が参加した。このプロジェクトの目的は電子メール、bbs(電子掲示板)、とホームページ作成など様々な技術を使い、話し合うことによって“メディア”について幅広く考えるようになろうというものである。スロバキア、スロベニア、ノルウェー、オランダ、ドイツとエストニアの生徒達と共にこのプロジェクトを進めてきた。今年は日本国内の学校が4校加わったという事も特筆に価する。

m&m ’97- ’98 homepages ....... bbs

m&m ’97- ’98

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4) 長崎プロジェクト: 中学2年生

  中学2年生の社会科の授業で、平和学習の一環として長崎への研修旅行があるが、本プロジェクトはその事前学習として行われた。目的は教科書や講義で得る知識よりも深い理解を得ることにあった。最終的には250ページにも及ぶ詳細な本を作り上げた。インターネットを使用したという点では去年と良く似ているが、今年は新しいセンターでのインターネットアクセスが速かったことと、常にグループワークをするのにコンピューターを利用できたことがプラス点として挙げられる。将来的にはグループワークを全てホームページに掲載つもりである。

長崎ホームページ

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5) 沖縄プロジェクト: 高校2年生

  このプロジェクトは去年から引き続き行われた。ここでの目的もまた教科書と講義の範囲を超えた学習をし、知識と密接に関わろうというものであった。それらの知識は電子メール、ホームページやデータベースの検索の多用、小グループ学習、個人ポートフォリオの作成と実際の沖縄への研修旅行によって得られるものである。去年と異なる点は、限られたスケジュールの中で予想ほど電子メール交換が遂行されなかったことである。しかしOkinawa Bulletin Boardを作成し、その電子掲示板は生徒によってよく使われ、海外からもアクセスがあった。この電子掲示板を通して、自分の父親のサイパンと沖縄での第2次世界大戦経験について個人的に調べていたアメリカ ウィスコンシン州グリーンベイの高校教師の手助けをする事ができた。

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6) 理科のプロジェクト:

- 中学3年生:

  生徒には、社会生活の中で理科に関係のある問題点を考えるように宿題が出された。1週間の授業時間と自由時間をセンターで選んだテーマについて調べ学習をした。テーマの例としてストレス、喫煙、破壊されているオゾン層からの紫外線などが挙げられる。調べた後、レポート作成にあたった。

- 文系高校3年生の理科:

  生徒は環境に関するテーマを選び、インターネットなどを使い資料を集め、意見をまとめた。レポートについては、20分程のプレゼンテーションがあり、その後に20分程のディスカッションがあった。テーマの例としてペットボトルの問題、ゴミ問題、有機農法があった。ディスカッションではペットボトルを500円などの高価にし、コンビニなどでリフィルする。リフィル価格のほうが圧倒的に安いので、 市場の原理で容器ごとは買わなくなるといったものがあった。 単に資料を集めて紹介するというレポートではなく、そこからわれわれの日常を見直し、世の中の流れをつかみ、評価しようということが目的であった。さらに「本当の豊かさは何か」をこのテーマ から感じ取る事も目的とした。

- 理系高校3年生の理科:

  新聞に掲載された、世界のさまざまな環境データを提示し、土の様な点に関心を持ったか、自分の今までにもっていた印象とどのような点で食い違っていたかを発表、まとめた。 次にどのような資料やデータがあれば、より理解しやすいかを考え、それをインターネットや書籍により見つけ出した。最後にその資料を、クラス全体で評価しあい、その内容を書き留めた。 授業時間内だけではなく、放課後などにもコミュニケーションセンターでリサーチが行われた。「生徒それぞれによって視点が違い、自分の思いもよらない見方があることを知らせる」ことや、「インターネット上の情報は、その信頼性にはさまざまなものがあり、それを感じ取る知力が必要である事に気づかせる。」ということも目的としている。

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7) Seminar English Projects:

  中学2年生―このプロジェクトの目的は、第一に様々なものを成し遂げるチャンスとして、主に生徒が興味のある活動を通して英語の読解力、リスニングと会話の能力を上達させる機会を生徒に与えることにあった。第二には、生徒がwwwの使い方と、特定のサイトや情報の検索方法に慣れること。そして第3の目的は生徒の発表能力の上達であった。パワーポイントというプレゼンテーションソフトを紹介し、それを用いて“大好きなホームページ”と題した発表を準備し、コンピューターからスクリーンへ直接映し出す機能を持ったマルチメディアワゴン(MMW)を使い、発表を行った。生徒はwwwのサーチエンジンで情報収集し、準備をした。インターネットで見つけた情報源は発表の1部となり、これらの情報源を引用する練習にもなった。

  高校1年生― 本校のBBS(電子掲示板)がディスカッションを容易にするために使用された。生徒は愛、孤独、仲間などといった個人的なテーマについて話しやすくなり、お互いにアドバイスを書き込んだり、励まし会ったりした。電子掲示板は“Empathy(共感)Line”とよばれ、生徒はお互いどの様な存在なのか、お互いの意図を誤解することによって関係がどう変化するか、など考える事ができた。生徒はこのプロジェクトに参加したことによって仲間に敏感になり、言葉の使われ方が力強くなり、交流によい影響と悪影響の両方を与えたと答えている。

  高校3年生― 1学期には生徒は趣味別にグループに分かれ、2人から8人のためのメーリングリストが作られた。これらのメーリングリストで教育の様々な面が討論された。2学期は自分で選んだテーマのプロジェクトに取り掛かった。多くの生徒はダンブレーン(スコットランド)事件(何人かの学生が撃ち殺された事件)、十代の犯罪、マザーテレサの人生と業績、麻薬の不法使用、と地雷といったテーマをリサーチするのにインターネットを使用した。生徒は皆自分達の研究をおもしろく、聞く者が交流を持てるような方法で発表をしなければならなかった。何人かはホームページを作成し、下記のリンクから見る事ができる。

大好きな映画のホームページ and ......... 映画討論BBS

アメリカの大学を受けるためのホームページ

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問題点

  1学期中は回線速度が遅かったため(64Kbps)、生徒は定期的にwwwをアクセスできなかった。2学期の初めに新しいセンターに移り、同志社大学の1.5MGBのラインを通してインターネットにアクセスし始めた。これを機に教員側は生徒達が十分インターネットを使ったリサーチができるという自信を持ち、インターネットを使用した授業を計画する事ができた。私たちが直面した一番の問題は人手の限界であった。教員は授業の事だけではなく、委員会やクラブなどで多忙であることは衆知のことである。本校は新しいメディアを使った教育に取り組むため、新しい“サイブラリアン”と“ネットワークスペシャリスト”に来てもらった。彼ら無しでは教員や生徒を十分に助ける事はできなかったと思う。

  技術は人々に時間的余裕を与えると言う人もいる。それは信じるべきではない!ネットワークを創造的、積極的に使用するプロジェクトを作り上げた先生方は皆生徒を助けたり、作品を読み上げるのに膨大な時間をかけている。すべての先生がこの様に時間を割くことができたわけではない。

  プリンターを公平かつ経済的に使用する方法を生み出すのにスタッフと生徒は頭を悩ませている。道徳教育は社会のあらゆる面において重要であるようにネチケット教育はネットワークとコンピューターを使うに当たって重要である。これからも多くの問題に直面するであろうが本校の教員、スタッフや生徒が学べる大切な機会だと思っている。

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成果とこれからの課題:

  同志社国際中学高等学校は生徒に新しい世紀のヒューマニスティックでグローバルな社会に貢献できるような学びのアプローチを心がけている。これらのプロジェクトはその挑戦的なゴールに向かっての小さいステップではあるが、ポジティブなステップだとる。

  学習者の共同体を作るのも目的の一つである。それは、人々が集まり、言語、文学、科学、文化について探検し、新たな意味を作り出せる協力的な共同体である。ここでのステップも小さいものであるが、ステップ(前進)には変わりなく、これからも続けていきたいと思っている。

  私たちは、日常的な個人交流においても遠距離交流においても、平和な調和のとれた生活の鍵はコミュニケーションにあるということを知っている。私たちは物理的かつ精神的な学習の場でこれを強調しているがこれもまた時間と作業がかかるのである。

新しい学習文化の作成

  私たちはゆっくりと新しい学習文化を作り上げようとしている。それはコンピューターが他の道具と同じように使いこなされている学習共同体である。この過程を始めるにあたって、各専任教師にはノート型パソコンが与えられ、彼らの机にはインターネットの接続部がある。様々なハードウェアとソフトウェアに慣れてもらうためにワークショップを5つ設けた。しかし、どの文化でもそうであるように、学習は非公式に行われるものである。教師は皆隣同士に座り、話し合う事によって本当に学んでいる。多くの教師は電子メール、リサーチ、メーリングリストを使いコンピューターを気軽に利用している。授業、ホームルーム、教師とクラスがメーリングリストでコミュニケーションをとっているところもある。電子掲示板を定期的にチェックするのはまだまだではあるが、ここでもディスカッションがなされている。

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100校プロジェクトに関して

 -100校プロジェクトとCECには本校がこの3年間テクノロジーを探求するための大きなサポートをいただいた。ゆっくりながらも確実に学びの作業と遊びへの取り組み方が変わってきた。私たちは“intimate knowledge”という言葉を使ってこのことを考えている。それは単なる脳の運動ではなく、私たちの人生に直接つながるものであり、私たちを感動させ、何らかの行動や交流に走らせる情報である。私たちは成長していく上でデザインされた学習状況から新しい情報を作り出し、それを知識、できれば知恵にまでに変えようとしている。

 -この3年間を通して多くのポジティブな事が起こった。時には観察したもの、学んだものについての教師や生徒による誉め言葉だったりする。沖縄平和学習を手がけてきた中心の教員が去年の沖縄研修旅行では生徒の興味と動機が過去16年間の歴史のなかで最も熱心であったとコメントしている。私たちはインターネットを使って多くの人々と連絡が取れた事、経験やアイディアを分かち合えたことがこれに影響していると考えたい。

 -また、私たちのコミュニティーの教師と生徒が“何かを知るというのはどのような意味を持っているのか”、“どのように知識が創造されているか”、メディアの意味と影響、お互いへの責任感などについて新しいアイディアを発達させていると信じたい。 私たちの努力に対する100校プロジェクトとCECのサポートに感謝し、今後もこの様な関係が続く事を願っている。

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