福井大学教育学部附属養護学校

○インターネット利用状況

 ・小高等部の児童・生徒を対象にクラブ(土曜日、1時間)、高等部の生徒数名を対象にクラブ(放課後、週2〜3回、1回1時間程度)実施。

 ・小中学部の児童・生徒にタッチパネルを利用したWeb閲覧活動の改善を実験的に実施。

<主な活動>

 ・チャレンジキッズ(滋賀大学教育学部附属養護学校を中心とする特殊教育諸学校・学級の全国的な会員制のネットワーク)へインターネット経由で参加し、他の26校と共に共同実践、研究を行った。

 ・インターネットボランティア(地元の福井大学教育学部学生とのオフラインを含めた交流と情報提供への試み

 ・タッチパネルを利用したWeb閲覧活動の改善への試み

 ・校内研修 学習会として2回(インターネットについて、ホームページ作成)

       教員対象に自由参加で実施

       1日研修の中で 全教員対象 (本校のホームページについて)

○平成9年度の成果と課題

<成果>

  決して本校だけではないが、養護に在籍する子どもたちの障害やその程度は様々である。

  その意味で、インターネット利用への試みは始まったばかりだと考えている。

  また本校は、本校独自の教育活動を行っている。よってインターネット利用が進んでいない面は否定できないし、100校プロジェクト対象校以外の養護学校の方の中で本校以上に利用成果を上げられている学校もある。つまり、本校の利用状況や成果だけを見て養護学校一般でのインターネット利用について考えて頂きたくないという思いがある。

  実際、特殊教育諸学校の中では一番児童・生徒数が多く、学校数が多く、そしてホームページを持つ学校も多いようである。養護学校のインターネット利用について関心を持たれる方は他の学校の状況をも是非、探って頂きたい。

  また本校の場合、100校開始時点からの問題と考えているが、他の校種と異なり、同じような学校がなく実質1校ですべてを始めている。相手校もしくはグループを100校の枠組みの中で組める校種の学校と同じ土俵でその利用状況や成果が評価されるとしたら残念である。逆に言えば、異なる校種でのネットワーク利用を考える必要があるだろう。

  ところで今年はネットワークが導入されて3年目である。1年目からネットワークに触れてきた生徒は、その機会さえあれば、自分からネットワークを楽しんだり、またパソコンでお絵かきを楽しむのではないかと思われるぐらい、生活の一部となっているようにさえ思う。今後の生活においても機会を得て生活の質を高めることを期待したい。

  今年度はタッチパネルを借用することができ、そのおかげでアクセシビリティの改善を部分的に図れたのではないかと考えている。

  またインターネットボランティアの学生が作成してくれたWebを子どもたちは楽しんで見ている。そして協力してくれた学生さんにとっても活動の中で本校の子どもたちやインターネットについてを知ったりして学生さん自身の勉強になったのではないかと思う。

  チャレンジキッズには参加することで、子どもたちの世界はさらに広がったことは疑いないと思う。個人情報が保護される環境の中で自由に表現する機会を得て、他の先生などからの賞賛のメールなどによって自信を持ったり、考えを広げることにより表現する力を伸ばしたり、チャレンジキッズについての理解が深まるにつれて、時にはチャレンジキッズに提案するケースも見られた。また単にネットワークに留まらずに、例えばチャレンジキッズから生まれたお誕生カードを実際の全校集会でのお誕生カードとして作成し、利用するというように学校生活にも生かすことできるケースが見られた。

<今後の課題>

  インターネットボランティアによる情報提供の中で画像等の送付はネットワークに負荷与えるという点を考慮し、Webによる情報提供という方法を取ったが、時間がかかり、更新もそう行われないという点で子どもたちが楽しみにして待つという姿が残念ながら見られなかったし、期待するのも難しい面がある。

  その反面、比較的簡単に、その内容や量にもよるが全体もしくは、すべてを見てイメージを持つことができる面がある。今後、良い面を生かせるようにしながら簡単に情報提供をして頂けるような何らかの工夫を考えていきたい。

  また音声、動画のページが現時点では作成されていないが、興味・関心を持つことは確実なので、容量の問題を考えながら作成して頂けるように配慮していきたい。

  また、本校への情報提供システムの構築の点で、ネットワークに接続している社会資源との連携を図り、活用させていく方向で努力していきたい。

  その際には、地域との結びつきを特に重視し、各方面に働きかけていきたい。

  また、昨年度以来、「NetMeeting」やチャットなどを試みているが、リアルタイムで子どもたちの興味・関心を持たせるものがあり意欲的に取り組んでいる。またその効果も期待できる面があるので、子どもたちの実態に応じて、回線を含めたハード面を整備する必要があるのかもしれないが、簡単なテレビ会議を是非試みてみたい。

  ところで、本年までは子どもたちに課題として活動を与えていくというのではなく、子どもたちの興味・関心を重視した活動となった。ただ、例えば本校の数人の卒業生が携帯電話を利用している状況やもし今後、生活にパソコン、インターネットがより浸透していくならば単なる興味・関心だけでなく、例えば生活情報を得るための手段、また身近な人とのメール交換など生活に役立つ道具としての側面からの指導を重視していく必要があると同時に個人情報の保護など基礎的な知識や適度にネットサーフィンを楽しむというようなことを卒業後も何らかの形で指導し、身につけさせることが必要になるのではないかと考えている。

  またノートパソコンが主流ということがあるものの、地域の方、教員を対象に開放講座を試行し、ヒューマンなネットワークが形成できないかどうかを試していきたい。

○新100校プロジェクトに参加して

<研究発表>

 平成9年度 福井県特殊教育センター研究発表会 (平成10年2月13日)

  「養護学校でのインターネット利用への試み−(新)100校プロジェクト、チャレンジキッズに参加して−」

 平成9年度 新100校プロジェクト成果発表会 (平成10年3月4日 東京)

  「養護学校におけるインターネット利用への試み−身近でわかりやすい使えるネットワークへ−」(予定)

  ・平成8・9年度機器利用研究指定校報告書の一部に本校での実践を掲載(予定)

    「特殊教育諸学校におけるコンピュータ利用−インターネットを活用した教育実践研究−」
     滋賀大学教育学部附属養護学校情報教育部

<トピックス 教員>

  本校は、子どもたちが学校にいる間は、子どもたちと共に活動しており、基本的には教員の空き時間はない。そんな事情もあってか、例えば、長野オリンピックの際には、パソコンの前に群がり、日本の活躍をWebで確認する姿が見られた。特にプッシュ技術を用いたページが閲覧できるようになってからは、ネットワークを利用する教員が増えてきている。

<トピックス 子どもたち>

  パソコンクラブの子どもたちは、パソコン、インターネットは楽しいこと、やりたいこととして定着したようである。それは、夏休みに作業合宿で宿泊した生徒がふともらした「先生、今日パソコンやりたかった。」という言葉や学生さんとのリアルタイムでの「お絵かきしりとり」などの後、「今日は学生さんとやらないの?」という言葉に代表されるだろう。またYahooを用いて自分の関心のあるWebを丹念に見て回り、その内容やアドレスをメモしたりするなどして、時間が過ぎても食いつく様にWebを見ている姿やチャレンジキッズには自分からはめったにメールを出さないものの、他の友だちや先生からのメールを熱心に読む姿が印象に残った。