大分県立日田林工高等学校

○インターネット利用状況

  平成9年度の新100校プロジェクトの取り組みとして重点企画(2企画)、自主企画(4企画)を中心に展開してきた。

(1)重点企画

 ・実践項目1:地域展開(グループ交流型地域展開)

   100校プロジェクトの一環として地域のインターネットユーザーの集まりである「日田インターネットの会」、大分県教育関係ネットワークの設立支援および日田地区小中学校情報教育連絡会等の支援を行ってきた。教育関係はもちろんのこと一般市民を巻き込んだ本地域のインターネットの普及と高度利用、インフラ整備等の活動をおこない地域の核としての役割を果たしてきた。

 ・実践項目2:酸性雨調査プロジェクト

   広島大学付属福山中高等学校を中心とする酸性雨プロジェクトに積極的に取り組んできた。特に本校には林業関係の学科(林業、林産工学科)が設置されていることから興味関心も高く、酸性雨調査以外にも「日田スギを酸性雨から守ろう」という観点から日田スギの耐酸性も併せて研究することにした。

(2)自主企画

 ・実践項目3:平衡含水率プロジェクト

   平成8年度から実施されている本校提案による企画である。木材の含水率は、置かれている環境(温度、湿度)で変化する。1%の含水率の増減があったら木材の性質は著しく変化する。これは木材を利用するうえで重要な因子である。現在、木材の平衡含水率を測定した例はなく貴重なデータが得られるものと思われる。この企画は中学校の技術家庭科の単元にも関係しており、平成8年度からの14校の参加協力を頂き進められてきた。

 ・実践項目4:「小さな質問箱」

   本校のホームページに「小さな質問箱」を設定して外部からの色々な素朴な質問に対して対応することにした。また、地域における職業系高校の役割および学校の開放が叫ばれている中、この「ちいさな質問箱」開放することにした。

   質問の内容により各学科ごとに振り分けられたメールは、各学科へと配信される。各学科の教員ないしは、担当教師が授業の一環として生徒と共に取り組む体制にした。質問の回答については基本的には電子メールで配信するが、場合によってはホームページを作成して画像等も発信したり、Cu-SeeMeで行う体制を整え、「個人と個人」「個人と学校」「学校と学校」のつながりが深まるようにすることにした。今年度についてはプロジェクトに関する取り組みが若干遅れたことと、「ちいさな質問箱」に関する広報が少なかったこともあり、質問数は少なかったものの、この取り組みに対する体制は確立したのではないかと思われる。

 ・実践項目5:課題研究共同研究

   「課題研究」については科目の設置以来、生徒の興味関心も高く、年々充実したものになり実績を上げている。この「課題研究」を複数の学校で同一のテーマを設定し、その目標達成のためにネットワーク環境を用い、現在行っている学校の枠を越えた、より質の高い研究を行うことを目的とする。各学科ごとに研究テーマ、研究概要、担当者を載せたホームぺージを設置した。aimitenoなどに広報し共同研究参加者を呼びかけた。また、インターネットを最大限利用して、情報収集やデータの確認を行うことにした。また、地域にも課題研究共同研究を呼びかけた。これは地場産業や地域とのつながりを考えるうえで重要な接点であると思われる。今年度については「課題研究共同研究」に関の共同研究までは至らなかった。しかしながら、各学科ともネットワーク環境を使い情報検索、情報の収集、地域からの意見等を取り入れた課題研究のまとめがなされた。学校間の共同研究は実現できなかったものの課題研究でのネットワークの活用場面が見いだされたことが成果としてあげられる。また、共同研究とまでいかなくてもネットワークを用いた情報交換としても充分価値があると思われる。これから教科としての「課題研究」は教科としても高く評価され、生徒の興味関心も高いことから来年度以降も積極的に進めていきたいと思っている。

 ・実践項目6:進路指導へのインターネット利用

   現在、進路指導において生徒が企業、進学先を選択する材料としては、求人票、求人情報誌、リクルート等が発行する学校案内、また、教員からの情報によって進路を決定しているのが現状である。したがって、生徒自らが積極的に情報を入手しようとしても限界があり、企業および進学情報について限られた材料より判断し進路を決定している状況であった。近年、企業、大学、専門学校等は積極的にホームページを立ち上げているところが多く、そのコンテンツについても企業紹介や求人情報、学校案内、入学案内等非常に充実されたものが多く、進路決定の材料となる貴重な情報であると思われる。これらの情報をサーチエンジン等で検索し情報を入手することによって進路決定の材料、また、受験対策の資料収集としてインターネットの利用は効果的であると思われる。また、高校生においては、進路先への接点は教師を通じて行っていたが、電子メール、掲示板の利用によって生徒から積極的にコンタクトをとることができるようになった。

   進路先が決定した後には、受験の対策としての情報を入手させることにした。特に企業就職においては面接が重視されることが多いことからホームページにより会社の特徴等を細かく分析させることにした。これにより、面接の幅が広くなったと思われる。

   そこで、電子メールを用いて積極的に生徒側から自分自身をアピールすると共に、質問等を送ることにした。就職内定後についても、さらに内定企業の情報を入手させることにした。これについては、詳しい業務内容、景気の状態、新しい取り組み、新製品情報等就職後、すぐに役立つ最新の情報を入手させることにした。これにより、企業へ対する理解と企業就職への意欲が生まれると思われる。

○平成9年度の成果と課題

 (1)成果

   @生徒の情報収集能力が高まった

   A情報を収集し、それを有効的に活用し課題を解決していこうとする能力が育成されてきた。

   B他校(小中高の枠を越えた)や教科の枠を越えた交流により幅の広がりのある授業の展開が可能となった。

   C学校内のあらゆる情報を発信することができた。

   D重点企画(地域展開)を実施する中で地域へのインターネットの普及、技術支援等で貢献できたこと。

   E校内のインターネット網が広がったこと。

 (2)課題

   @来年度以降の接続先をどのようにしたらよいか。

   A校内のインターネット網の整備

   B授業におけるインターネット活用の定着化

○新100校プロジェクトに参加して

  今年度については、重点企画2企画、自主企画4企画を展開してきた。校内においてもインターネット網の整備や授業による利用、100校プロジェクト企画委員会の組織も確立されてきた。学校外の活動においても重点企画(地域展開)の一環として大分県教育ネットワーク、「日田インターネットの会」をはじめとする団体や一般市民向け研修会の開催や技術支援等をおこない当地域のインターネットの拠点となってきた。