横浜市立本町小学校

○インターネット利用状況

  今年度は,昨年度までの100校プロジェクトでの研究成果と課題を踏まえ,以下のような方向性からインターネット利用を推進した。

(1) 地域のヒューマンネットワークの拠点をめざしたインターネット

  昨年度報告では,「公立小学校は,地域のヒューマン・ネットワークの拠点なのだから。」という言葉で活動をまとめている。情報は不特定多数に向けて発信するのではなく,特定された対象に向けて発信するときに効果があると考えた。今年度もこの成果を更に継承・発展させるべく活動を行った。

   ・インターネット版「学校たより」の継続公開

    昨年度より行っている「学校たよりのインターネット公開」を継続している。

 

   ・インターネット版「学年たより」を2学年公開

    1学期より第2学年,2学期より第4学年が「学年たより」のインターネット公開を開始した。保護者に向けて発信するとともに,自分たちの成長の足跡を記録していくことができるため,来年度には全学年公開を予定している。

   ・地域体験学習・学校行事ページの子供たちによる作成  

    学校行事や体験学習に合わせて,特設インターネットクラブや当該学年の活動を確保し,子供たちの手によるホームページ作りを進めた。

   ・学区マップ子供版の充実

    学区にあるサイトにリンクしたり史跡を紹介したりした「学区マップ」に,第3学年が作成した情報ページを追加した。

(2) 他地域とのヒューマンネットワークの形成をめざしたインターネット

  自分たちの地域の様子を知るには,他地域の様子を知ることも大切になってくる。そこで,新100校プロジェクト重点企画・自主企画に参加したり,他プロジェクトに参加したりして,他地域とのヒューマンネットワークの形成もめざした。

   ・重点企画「全国発芽マップ」

    平成9年度全国発芽マップに参加し,「ケナフ」を育てることを提案し採用された。このケナフに関しては,最終的に紙つくりまで行った。また,前年度までの発芽マップ対象植物栽培も継続し,「カボチャ・ヘチマ」「綿」の栽培も行った。どちらも大量に収穫し記念品を作成した。

   ・自主企画「青い目の人形プロジェクト」

    対外的には,全国の青い目の人形ページのリンク網を作成したり,保存校同士でのテレビ会議を行ったりした。校内では,青い目の人形集会を3月3日に位置づけ,社会科や道徳の教材として定着させた。

   ・姉妹校6校プロジェクト

    年間を通した交流相手として,本校と対照的な地域にある学校やコンピュータ環境が似ている学校など新100校対象校以外で5校と交流を行った。

   ・テレビ会議システム交流

    昨年度までに実践できなかった課題として「リアルタイム交流」があった。そこで,今年度新たにテレビ会議システムを導入し,同じシステムを持つ学校と共同授業も含めて交流した。

   ・CD−ROM版ホームページの配布

    本校ホームページは,イントラネットでの活用を意識したページが多く,ダイヤルアップ接続では閲覧することが難しくなっていた。そこで,ホームページ内容をCD−ROM化し,研究発表会当日に資料として配付した。

(3) 発達段階に応じたインターネットの授業活用

  授業の中で継続的にインターネット活用を図ることを考えると,実践例を増やすこととともに,発達段階に応じた体系化を図らなければならない。まだ,結論の出せる段階ではないが,来年度以降の研究のたたき台とするべくコンピュータ/インターネット活用を系統化した図を作成した。

  更に,この仮説図に基づいた授業を全学年で実践し,その一部を研究発表会において授業公開するとともに,ホームページ上にも各学年実践報告を掲載した。

  <各学年のテーマ>

   ・第1学年「コンピュータとなかよし」

   ・第2学年「インターネットでふれあおう」

   ・第3学年「ホームページをつくろう」

   ・第4学年「マルチメディアで交流しよう」

   ・第5学年「検索機能を使ってコンピュータを活用しよう」

   ・第6学年「自分の目的に応じてコンピュータを活用しよう」

(4) イントラネットでメール・リテラシーの育成

  全校に分散配置された校内ネットワークの中で簡単にメール交換ができるシステムを数年来求めていた。インターネットという広い世界へ出る前に,メールのモラルなどメールリテラシーを育成したいからだ。今年度,本来はオフィス用ではあるが,この環境を構築し得るソフト(グループウェア)を導入した。子供たちは友達の名前を入力するだけでメール送信ができることになった。まだ,実験段階ということで6年生だけの使用に止めたが,毎日かなりの数のメール交換が行われ,自然にメールリテラシーが育っている。

○平成9年度の成果と課題

  平成9年度は,前年度までに研究してきたインターネット活用の成果と課題を検討する期間として位置づけた。その中で見えてきた方向性が具体的な授業実践や成果物として表れてきたことは,大きな成果と言える。本校の今後,そしてこれからインターネット接続される小学校でのインターネット活用においても参考となるだろう。しかし,結論はまだ出ていない。この成果が,そのまま今後の研究課題として継続されていることになる。

○新100校プロジェクトに参加して

  1年間,学校全体でインターネットを堪能することができた。しかし,本校が取り組んだ研究は,1年間で完結するものではない。プロジェクトは終わっても,そこで得た「ヒューマン・ネットワーク」は継続する。今後もよろしく・・・。