兵庫県立兵庫工業高等学校

○ネットワークの利用状況

 ・社会教育としての活用

  地域の社会教育を担う立場で行われている本校のコミュニティカレッジにおいて、昨年に引き続き、パソコン講座を開講。

  講座の科目内容にインターネット体験を用意することにより、多くの人にネットの持つ多彩な面を理解してもらうことができた。

 ・啓蒙活動

  初任者研修や文部省の情報教育指導者(数学)講習会などの研修の際にも、インターネットを利用できるように、施設を解放することで、ネットの持つ可能性や活用についての理解を得る機会を提供した。

 ・新しい試み

  インターネットの持つ広域性と学校内情報ネットワークの共存を考え、一般電話回線からのアクセスと同時に、インターネットからもアクセス可能なBBSシステムの構築とその利用形態の研究を開始し、ほぼ定着する方向を掴んだ。

今回構築したBBS(FirstClassBBS:県工BBS)の接続直後のアクセス画面。

200種類余りの項目別の部屋を持つ

この画面は、修学旅行の様子をアクセスしている場面である。

○ネットワーク利用状況

 ・授業での利用

  1年生 情報技術基礎 

インターネット体験を通じ、ネットワークの意味、インターネットの意味、コンピュータが繋がることによる利用を考えさせる。

  2年生 実習

コンピュータ実習の一部の時間を割き、メールソフトを主に実際の操作を教えると共に、インターネットを通じたデータの流れを説明。

特に、モラルの重要性に重点をおいた内容。

  3年生 課題研究

昨年は少数だったが、今年は多くの科でホームページなどに挑戦する生徒の姿が見られた。

また新しいドライバの入手や情報集めにFTPやニュースグループを利用する生徒が多くなっており、これを応用してデーター収集を元にした情報検索なども実践されている。

 ・その他

   2月10日からの本校修学旅行情報は、本年はインターネット経由でBBSに送りこむことで、まだインターネットに加入していない生徒の家庭からも、電話回線でアクセス可能とした。10名以上の家庭からアクセスがあった。

   このことがきっかけとなり、インターネットに加入する者も多くなった。

○平成9年度の成果と課題

 ・ネットワーク利用に関する成果と課題

   工業高校での、課題研究、実習、またクラブ活動などにおいて様々な情報が必要であるが、生徒自身が自己の問題解決のために自然な利用を行うようになっており、ニュースグループやメーリングリストへの加入がよく見られるようになった。

   修学旅行の様子を、昨年に引き続き現地から学校へ送ることを検討したが、未だ父兄の間にインターネットが普及していないことを考え、今回は現地から日毎の情報を本校のBBSサーバーにインターネット経由で送り込むことにした。

   通信できる環境にさえあれば、父兄も旅行の様子を知ることができる。

   インターネット可能な家庭はインターネットから、他の家庭はモデムのみでアクセスし、同一の内容が得ることが可能となった。

   一方、学校の紹介をホームページで発信することによって、企業や卒業生などからのコンタクトも引き続きあったが、プライバシー保護の問題から、ホームページに記載する内容の検討に時間を要し、タイムリーな更新ができなかった。

   逆に、BBSの利用者は増え、千葉県の高校生や校外のものも含め50人くらいがアクティブに(インターネット経由、一般回線経由ともに)日々情報交換をするようになったが、これをきっかけにしてインターネットに加入する者が増えた。

   課題としては、校内の基幹幹線がIPXで流れており、これを機器更新まで変更できないため、大きく利用をすすめることが出来なかったことである。

   ほぼ次期システムはTCP/IPにまとまり、機器更新によりインターネットの利用が一気に進むであろうが、Linuxによるサーバー構築をはじめ、各種サーバーの設置と保守およびセキュリティの研究は、始めているがまだ結論を得ていない。

○プロジェクトに参加して

  1年限りという条件のもと、代表者も交替してプロジェクトに参加させていただいた1年でしたが、機器更新まで1年という事情もあり、インターネット利用に大きな変化は起きなかった。

  できる限りの生徒への啓蒙とメーリングリストなどの活用など、専用線導入を考慮したサーバの構築・保守の研究などに多くの時間を使い、情報発信にはBBSの利用を進めるという、他校とは異なるアプローチを試みることも出来た。

  2年生を中心に、BBSをきっかけとして、インターネット活用も進み、共存の目処もついた。

  機器更新まで、回線費用等の問題からインターネット接続は一時停止せざるをえないが、半年後、新しいシステムとともに、また、仲間入りさせていただく予定である。

  最後に、多くの試みをするいい機会を与えていただいたCEC、IPAはじめとする各機関に感謝するとともに、このプロジェクトからLOGOFFする。

兵庫工業高等学校 吉田昭二