岐阜県立海津北高等学校
○今年度の取り組み目標:
すべての教科において「情報機器:特にインターネット」を活用した授業展開を研究・実践していく。
○ねらい:
生徒に情報活用能力を身につけさせ、情報機器を一つの道具・情報活用の手段として認識させる点に重点を置き、インターネットの仕組みも大切であるが、どのように「情報」と携わるのか、どのように活用していくべきかを各教科において研究・実践し、生徒の考察力や表現能力等を育成していく。
○本校の校内LAN環境
情報処理棟から専用線(音声帯域3.4kMH)を通じて情報の受発信を行っている。校内環境は情報処理棟(1F・2F)から本館(普通3教室・校長室・職員室・進路指導室・視聴覚教室)・家庭科棟へ接続している。普通教室では、8ポートハブ等を用いてノート型パソコンを接続・活用している。
○インターネット利用状況
(1)校内研修
今年度においても職員の情報機器への対応ができるよう職員室及び情報処理棟にてインターネットの情報検索・収集及び電子メールの操作活用方法・ネチケット(モラル)の研修を行った。
(成 果)
・国内のみならず海外にもメールを発信した。
・教材収集のためサーチエンジンを活用し授業展開に発展させた。
・教室にノートパソコンを持ち込み教室からのインターネットアクセスに取り組んだ。
・この研修後、各教科ごとに授業でどう活用していくのか話し合いが持たれた。
(課 題)
・全職員が年間を通して継続的に取り組んでいくには、今後も教員相互の共通理解を求めていく必要がある。
・授業において、何が果たしてできるのか、成果の発信ばかりでよいのか等インターネットを導入(活用)していくことに対し戸惑った教師もいたが、色々な事例を紹介し、アイディア等を出し合い生徒・教師の双方が動きやすく、活用していける環境作りを考えなくてはならない。
この研修の中で、教師相互のキャッチボールもあり、これからの情報教育に共通理解を深めていくことが必要であることを認識できた研修であった。
(2)校外研修
全職員による校外研修(インターネット関連)
校外の研修施設を利用して、全職員が午前・午後に分かれ、商業科教師が講師役となり、インターネットを活用した情報検索・情報収集及び各教科でこれからの授業でどのように活用していけるのかについて研修を深めた。
(成 果)
・全職員ということで、この研修を通して初めてコンピュータに触れる教師もおり、なかなか難しい面もあったが、この地道な研修を積み重ねていくことにより、授業でインターネットを活用した展開が繰り広げられた。
・これからの高度情報通信社会における「情報教育」にとって大変実りのある研修であった。ここでも、商業科全職員(7名)のサポートがあったからこそであり、どんな場合でも教師の共通理解及びチームワークが大切であると感じた。
(課 題)
・今後もコンピュータ環境が整備されている施設を利用し、全職員の共通理解のもと研修を深めていかなければならない。
(3)重点企画
本校はCEC重点企画である「インターネットクラスルーム」に参加している。
(内 容)
・海外の生徒と自己紹介・相互の国の文化等の交流
・共通テーマを通してお互いの国・授業で考え、相手の意見に対してこちらからの意見や感想等を発信していく。
・共通テーマ討論相手校:Fredrika Bremer High School
Kennewick High School等
・生徒個人ではスウェーデン・カナダ・USA・オーストラリア・韓国等と交換している。
(成果・課題)
表現能力を高め合い、相手の話を聞く姿勢やある事象に対して真剣に向き合う姿勢等を身につけさせていくのに非常に効果的であった。しかし、当初は、どのように相手校を見つけ、どう展開させていけばよいのか、戸惑いもありなかなか軌道には乗らず単発的なメールの受発信ばかりで、現状のようなな取り組みまでには時間を要した。
様々な会議に参加し、校外において先進的に取り組んでいる学校や専門的立場にある人達から事例等を見聞していく中で、授業に臨むまでの諸準備や授業展開等の取り組みについて深めていくことができた。自ずとこの場で得た内容は即、授業へ反映させることができ、生徒の意識も内から外の世界へ目を向けさせることができた。この点からも、教師の役割として、常に相手校と連絡を取り合いコーディネータとしての責務が必要であると感じた。
生徒に何を感じ取らせ、どこまでインターネットの可能性を追求していくかが我々教師の役割であると考えられる。今後も生徒にインターネットを通して更なる国際理解に努めていきたい。
○平成9年度の成果と課題
各教科事例
(1)国 語:「連句」をテーマにまず、校内の授業において生徒に考えさせホームページを制作・公開し、その後、100校メーリングリストに発信したところ、他県の高等学校より返事があり早速生徒に公開した。今後はインタラクティブなページを開発していきたい。
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/kokugoka/index.htm
(2)社 会: 身近なテーマを決め、それに対応した情報を収集し生徒自身で考え・まとめお互いの意見交換をさせていくところから、相手の意見を聞く姿勢や相手を尊重し合う姿勢を育成する。
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/syakai/syakai.html
(3)数 学: 普通教室から、ノート型パソコン・プロジェクタ等を通して生徒が考えた答えを生徒自ら発信し、インターネットの利点をフルに活用した授業展開に努めた。下記の写真はその時の授業である。
生徒自らのインターネットアクセス(普通教室にて)
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/suugaku/suugaku.html
(4)理 科:教科書の内容からテーマを見つけ、生徒に生命の大切さから心の大切さまで指導していくことに重点を置き取り組んだ。
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/rika/seimei1.html
(5)英 語:単なるメール交換に終わらず、共通テーマによる国際交流・理解の場として取り組んだ。同じネット上で他国の学校と同一テーマによる教室が生まれ、今までにない授業展開に発展した。
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/eigo/eigo-e.htm
(6)家庭科:郷土料理をテーマにした調理実習を行い、地元老人会の方を学校へ招いて試食会を催した。
今後は、福祉の面で活用していきたい。
http://www.kaizukita-hs.hirata.gifu.jp/jyouhoukenkyuu/katei/kateika.html
○新100校プロジェクトに参加して
100校及び新100校プロジェクトとして、3カ年取り組んできたが、この間に校内LANの整備や教員側のインターネットを活用した研修・研究及び授業展開が進められた。特に、授業の手段・教材開発の場として全職員が活用し、生徒自身が直接情報機器に触れ、フルに活用した授業展開が行えた。しかし、全職員の共通理解を求めていくには時間等がかかることから、常時指導的立場の教師が、地道な校内研修や各教科における具体的な事例紹介をしていくなどインターネットと教師側のコーディネータとしての役割が必要となってくる。
年々、本校におけるインターネット接続台数の大幅な増加に対して現状の専用線では接続が難しくなってきており、128kは最低限必要かと思われる。今年度の目標から全職員が情報機器「インターネット」を授業で活用していけるよう、校内研修や校外施設を利用した研修会を行ってきたが、今までインターネットやコンピュータに触れられなっかった教師も「インターネットって便利だね、世界が広がるね」等色々話が出てきた。もちろん生徒側もインターネットに対して抵抗感もなくスムーズに対応していた。
今後も学校間研修・研究が必要不可欠であると考えられる。
今後更に、小・中学校で「情報教育」が進められているが、高等学校教育において、小中学校と同じことを取り組んでいては生徒のやる気が薄れてしまう。小中高との連携を深め、系統化された内容で今後は進めていかなければならないと考えている。