川島町立川島中学校

○インターネット利用状況

  本校の研究主題を受けて,職員を,教科授業の研究を行うグループと,ネットワークタイム(ゆとりの時間を使って週1回の割合で行われるコンピュータリテラシーの授業)の研究を行うグループに分けた.

実践項目1 平成9年度 教科研究委員会の成果と課題

 1.研究のねらい  

   今年度は,インターネットを活用することに重点を置いた。ホームページ上に公開されている情報を,生徒が検索し,収集することが,生徒の情報活用能力を育成し,学習活動に有効に働いたかどうかを検証したい。

 2.11月19日(国語)の授業から

   教科のリンク集(国語)の中から,環境問題に関わるホームページを検索し,情報を収集し,メモを取るという授業内容であった。

  (1)成果 ●生徒は課題に対して意欲的に取り組め,コンピュータの操作にも抵抗はなかった。 

       ●ホームページ上の画像情報は,低位の生徒への理解の援助となった。 

       ●2人ないしは3人で1台のコンピュータを操作するわけだが,互いに相談して協力しながらできた。 

  (2)課題 ●情報量が多すぎて,メモを取るための時間が十分に確保できなかった。 

       ●コンピュータに熱中するあまり,互いの情報を交流することが不十分であった。 

       ●視聴覚機器と連携して,教材提示装置を使って,生徒のメモをモニターに表示できるとよい。 

 3.12月3日(理科)の授業から

   教科のリンク集(理科)の中の高知大学のサーバから,ひまわりの天気図の画像データを分析し,前線の動き方を調べるという内容であった。

  (1)成果 ●コンピュータを道具として使う意図が明確だった。 

       ●生徒はコンピュータの操作に興味・関心を持ち,熱心に気象衛星の画像に見入っていた。 

       ●2つのパソコンの画面を見比べて,前線の移動の様子を分析していた。 雲(前線)の移動を天気の変化と結びつけて,天気の予測をするのは,情報活用能力の育成にとって有効である。 

  (2)課題 ●時間の間隔を何時間ごとにすれば,雲の移動の様子がわかりやすいかを考えさせたが,20台近くのパソコンが一斉に同じホームページを検索にいくため,表示に時間がかかった。

       ●雲の動きを連続した画面で見せることができるので,教師が表示すると尚良かったのではないか。

       ●生徒が画像を直接加工することは難しいので,教師側である程度,準備しておく必要がある。 

 4.今後の研究に向けて

   全校研後に,指導助言者からは今後の研究について,いくつかの示唆をいただいた。

   現実的な対応として,コンピュータを使った授業を仕組む場合,

    1. T.T.による授業が必要

    2. 1単位時間(50分)の弾力的運用が必要

   である。コンピュータを使う授業では,コンピュータに堪能な教師がついた方がよいのは事実である。 しかし,すぐに実現させることは難しい。将来的には,そのような実践もしていくべきであろうが,当面の研究は次のような点に重点をおいて行っていきたい。

   インターネットを,情報収集のための道具として利用する。具体的には,生徒の情報収集能力の発達段階(下の1〜3)にあわせて,情報収集させながら,情報活用能力を高めていかなければならない。NTや教科指導計画を系統化していくことが必要である。

    1. Link集から選択する

    2. サーチエンジンの見出しからカテゴリーを絞っていく

    3. 適切な検索語を入力して検索する

   得た情報を,授業の中で活用していく場合,他の教育機器,特に,視聴覚機器とどう組み合わせれば,生徒に対して効果的であるかを研究実践して,単元の指導計画(カリキュラム)に組み込む。どの単元の何時間目では,授業のどの段階で,どういう形態で,使うのがよいのかをはっきりさせる。

   その他,各教室に配置されているコンピュータの台数にあわせて,1人に1台,2人に1台,班に1台,一斉提示等の,授業形態についての工夫も,適宜行っていかねばならない。

実践項目2 平成9年度ネットワークタイム(以下NT)委員会 研究の成果と課題 

 1.キャンパスリンクを使った授業の研究 …10月28日研究会より      

  ◎画面交流から仲間に対しての感想を送る交流方法が効果的であった。作業をおこなう中で、仲間同士の相談ができていた。

  ○目当てである自分の思いを伝えることよりも、画面の美しさなどを追求している生徒が多い。

 (環境面)

  ◎Windows95はTowns-OSに比べ,表示色が多いため、画面もきれいで作業速度も上がっていた。

  ○今の机の配置で授業をすると,2人または3人で1台のコンピュータを操作することになり,困難である。

 (今後の方向性)

  ☆MS-DOS版のパソコンとWindows版のパソコンを利用目的に応じて使い分けていく必要がある。

  ☆NTの本来の目的である意見交流を授業の中で組み入れる。

 2.インターネットおよびE-mailを使った授業の研究 …12月5日研究会より

  ◎2人で作成をしていくと,作ったものが2人の共有物となるよさがある。もらった人が「また、頑張ろう!」と思えるようなMailを作ろうとしていた。

  ○相手を意識した表現をするため、文体や文末表現に気をつけさせたい。NTの授業は学級活動の一環として学級作りのために活用させたい。

 (環境面)

  ◎できあがった生徒の作品をFDに保存後、チェックをしたので、ネチケットに反しないE-mailを送ることができた。

  ○本時は,授業を参観した教師が、生徒一人一人の質問に答えたが、1人で指導するときの,教師のコンピュータ・リテラシーの向上が急務である。

 (今後の方向性 …加藤助教授より)

  ☆タッチタイピングの重要性 …作業速度を早くすることで、同じ時間内での可能なことが増えてくる。

  ☆NTの時間で学んだことを具体的生活の場の中に生かしたい。

  ☆NTのカリキュラムについて

   ●内容と結びついてこそ授業は成立する。 

   ●コンピュータは手段…操作技術・技能の習得が必要である。 

  NTを総合学習(合科的)のために使いたい。

 3.コンピュータを正しく使うための技能・マナーの研究

  (1)技能に関わって …1月30日研究会より      

    ◎生徒たちはローマ字変換への抵抗も少なく集中してできた。相談や教え合う姿が見られた。

    ○時間を切って交代制にしてもよかった。課題を選択させてもよかった。

  (環境面)

    ◎数学教室の机の配置換えにより,コンピュータを2人で1台で使用しても授業が成立した。

    ○ペアリングに気をつけ、席の配置も考えたい。プリンターがあるとその日の学習の成果が一目でわかる。

  (今後の方向性)

    ☆資料や課題を選択制にするなど,多様な生徒に対応したものを考えたい。

    ☆タッチタイピングの練習によって作業速度が速くなる。そのための練習の授業であったが、生徒の反応もよく、さまざまな方法も考えられるので来年度以降も続けたい。

  (2)マナーに関わって

    ◎さまざまなところからネチケットに関わった情報を得て、川島中学校にあったネチケットが作成できた。

  (今後の方向性)

    ☆作成できた川島中学校のネチケット規則を生徒達が理解する授業を仕組んでいく。

    ☆生徒はこのネチケットに気をつけながら文章を作成していく。常にネチケットを意識させるために、文章を教室に掲示していく。

○100校プロジェクトに参加して

  今年度は,数学教室に,Windows95を利用可能なコンピュータが20台整備され,教室の机列も配置換えして,教科の授業で,インターネットを活用していく気運が生まれた。 

  NTにおいては,これまで校内LANを利用した交流が中心であったが,富山県の滑川中学校との交流などを含め,校外との交流を深めることができた。 

  一方で,コンピュータの性能が上がるにつれ,各クライアント マシンだけでなく,Netwareサーバの故障など,一般の教員の手に負えない事態も何度か発生した。安定した動作環境での運用が望まれる。 

  また,コンピュータリテラシーの問題もあって,すべての教職員が積極的にコンピュータを利用するという段階には至っていない。本校ではこれまでも,これからも,コンピュータを学習のための道具という認識で,道具としていかに有効に活用していくかを研究していく予定である。

 来年度は隣接する川島小学校(こねっとプラン参加校)とも交流しながら,小・中における情報教育の系統と発展について深めることを考えている。