慶應義塾普通部

○インターネット利用状況

・実施項目1  数学における多解問題 主催校 担当 荒川 昭

  「数学における多解問題」を2年間のプロジェクトとして継続して主催校として取り組んでいる。本年度の新規企画は問題の入れ替えを行い、Cu-SeeMEでの実験と掲示板の運用やCGIを普通部での運用を始めたことである。普通部生の1年生約230名で取り組んだ1998で数を作るなど詳しくは数学における多解問題参照してください。  

・実施項目2  教育用レイティングシステムの運用実験参加

  教育にインターネットが利用されるとき、情報が氾濫しているだけに、有害情報なども生徒が見てしまう可能性がある。倫理教育も大切であるが、有害情報を見せないようなシステムの構築も必要で、本校コンピュータ教室50台にフィルタリングソフトをインストールして実験に参加した。 

・実施項目3  NTTプロジェクト CALAT (NTT)

  普通部の伝統的な行事に労作展がある。労作展は1年間かけて自分が興味を持てることを研究し、発表する場である。この取り組みをNTTのCALATを使い、インターネット上で公開してインタラクティブな取り組みをするプロジェクト。詳細は次ページ

・実施項目4  Power Pointを利用したコンピュータ授業 太田弘

  社会科地理でのインターネットを利用した情報収集、パワーポイントを利用した授業など、中学1年生(約230名)対象に実施

・実施項目5  中学1・2年生 週1時間コンピュータの授業でのインターネット利用

 実践教諭 宮内 完二・荒川 昭・跡部 智・林 和慶・大久保 忠宗

  普通部ならでは、教員2名とパソコンインストラクターで行うコンピュータ授業

  施設はWIN95で、センターモニター、プロジェクターなど配備、校内LAN,教室内LANを構築、インターネット環境は1.5Mの専用線接続。Word、Execel他 インターネット倫理教育、ネチケット、メールから、ネットサーフィンなど

・実施項目6  数学科 荒川 昭

  数学科授業で、サーチエンジン(yahoo Japan)を利用して、中学校数学科対象のWEBを検索、検索後問題を解き、解答を登録もしくは、解法についての検討を行う。また楽しいWEBをクラスで紹介する。                      

○平成9年度の成果と課題

 ・活用方法 教育効果 リテラシー その他など

  教員のメールの利用、ネットサーフィンでのWEBの利用などは今年度までに、かなり浸透し、リテラシーはだいぶ向上した。生徒のインターネット利用について段階的に取り組んでおり、今年度はwebのネットサーフィンとメールの使い方をコンピュータの授業で取り組んだ。生徒は選択の授業でwebページを作る体験などをしている。先生方は授業の情報としてのインターネット活用まで行っているので、教科実践としての授業の活用をさらに期待したい。

  インターネットができる環境が自宅にある生徒はクラスで4名から8名ぐらいである。インターネット利用は生徒がとても待ち望んでおり,生徒は能動的,積極的に取り組んでいる。今年度はCGIなどに挑戦してみているが、WEBサーバーの運用,生徒対象のメールのアカウントなどの登録作業などが大変である。また、インターネット接続の不具合が生じたときは復旧がかなり難しい。生徒は自由にWEBをみたりする技術があり,かなり身についている。

  インターネットなどを自由に使わせる。(学校として解放する)にはセキュリティ、管理などさまざまな要因があるがまだ完全にクリアされていない。

○新100校プロジェクトに参加して

  100校プロジェクトから参加しているが、今年度は少し落ち着いて活動ができた。昨年度までは、初めてのことが多く一つ一つわからないことが多く、解決するのにとても時間がかかった。今年も新しいことに取り組んでいるが、ノウハウ、知識が増えてきた。また、今後教科でのインターネット活用にむけてさらに積極的に努力したい。

 1.バーチャル労作展

   平成9年度から,慶応義塾の幼稚舎から高校までの全8校において,バーチャル文化祭という企画を進めている。これは各学校の行事,特に文化祭や展示,演奏会を写真やビデオに撮り,それを編集してWeb上にのせ,慶応義塾内で1つの文化祭として公開しようとするものである。

   バーチャル文化祭の題材として,普通部では昨年で69回を数えた「労作展」を選択した。「労作展」とは,全学年を通して,夏休みを中心としたほぼ一年間に,美術/技術だけではない多様な教科を題材として制作/研究した作品を発表する展示会である。毎年,夏休み明けの9月に開かれる。

 ○バーチャル労作展のホームページ

  ・内容  「労作展のねらい」,「作品の紹介」,「教師による総評」のページ,感想を入れてもらうための掲示板からなる(図1参照)。

  ・作品の紹介方法  特別優秀作品集 優秀作品集,クラス別,科目別

  ・作品ページの構成  作品のスチール写真(jpgファイル),製作日誌,生徒のインタビュービデオ(QuickTime Movie)(図2参照)。教師の総評ページ ビデオ形式(QuickTime Movie)で収録。

  ・その他 生徒のインタビューについては,インターネット上で名前や顔写真が流れてしまうので,個人情報の流出を配慮しパスワードを設定し利用を普通部生に制限している。 

   今年度は,生徒自身によるホームページの構築,作品の撮影は行っていない。今年度作成したものをベースとして,来年以降も継続する予定である。バーチャル労作展の実施は学校にとって有益な資料を作成したというだけでなく,普通部生や他校の生徒にとっても自由研究の作品を作るヒントや目標また作成する者の励みとなる。

   図1. バーチャル労作展ホームページ  

   図2. 生徒の作品ページ例

 2.CALAT

   慶応義塾ではNTTとコンピュータネットワークの教育利用に関する共同研究を行っている。現在,実施/企画中のプロジェクトとして,ネチケットや古典文学,理科の教材の相互利用や, ニューヨーク学院(ニューヨーク近郊にある慶応義塾の高等学校)とのメール,掲示版,ビデオ 会議ソフトを用いた英語のコラボレーション授業,バーチャル文化祭等がある。

   WWW上での教材の構築/提供には,CALAT(Computer Aided Learning and Authoring environment for Tele-education)という,NTT情報通信研究所で開発された個人適応型の教育システムを用いている。CALATは,次の3つの特徴を持つ。

   ・インターネットに接続している端末から自分のペースでいつでも学習可能。

   ・CALATサーバで学習者の進捗状況を一元管理。

   ・学習者の理解状況に応じて学習の内容・進み具合いを調節可能。

   普通部では他校とともに中学生対象のインターネット教育の教材作りを進めている。先生-生徒間や生徒同士のコミュニケーションを取り入れた教材作りを研究予定である。