木更津市立清川中学校

○ネットワークの利用状況

《官庁の役割を調べよう・その他》 (中学3年生 社会科 公民的分野)

  昨年度に引き続き、各省庁のWeb Pageを活用し、その仕事内容、組織についての調査学習を3学年の社会科の授業の中で展開。本年度は機器の拡張もあり、ひとりに対して端末1台という環境で実施。

  大臣の顔が見えたり、それぞれの省庁からの生の情報を得られることによって調査の深化が図れ、また一層の興味・関心を喚起できたように感じられる。

  この学習でえた経験を元に、その後の各学習課題に対して「調べてみよう」という意見も多く見られ、景気変動に関する学習では経済企画庁や統計局の資料を活用したり、金融の学習では日本銀行を参照したり、意欲的な活動が多く見られた。

《修学旅行の計画を立てよう》 (中学3年生 学級活動)

  3年生の5月に実施している福島県会津若松地方への修学旅行での班別研修の計画立案に際して、会津大学等のweb pageを参照し、見学場所の選定や順路決定などの参考とさせた。また、同時期に実施した2年生の宿泊研修(栃木県日光方面)や1年生の校外学習(東京都上野方面)に関しても事前学習やしおり作りや職員による事前調査に活用することができた。

《21世紀の木更津像》 (中学3年生 社会科 公民的分野)

  地方自治の学習のまとめとして実施した「21世紀の木更津像」では、昨年末に開通した東京湾アクアラインや本市を中心に開発のすすむ上総アカデミアパークなどの概要などを調査し、その効果(影響)を考えるとともに21世紀に向けてのまちづくりの提言をまとめた。また、この授業には本市市長の参観もあり、直接市政に関するお話もうかがえ、地方行政が身近に感じられる有意義なひとこまとなった。なお、調査結果や提言として生徒がまとめたレポートは21世紀の木更津像である。

《地域への公開》

  本市の公民館主催事業として行われた「コンピュータ教室」において、ワープロ研修とともにインターネットの概要や学校での活用方法を紹介。また数名の保護者や地域の方々よりホームページを見られたとのメールをいただく。

《職員研修会》

  本校の職員対象の研修会が数回。本年度は授業での実際の活用方法の検討およびメールの利用方法を中心に実施。また、本市の教職員対象のコンピュータ利用講座(主催 市教委)においてもインターネットの概要、学校現場での活用方法、実際の授業の様子、簡単操作方法などの講習を実施。さらにはこれまでの活動の成果を生かし、本市における将来のインターネットの導入に向けての導入モデル案や管理規定案・使用規定案の作成などの研究を教育委員会の指導を受けながら実施してきた。

《GLOBEプロジェクトへの参加》

  理科部の生徒を中心の地球環境測定プログラム(GLOBEプロジェクト)に参加。現在、測定機器の整備も終り、気温、水質、雲、降水量など多くの測定に参加。理科の授業などでも得られたデータの活用している。また理科部はケナフの栽培(100校の共同プロジェクト)にも参加していた。なお、GLOBEプロジェクトの活動は次年度も継続する予定である。

○平成9年度の成果と課題

  昨年度の機種更新に引き続き、学習用コンピュータの増置(ノート型パソコン14台・WIN95機)が行われ、本校の規模ではほぼ生徒ひとりに1台の端末という環境が整備された。

  また、生徒自身のスキルの向上に伴い、調査学習など自らの興味・関心、理解度に合わせて意欲的な取り組みが多く見られるようになった。そのうえ、proxyおよびcacheサーバー)の整備もすすみ、これまでよりは幾分かストレスなく利用できるようになったため、さらには学習に活用できうるコンテンツも増え、授業での使い勝手も大幅に向上し、授業の中で活用してみようとする職員も増え、生徒がインターネットに触れる機会が大幅に増えた。

  さらに、昼休みや放課後の活用に関しても多くの生徒からの要望があり公開に踏切ったが、危惧していたような問題点(モラルや機器の管理)も皆無で良好な取り組みであった。

  一部にはメールを活用しての交流や web page の作成も行ってきたが、情報発信という面ではなかなか思うようには活用できないことも多かった。その要因については、 

 A.電子メールに関して、

  (1)日常的な利用場面の設定が現教育課程の中では難しいこと。

     (相手のあることなので本校の都合だけでは動きにくいため)

  (2)同一の端末を複数の生徒が使うという状況であること。

     (マルチアカウント対応で、扱いの簡単な生徒向けのメーラーが必要)

 B. web page の作成について、

  (1)作成環境の整備の立後れ。(ソフトウエアとハードウエア)

  (2)個人情報の保護の問題。

  などであろうと考えられる。また、共通した要因として「言語の壁」もある面では存在しているように思われる。

  今後、財政的な面、技術的な面ではさまざまな措置が講じられ、そうした要因の排除も徐々にすすむであろうが、同時に人的な環境の整備の必要性を強く感じた1年でもあった。扱える教職員、指導できる教職員、管理できる教職員の養成がもっとも急がねばならない課題の一つではないだろうか。

○プロジェクトに参加して

  市教委主催の教職員研修や公民館主催のコンピュータ公開講座での参加者の意欲、教育課程研究千葉県集会での討論など、今年度はインターネットの導入・活用に関する機運が本校周辺でも高まってきたことを感じた1年であった。さらに、そうした動きと呼応するように10月には千葉テレビ(現職研修番組「千葉の教育」)の取材を受け、また、11月にはインターネットを活用した授業への市長参観が実現した。

  本市においても近い将来の導入を目指し、さまざまな調査・検討が始り、導入時に向けての利用規定の素案策定などに関わることもあり、また、「40000校計画」の発表などを耳にして、3年間にわたる本校の積み重ねを先進校として他に還元していく時期となりつつあることを強く感じている。

  さまざまな機関の支援のもとに行われてきた活動であったが、次年度は地方自治体への予算措置移行など大きな変化のある1年となる。本校においても接続先の変更に関わる諸機関との連絡・調整に目の回る思いをしている。しかし、これまでの貴重な積み上げを崩すことなく、また本市周辺地域においてもますます導入への気運の高まるなか、先駆者としての役割を果たすことが本校の次なる責務であると考えています。